研究室便り

 ここでは、研究室(長澤)の活動や近況を報告いたします。


1.研究室便り

平成30年 1月18日:ふたたび「連携」を考える
平成30年 1月 8日:高齢者ひきこもりと共依存
平成29年12月22日:教えられましたよ高校生に
平成29年12月 8日:高校通級指導の在り方検討委員会メモ
平成29年11月 1日:就労支援検討委員会メモ
平成29年10月31日:長年やっても
平成29年10月18日:第3回高校通級指導検討委員会メモ
平成29年10月 4日:笑いありのいじめ防止教育
平成29年 9月 7日:よりよき連携で、一致させない
平成29年 8月18日:第2回高等学校における通級指導の在り方検討委員会
平成29年 6月27日:高等学校における通級指導の在り方検討委員会メモ
平成29年 6月 9日:附属特別支援学校公開研究会
平成29年 3月22日:就労支援県の会議
平成29年 3月16日:発達障害支援県の会議
平成29年 3月10日:「もう戻っていいですか」
平成29年 3月 1日:通級指導教室部会
平成29年 2月 3日:本来のあなたを大切に(母親支援、続き)
平成29年 2月 1日:母親支援で思うこと
平成29年 1月18日:いじめ防止教育にもユニバーサルプログラムを
平成28年11月28日:「心からありがとう」
平成28年11月22日:コミュニケーション能力
平成28年10月31日:特別支援学校就労支援検討委員会メモ
平成28年 9月29日:本日インクルーシブ教育を語る・考える
平成28年 8月11日:研究室のゼミ
平成28年 7月22日:県の会議に出席して
平成28年 7月12日:高校に通級指導教室が設置される
平成28年 6月13日:与論島を訪れた
平成28年 6月 3日:学会記念講演の打ち合わせ
平成28年 4月20日:人は関係性で、そこにあり
平成28年 4月19日:「発達障害は増えていますか?」
平成28年 3月 4日:障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業報告会
平成28年 3月 1日:研究室の書庫の中から
平成28年 2月 8日:平成28年度新潟県発達障がい者支援連携会議メモ
平成28年 2月 3日:第2回特別支援学校就労支援検討委員会メモ
平成28年 1月26日:日本の良さを認めること
平成27年12月 5日:生涯にわたり合理的配慮を保障しよう
平成27年11月 6日:差別解消支援地域協議会
平成27年10月 1日:就学支援委員会に思う
平成27年 9月21日:学会報告と次期学会
平成27年 9月 4日:研究室のゼミ
平成27年 9月 2日:就労支援検討委員会メモ
平成27年 6月19日:教育実習が終わりました
平成27年 5月12日:生徒指導にも行動論を
平成27年 5月 9日:条例案最終とりまとめ提出
平成27年 3月25日:附属特別支援学校校長退任のことば
平成27年 3月17日:県の会議
平成27年 3月 6日:発達障害と非行
平成27年 2月14日:教育介入の応答性
平成27年 1月 3日:謹賀新年
平成26年12月26日:人は年をとると賢くなるのか
平成26年12月 9日:OnとOff
平成26年10月21日:UDLと合理的配慮
平成26年 9月24日:障害のある人の社会参加とスクリプト
平成26年 9月 8日:日本弁護士連合会シンポジウム
平成26年 9月 3日:平成26年度特別支援学校就労支援検討委員会メモ
平成26年 9月 2日:高等学校の特別支援教育会議
平成26年 8月23日:全附連校長会での発表
平成26年 8月 2日:研究室のゼミ
平成26年 7月26日:特殊教育学会
平成26年 7月17日:知的障害者の合理的配慮
平成26年 7月 5日:15年目を迎えた事例検討会
平成26年 5月12日:合理的配慮
平成26年 4月18日:条例検討会中間まとめ
平成26年 3月 3日:「なぜできないの」から「どうしたらできるか」へ(三条市「広報さんじょう」寄稿
平成26年 2月25日:テクニックだけでは子どもは変わらない:応用行動分析の誤った使い方
平成26年 1月30日:特別支援学校就労検討委員会メモ
平成26年 1月27日:自分を知る、社会を知る、将来を想い描く
平成26年 1月20日:インクルーシブ教育システムの構築に向けて
平成25年12月18日:にいがた共育通信「この人に聞きたい」より
平成25年12月 5日:障害者権利条約とインクルーシブ教育
平成25年11月30日:児童養護施設協議会職員研修会
平成25年11月 7日:学力向上は何のために
平成25年 8月29日:職業学級検討会議
平成25年 8月20日:連携、共有
平成25年 8月17日:特別支援教育の情勢の変化
平成25年 8月 3日:研究室ゼミ
平成25年 7月19日:発達障害支援の県の会議
平成25年 6月29日:新潟県発達障がい者支援連携会議
平成25年 6月21日:第1回(仮称)障がいのある人もない人も一人一人が大切にされいかされる新潟市づくり条例検討委員会
平成25年 6月 3日:政権交代による教育施策の変化
平成25年 5月28日:授業参観と記録
平成25年 5月11日:親支援講座の要項
平成25年 4月23日:親支援講座のお知らせ(一次案内)
平成25年 3月21日:自閉症啓発デー・発達障害啓発週間関連イベント
平成25年 2月 1日:第2回特別支援学校就労支援検討委員会メモ
