卒業研究の紹介

『教育学部生における性教育に関する意識の変化~性教育ミニ講座前後の意識調査から~』

皆さんは「性」というとどのようなイメージがありますか?身体のことだったり、男女のことだったり…ちょっと恥ずかしくて話題にしづらいイメージをもつ人が多いのではないでしょうか。
性という字は「心」と「生」で出来ていますね。「心」には「物事の重要な部分」という意味もありますから、性は「生きるために重要な部分」と言えます。

実は性は身体のことだけでなく、心のことや人とのかかわりのことなど「私たちの性格・生き方そのもの」のことを示します。生きていくうえで切り離せない大事な部分…それなのにその大事さはあまり知られていません。また、学校での性教育など、性について学ぶことのできる機会も少ない現状にあります。このことに私は問題意識をもち、卒業研究のテーマにしました。

私の卒業研究では、教育学部生に向けて「性教育」についてのミニ講座を行い、講座前後の意識変化を調査しました。講座を通して性教育の重要性を感じた学生が将来教師になって各地に広がり、そこからまた性教育の重要性が周りに広がっていく…という、学校での性教育が充実していくきっかけになれたら良いという思いで取り組みました。

卒業研究は大学生活4年間で学んできたことを形にできるだけでなく、学生や子どもたちなど、周りの人に働き掛けて成果や影響を残すこともできます。大変でも、やりがいと達成感がありますよ!ぜひ、自分の興味のあること・やってみたいことをテーマに取り組んでみてください。

『交通アクセシビリティにおける車いすユーザーと大学生の意識の差異』

「Nothing about us, without us!(私たち抜きで私たちのことを決めないで!)」という言葉を聞いたことがありますか?これは,障害者の権利について,当事者無しで話し合うべきではないということを示しています。

 障害者の権利に関する議論の1つに,交通アクセシビリティについての議論があります。「アクセシビリティ」とは,「利用しやすさ」のことです。つまり,交通アクセシビリティとは,鉄道やバスなどの,交通の利用しやすさのことを言います。
 私は,バス利用において,車いすユーザーが困難だと思うことと,健常者である大学生が自分が車いすユーザーだったら困難だと思うことの比較を通して,車いすユーザーの意識を調査しました。

 この研究を通して,誰もが暮らしやすい社会の実現のためには,「困っていることはありますか?」と本人に聞いたり,普段から声をかけ合ったりするなど,相互のコミュニケーションが必要ではないかと感じています。そして,相互のコミュニケーションとは,車いすユーザーと健常者の間に限らず,相手との付き合い方なのではないでしょうか。

『障害理解を目的とする構成的グループエンカウンターを用いた指導に関する検討』

障害理解を目的とする構成的グループエンカウンターを用いた指導に関する検討

全ての人が多様な在り方を相互に認め合える社会を共生社会と言います。障害について理解を深める「障害理解教育」が障害のある人と共に生き,共生社会を実現する上で必要とされています。

私は,障害理解教育が小学校の授業の中でより取り組みやすい形で継続的に行われ,児童が障害理解を深められる指導を研究しました。
実際の活動では,手袋やアイマスク,マスクなどを装着しながら班でブロックの作品を作り,協力の仕方を振り返るという活動を行いました。手袋やアイマスク,マスクから生じる困難さを体験し,困難さがあっても班の仲間と協力をし合えば活動に支障が出ないことを体験できるように構成をしました。

小学校で障害理解教育がもっと普及してほしいという思いから,このような卒業研究を行いました。自分の興味のあるテーマだからこそ学べることも多くあったと感じています。ぜひ,研究していて楽しい,面白いと感じられるような卒業研究にしてください!