平成25年 1月26日:特別支援教育、学びの(授業の)ユニバーサルデザイン、学習のユニバーサルデザイン
平成25年 1月15日:親の愛情、教師の愛情
平成24年12月 3日:ADHDと愛着障害
平成24年10月 9日:特別支援学校のセンター的機能の充実
平成24年 9月30日:作業学習にスクリプトを
平成24年 8月11日:研究室のゼミ報告
平成24年 7月26日:第1回特別支援学校就労支援検討委員会のメモ
平成24年 7月12日:スクールカウンセラーの立場で答えました
平成24年 5月22日:新たな指導法導入に必要なことは何か
平成24年 3月28日:新潟市発達障がい者支援体制整備検討委員会
平成24年 2月24日:新潟県特別支援教育総合推進事業運営協議会
平成24年 1月29日:ユニバーサルデザインについて思う
平成24年 1月20日:第2回特別支援学校就労支援検討委員会
平成24年 1月15日:中学生の自己決定についての体験
平成23年12月28日:熱かった、北海道!
平成23年12月11日:インクルーシブ教育
平成23年12月 1日:就学指導を考える
平成23年11月20日:新潟AAC研究会
平成23年10月26日:発達障害通級指導教室分科会にて
平成23年10月 1日:進路指導を考える
平成23年 7月26日:知的障害のある生徒の就労
平成23年 7月20日:研究室のゼミ
平成23年 7月15日:発達障害者支援センター会議
平成23年 6月 3日:新しい特別支援学校づくり
平成23年 5月22日:統合教育
平成23年 5月15日:SENSの会新潟支部会研修会、発達支援センター開設検討会議
平成23年 2月25日:新潟県特別支援教育総合推進事業運営協議会
平成23年 2月23日:問題行動への対応
平成23年 2月 7日:自閉症のカリキュラム
平成23年 1月24日:相談支援ファイル
平成23年 1月 4日:新年の抱負
平成22年11月14日:SENSの会感想
平成22年 9月22日:問題行動へのRTI
平成22年 6月28日:第1回新潟県特別支援教育総合推進事業運営協議会
平成22年 3月18日:自閉症の教育を思う
平成22年 2月 9日:新潟県の発達障害支援事業、自己決定について思うこと(2件)
平成21年11月12日:富山県小学校教育課程研究集会
平成21年10月22日:新潟市発達障がい者支援体制整備検討委員会
平成21年 7月22日:自閉症の教育課程研究
平成21年 6月15日:発達障害支援にかかわる会議
平成21年 3月 6日:社会人講座
平成21年 2月16日:特別支援教育総合研究所研究への参加、新潟市サポートネットワーク会議
平成21年 1月 7日:発達障害者支援のためのサポートノート作成
平成20年 8月31日:障害のある子どもたちの居場所、仲間について想う
平成20年 7月16日:第1回新潟市特別支援教育サポートネットワーク連携協議会
平成20年 7月 5日:特別支援教育推進には国民の理解が必要
平成20年 6月10日:第1回新潟市発達障がい者支援体制整備検討委員会
平成20年 5月30日:特別支援教育、発達障害者支援にかかわる県の会議
平成20年 3月 1日:講演会の記事
平成20年 2月28日:第3回新潟市特別支援教育サポートネットワーク連携協議会
平成20年 2月 8日:特別支援教育体制推進事業第2回調査研究運営会議
平成20年 2月 6日:新潟県発達障がい者支援連携会議
平成19年12月25日:パネルディスカッション「すべての子どもが活き活きとする地域と学校を目指して」
平成19年11月 8日:第3回特別支援学校高等部の在り方検討委員会
平成19年11月 1日:第2回新潟市特別支援教育サポートネットワーク連携協議会
平成19年10月24日:第2回特別支援学校高等部の在り方検討委員会
平成19年10月22日:第2回新潟県発達障がい者支援連携会議
平成19年 9月28日:にいがた共育通信「特別支援教育」
平成19年 9月28日:新潟県特別支援学校の在り方検討委員会
平成19年 5月30日:新潟県特別支援教育推進体制事業第1回調査研究運営会議
平成19年 5月25日:新潟市特別支援教育サポートネットワーク支援連携協議会
平成19年 5月12日:新潟県発達障がい者支援連携会議
平成18年11月10日:基本的生活習慣の大切さ
平成18年 7月14日:問題行動は解決がもっとも好ましいのか?
平成18年 5月19日:特別支援コーディネーター研修会に想う
平成18年 2月28日:自閉症親の会研修会
平成18年 2月13日:特別支援教育、医療的ケア
平成17年11月23日:特別支援教育部会講評
平成17年11月 1日:学習支援ボランティア
平成17年 7月15日:医療的ケア
平成17年 6月 3日:NIP-SKIP
平成17年 5月25日:特別支援教育体制推進事業
平成17年 2月25日:特別支援教育に対する大学の役割
平成17年 2月 4日:エッセー
平成16年10月27日:教育課程等研究協議会軽度発達障害部会
平成16年 9月30日:特別支援教育と家庭教育
平成16年 8月25日:平成16年度文部科学省委嘱 養護学校における医療的ケアに関するモデル事業第1回運営協議会
平成16年 1月12日:教育フォーラム
平成15年11月17日:特別支援教育巡回相談
平成15年 7月13日:COMPAS
平成15年 4月25日:新刊の紹介


研究室便り

ふたたび「連携」を考える

昨年来、連携について考えたり対応したりする機会が多くなりました。
異業種間の連携、もっとつっこんでいえば学校・福祉・医療など、学校が関わる連携についてです。
教育から福祉に転じた方のおことば、「学校と福祉では使う『言語』が異なるので、最初は大変でした」
確かに学校では「指導」ということばは常に使いますが、福祉では基本使いません。
言語の違いは、考え方の違いとも言えます。
大事なことはどちらかに統一することではないと思います。
大事なことは、「お互いが相手を尊敬すること」、ではないかと。

高齢ひきこもりと共依存

正月早々、知り合いの福祉関係職員から相談がありました。
50代のひきこもりについてなのですが、80代の親が経済的な支援をしているというのです。
その額、月数十万円とか。

「援助をやめるように説得した方がいいですよね」
「いや、共依存の可能性があるのでは。その親はお金を与えることが生きがいになっている可能性があります」
「では、別の生きがい、趣味をもってもらう、というのはどうでしょう」
「年齢的に、新しいことを始めるのはむずかしいのでは。むしろ、その方が持っている強みに焦点化してみては」

その80代の女性が作る漬け物はおいしく、福祉職員の方は「作り方を教えて欲しい」とお願いし、知り合いといっしょに作り方を学ぶんだとか。
強みを生きがいにして欲しいですね。

折しも、厚生労働省が「8050問題」の調査に対し、予算化をするとの報道がありました。

(フェイスブックより)

教えられましたよ高校生に

仕事上の付き合いで教えていただいた話。
普通高校と特別支援学校高等部との交流活動で、重度の障害のある生徒と高校生が一緒に絵を描いているんだそうです。
コミュニケーションもままならぬ関係で、うまくいくのかと思いきや、高校生の感想。

「自信をもって絵を描いている○○さんはかっこよく、うらやましいと思った」
「うまく描こうとせず、純粋に色や形で表現することがすごい」

会話ができないから相手のことがわからないのではない。
相手のことや良さを知ろうとすることが、真のコミュニケーションであることを教えられました。
両者でいい作品を作り上げて欲しいと思うばかりです。

(意図を損なわない程度に編集しています)

(フェイスブックより)

高校通級指導の在り方検討委員会メモ

12月8日の開催された委員会の個人的なメモです。
・平成30年度から長岡明徳高校で開始はほぼ決定だと思われる
・すでに今年度試験実施の希望者の選定に入り、来週から実施の予定。保護者説明会も開催。周辺高校との連携協議会も開催予定
・説明会等で「通級指導を受ける生徒=障害のある生徒」といった誤解はなかった様子。学校は本人の困っていることを解決する手段のひとつとして通級指導を提案するなど、誤解を生まない工夫が求められる
・事務局から、通級指導による指導の基本方針案が示された。今後は要綱・要領、そして手引きが作成される予定
・基本情報:すべての高校を対象とした調査から、発達障害と思われる生徒が在籍する学校は50%を越えている。対象生徒の個別の指導計画作成率は70%を超えている。
・通級による指導では就労に向けた基本指導として、対人関係の育成が求められる。指導が有効に機能するためには、通級指導・通常学級・家庭三者による指導が必須(計画に入れる)

第1回特別支援学校就労支援検討委員会のメモ

11月1日に開催された標記委員会の個人的なメモです。
1.現状
 @特別支援学校高等部卒業生の就労率が低迷している
 A3年時の就労希望率が1年時より下がっている
 B職業学級の就労率が2年間伸び悩んでいる
 C保護者、職員向け理解啓発研修の回数が少ない
D企業対象の学校見学会未実施の学校が多い
2.課題
 @就労希望率と就労率の差を縮めるには
 A企業就労率を上げるには
 B受け入れの企業を増やすには
 C社会人としてのスキルを育てるには
3.意見
 @就労率の高い件では希望率も高い.特別な取り組みをしているわけではない。しかし、職員(教員)の意識が高い。 
 A職員の専門性を担保するには、就労移行支援。就労定着支援事業(所)といっしょに指導することが必要ではないか。実現について、県と学校双方が、検討すること。
 B作業学習種目に、企業から仕事を委託してはどうか。
 C生徒の作業力の実態を客観的な情報として提供することが必要。そのためには資格(検定を含む)取得情報が有効。今後、介護検定なども検討。 D介護初任者検定は、生徒にむずかしい。このような検定は現実的。
 Eソーシャルスキルもそうであるが、学校の授業で学んだことを家庭など実生活でできることが重要。授業内容に発展課題として設定し、家庭と連携してスキル獲得と般化をはかること。
 F企業へのアピールは、実際に出向いて顔を合わせること。
 G働きながら学べる制度・工夫を
 H働く知的障害者への合理的配慮をもっと適用すること

長年やっても

スクールカウンセラーの仕事を20年ほど続けています。
これだけの経験があれば、多くの相談にスムーズに対応できそうに思われるかも知れませんが、それは違うと思います。
当たり前のことですが、同じような悩みでも、その悩みは同じではありません。

また、困難なケースになると、事前にあれこれ対応を考えたくなるときもあります。
しかし、私の恩師からの教えのひとつに、次のことがあります。
「あくまでも解決するのは本人。カウンセラーではない」

最近、変化が見られないどころか、悪い状態になっているかも知れないケースで、少しだけ前向きな結果の報告がありました。
本人、ご家族の力を信じて付き合ってきた自分にとって、またもや教えられるできごとでした。
スクールカウンセラーの仕事のひとつは、依頼が続く限り付き合うことだと思っています。

(FBより)

第3回高校通級指導検討委員会メモ

10月18日、標記会議の個人的なメモです。
・今年度中に制度案を作成し30年度長岡明徳高校で通級指導開始予定
・対象生徒は発達障害に限定せず、困難さを抱えながらも自立に向け意欲的に取り組む生徒と考えるのがよいのでは
・生徒保護者への通級の説明を丁寧に。通級利用者=発達障害などという偏見を生まないような対応を
・通級担当者は現員の教師がチームを作って、それぞれの強みを生かして授業をする。そのために研修を重ねている。なお、県教委では通級指導を担当できると思われる教員数を調査した
・対応できる生徒数は限られていることも含め、通級指導が妥当かどうかの判断は慎重に公平に(専門家の介入、スクリーニング検査の実施など)。最終的には話しあいによる合意形成を
・現員だけで対応できないことも考えられる。外部との連携を。できることとできないことを整理し、できないことをどの機関(特別支援学校、福祉など)を使うか検討することも大事
・推進のための校内組織を構築し、長岡明徳としてのモデルを示すこと。これが将来他の学校で実施するときのモデルにもなるのでは

笑いありのいじめ防止教育

応用行動分析の考え方のひとつに、代替行動分化強化があります。
問題となる行為と反する望ましい行為を強化する(ほめる、認める)ことにより、問題行動を減らすことですね。
この考え方でいじめ防止教育を考えると、いじめに代わる良好な人間関係を育てていくことがあげられます。

先日、教職大学院でお世話になっている中学校におじゃましました。
ちょうど、先に述べた理論に基づく活動を見ることができました。
新潟市内の大学の学生さんが企画し、運営しておりました。
中1生徒と、この校区の小学校6年生が10人ぐらいのグループになり、しっぽ取りゲームのような活動(何種類もありました)を楽しんでいました。

いじめ防止教育の定番といえば「いじめ撲滅集会」などがありますね。
いじめに対して毅然と「No!」を示す決意をしますが、そこに笑いはありません。
どちらも大切な教育活動ですが、笑いありの活動がもっとあってもよいと感じました。

よりよき連携で、一致させない

重度重複障害の子どもの話です。(個人情報に配慮し編集しています)
学校と児童デイサービス職員との連携会議では、両者連携して対応を同じにするようにしています。
しかし、子どもが学校と児童デイで見せる姿が違い、どうも区別しているのではないかとのこと。

「学校=がんばるところ、児童デイ=リラックスできるところ」
こういうことですね。

最初は疑っていたのですがどうも事実らしい。
重度重複障害だから区別ができない、というのは大人の思い込み。

そこで、この子の目標はあえて同じにせず、対応も少し変えているんだそうです。
私たちは連携といえば違う立場のもの立ちが、話しあいのもと何とか同じにすることばかり考えがちです。
子どもを一人の人間として尊重するのであれば、同じにしない(多様性を認める)ことこそ大事ではないでしょうか。

第2回高等学校における通級指導の在り方検討委員会メモ

個人的なメモです。県への問い合わせはご遠慮ください。
・平成30年度は自校通級のみとする。発達障害の通級指導。
・全日制高校の特殊教育を受けてきた生徒は0.5%、定通単位制は21%
・通級指導対象生徒かどうかの判断がむずかしい。二次障害があればなおさら。就学支援委員会のような組織が必要では。
・そもそも、運営や専門的対応の検討のための支援組織が必要。高校がある地域で体制作りするのか、県センを中心に体制作りするのか、リソースとニーズを整理して検討してはどうか。
・高校での通級指導の成果は実生活に生かされなければならない。さらに、将来の社会生活や就労につなげなければならない。そのためにも、生活に基づいた課題による授業を計画し、実際の生活で実践し、通級でふりかえりをするなどの工夫が必要。

新潟県 第1回高等学校における通級指導の在り方検討委員会メモ

標記会議の個人的なメモです。教育委員会への問い合わせはご遠慮ください。
<報告>
・平成30年度から制度改正により高等学校でも通級指導が開始する
・新潟県では長岡明徳高校がモデル校となり実践する
・制度設計と指導内容、方法に関する検討を行う

<個人的意見>
このような意見を述べました。
・定通単位制高校では、多様なニーズの生徒が在籍し、すでにさまざまな支援を提供しているであろう。今後は通級制度を入れた校内支援体制を再構築し、学校全体で様々なニーズに対応して欲しい。
・特別な対応は通級だけでできることではない。たとえばソーシャルスキルの育成など、クラスワイドSSTで全員を対象に対応し、結果が出せなかった生徒に二次介入を提供するなど、段階的な対応が求められる。これがインクルーシブ教育の基本。
・通級対象生徒のニーズとしてコミュニケーションの育成がある。むずかしいのは、年齢相応の指導内容(授業)であろう。生徒の自己理解を促し、必要性を認識し自然な文脈ものと、年齢相応の内容を工夫して欲しい。
・中学校で特別な支援の提供を受けている生徒も少なからずいるであろう。個別計画をしっかり引き継ぎ、本人と保護者と一緒の支援会議で高校での個別計画を作成して欲しい。
・指導者の専門性、資質は必要であろう。なぜなら、指導を受ける生徒や保護者に対する説明責任(指導者として妥当である)を果たさなければならない。しかし、ひとりの指導者だけで専門性を担保するのがむずかしい場合は、複数の指導者、外部の専門家(期間)、支援学校などとの連携で対応して欲しい。

附属特別支援学校公開研究会

 今年度は対談形式の講演なんですね。まさか自分がそのお相手を務めるとは。フェイスブックツイッターで詳細をご覧ください。

新潟県就労検討委員会メモ

3月22日に行われた標記会議の個人的なメモです。
 @職業学級の成果
・県内AB2校の職業学級の一般就労率は近年連続して100%近い。定着率も極めて高い(一般的に知的障害の成人の定着率は高い)
・成功の要因として職業と生徒の特性とのマッチング。
・他にも成功の要因として:現場にあった作業学習、長期(定期)の実習、清掃検定や介護初任者研修、普通自動車免許などの資格、ハローワークから提供される企業情報の活用など。
・中学校特別支援学級(知的を含む)から普通高校への進学率が増加。インクルーシブ教育システムというより高校の定員割れの影響が大きいのか。
・普通高校に進学した生徒の動向として気になること:留年、退学、不登校、支援学校への転校など予後の悪さ。職業学級を選択した生徒との状況の違いについて、もっと多くの人に知ってもらう必要がある。
 A企業への取り組み
・障害者雇用への企業の意識は上がっている。
・平成30年度から雇用率が上がる。平成29年度、ハローワークは企業に働きかけを強化する。就労率を上げるいい機会になるだろう。
・そもそも企業のトップの意識が変わらなければ事態は変わらないだろう。PTAなど、親が中心に団体として動いて企業のトップに働きかけることは戦略としてありではないか。
・あるいは、作業学習の様子や仕事ができる様子を動画としてアップし、多くの人に見てもらうことも前向きに検討してはどうか(もちろん個人情報への配慮は十分に)。
・新潟県では、従業員が50から100人の企業の実雇用率が低いが達成企業の割合は高い。つまり、複数人雇用しなければならないのに一人雇用で終わっている(十分だと考えている)企業が多い。複数人の雇用を働きかけるべき。
 B職員の意識改革・研修
・教職員には、知っていただきたいことがたくさんある。障害者総合支援法やサービス等利用計画など。この計画を見れば、目標達成のためにどれほど緻密な計画が必要か、本人中心とはどういうことかなど、理解できるだろう。
・ジョブコーチの研修会も参加できる。
・作業学習に「本物」を使うことの効果。本物の設備、委託契約の仕事、本職を講師として呼ぶなど。子どもも真剣になるが教師のモチベーションも上がるはず。

 C生徒指導の必要性
・近年、普通高校にありがちな生徒指導の必要性が特別支援学校でも求められている。
・「生活検定」を実施し、当たり前の生活習慣や規則遵守ができていない生徒に対し、しっかりできるように個別に支援すること。生活検定に合格したものが実習に行ける。
・SWPBS(スクールワイドな行動支援)の活用。「時間が来たらスマホの電源を切る」「きめられた時刻までに家に入る」など、当たり前の行動をいくつかチェック項目にし、一定期間すべての生徒に実施して、問題を起こしそうな生徒を早めに特定する(問題性とをあぶり出すのではない)。その生徒の悩みにしっかり対応することが大事。

新潟県発達障害支援の会議(3月16日)メモ


個人のメモです(意見や感想もあり)。障害福祉課・教育委員会への問い合わせはご遠慮ください。

・発達障害の理解啓発と合わせ、障害者差別解消法や合理的配慮の理解啓発も必要
・児童相談所では、「虐待による発達障害特性(アタッチメント障害)」「発達障害」「発達障害+虐待」の認識を持って対応。学校関係者も子どもだけではなく親も見て欲しい
・高等学校通級が30年度開設されるかも知れない。担当者の専門性(SENSなど)が求められる
・特別支援学級の増加は問題ではないか→「インクルーシブ教育」ではなく「インクルーシブ教育システム」の採用ゆえ、やむを得ない面もある(従来の特別支援教育の制度を残している)。ただし、子どものニーズにあったカリキュラムの適用が大事。自閉症と情緒障害の学級在籍児童生徒に「自立活動」の時間で教育が必要。
・中学校でもUDの授業が広がりつつある。大変良いことだと思うが、UDは万能ではないことを認識すること
・大学や専門学校を対象とした発達障害の取り組み調査結果が公表された。本人の自己理解から本人による訴えが必要。自己理解のむずかしさ。
・30年度から新たなアクションプランによる取り組みが始まる。29年度は計画作成の年。ふたつのワーキングが設定されれる。
・この会議が今後は「発達障害者支援地域協議会」になる。

「もう戻っていいですか」

定期的にカウンセリングを受けに来ている中学生A子さん。
人間関係で傷つき、あまり恵まれていない家庭環境のことで悩み、そして教室に行けなくなってしまいました。
毎回打ち明けてくれる不安や不満、そして将来のこと。
この年齢にして、どうしてこんなに苦労しなければならないのかと、私自身ため息が出ることばかり。
毎回、答えのない問題に、二人であれこれ考えてきましたが、いつも結論は出ません。

でも、前回あたりから状況が変わりました。
どうやら、話の合う友達ができたようです。
「同級生の目なんて気にならない。だって友達と一緒なら教室にも行ける」
本日もこの話題が中心。
そして終了予定時刻前にこんなことを言いました。

「もう戻っていいですか」
(おいおい、相談申し込んだの、あなたでしょう)
お辞儀をしていそいそと立ち去っていきました。

相談室から教室に向かう後ろ姿は、もう別人でした。


(事実に基づき、主旨が変わらないように編集しています)

フェイスブックより

新潟市就学支援委員会通級指導部会

新潟市は発達障害通級希望者の増加に伴い、今年度から部会として独立しました。
本日3回目の会議でしたが、審議対象者が40名を超えていました。...

新潟市が政令市になり、特別支援学級数と入級児童生徒数とも約2倍になったそうです。
このことは発達障害が増えたととらえるのではなく、新潟市の特別支援教育の充実化が進んでいると解釈すべきです。
この部会の設置も、このことを意味します。

ちなみに新潟市にお住いの皆さま、新潟市の公立学校では個別の教育支援計画の作成が、条例で義務化されていること、ご存知ですよね?


フェイスブックより

本来のあなたを大切に(母親支援、続き)

人はさまざまな役割を演じています。
そして周りからいろんな役割を演じることを期待されます。
私の場合は、大学教員の役割の割合が多いでしょうか。

ここに「新潟花子さん」という女性がいます(架空)。
新潟花子さんは、結婚して「新発田花子さん」になりました。
「新発田さんの奥さん」の役を演じるようになりました。
子どもが生まれ、「一郎さんのお母さん」の役を演じることが多くなりました。
とてもよい奥さん・お母さんで、花子さんはこの役が気に入っています。

月日は流れ、一郎さんも二郎さんも自立しました。
そして考えます。
「一郎さん(二郎さん)のお母さん」と呼ばれなくなった今、
「私って、誰なんだろう?」

お願いです。
今「○○さんのお母さん」を演じているあなた。
毎日充実しているでしょうね。
99%その役を演じてもかまいません。
しかし1%でも、本来の自分(つまり前の例でいう「新潟花子さん」)を失わないようにしてください。
そのために、お仕事、趣味、おつきあいを大切になさってください。
一人の人間として自立しているお母さんを見て、子どもは自立します。

母親支援で思うこと

仕事柄、障害の有無にかかわらず、母親のカウンセリングをする機会が多いです。
長くこの仕事をしていて、自己肯定感がきわめて低く、ご自身の人生に不満や不安を抱えている方が増えているように感じます。
自己肯定感に問題がある方の場合、「世話の焼きすぎ」をし、その対象が子どもだった場合、共依存になる可能性があります。
もたれ合って、お互い自立できない状態になります。
この場合、父親が育児に関与し、母子の自立を促すことが必要です。
「○○さん(母親のお名前)、やりたいことがあったら、遠慮せずにした方がいいですよ。生き生きしているお母さんを見れば、お子さんは自立します」

もう一つ。
最近、「子どもを褒めましょう」「子どもの自己肯定感を育てましょう」という主張がよく聞かれます(私も言ってますが)(汗)。
愛着の問題を指摘し、親の役割の重要性が指摘されています(私も指摘していますが)(汗)。
そんなにプレッシャーをかけていいのでしょうか(私もその一人ですが)(汗)
私と家内の子ども時代。
お互い、親にほめられたことがありません。
それでも、一応社会人になれました。
誰が私たちの自己肯定感を育ててくれたのでしょう。
それは、祖父母であったり叔父叔母であったり、近所のおじさんおばさんであったり,習いごとの先生であったり、さまざまな人です。
そうです、みんなで育ててくれたのです。
みんなで、地域で子育てを、これが今年の私の主張です。
親だけに責任を負わせることはできません。

いじめ防止教育にもユニバーサルプログラムを(クリックしてください)

市報新潟コラム:私が考える障がいのある人の人権と共生社会C

「心からありがとう」
 大学卒業後、郷里の特別支援学校に採用になった。最初の勤務は国立療養所内にある重症心身障害児病棟(療育園)で、訪問教育を担当した。大勢の寝たきりの子どもを前に、教科書やノートを使う従来の授業はできるはずもなく、新米の私は彼らの前では全くの無力だった。しかも、当時は重心の教育が始まったばかりで誰もそのすべを持っていなかった。必死で手がかりを求めていたとき、脳外科専門の医師が園長に就任した。重心児へのかかわりを尋ねる私に対し、園長は当時珍しかったCTスキャン(脳の断層写真)画像を眺めながら子どもの特性を語った。しかし、「この子はこれ以上の成長は望めない」など教育否定とも思われる発言に疑問を感じ、私は「もしそうなら、この子らへの教育は意味がないのでは」と強く抗議した。すると園長は真剣な表情で、「この子らは先生を待っているんです、声をかけてもらいたいんです。それは教師にしかできないことでしょう?」 そう静かに答えた。そのとき私は、大学で学んだ糸賀一雄先生の思想を思い出した。
 「どんなに障害が重くても大切にされる権利がある、障害の重さに関係なく、それぞれの発達段階に人としての価値がある」(糸賀一雄・発達保障)
 私は一人ひとりの子どもをひとりの人間として尊重し、かかわるよう努力した。すると、彼らのかすかな笑顔を通して、食事や遊び・散歩といった日常生活のありきたりな活動一つ一つにこそ本当の幸せがあることに気づいた。一年かかわっても、まったく表立った成長が見られないと思っていた子どもが、私の声がけにわずかに口元が緩み、かすかな笑顔を見せてくれたとき、私はその表情が本当に尊いと感じた。それからあわせて7年間、重症児の教育にかかわり続けることができた。教育の原点だけではなく、生きることのすばらしさ・当たり前の生活の大切さを教えてくれた彼らに対し、改めてお礼を言いたい。

この文章は11月27日の市報新潟に掲載されました。

コミュニケーション能力

カウンセラーとして多くの悩みを聴かせていただいた。
最近に限ったことではないが、人間関係についての悩みが多いと感じる。
中には人が怖い、大勢の中に入れないといった重篤な相談もある。
何が原因なのか、それは人それぞれ違うだろう。
しかし、社会がどんどん高いコミュニケーション能力を求めていることと無関係ではあるまい。

動物園の飼育員の話。
「仕事上もっとも大事なのは、コミュニケーション(能力)です。多くの仲間との共同作業なしには、この仕事は成り立ちませんからね」
私は、人とかかわりが苦手な人が飼育員に向いていると、勝手に思い込んでいた。
全くの見当違いだ。
どんな仕事でも、コミュニケーション能力は必要なのだ。
だから、大人になっても人間関係での悩みは尽きないのだろう。

特別支援学校就労支援検討委員会メモ

10月13日に開催された委員会の個人的なメモです。

・就職支援も大事だが離職を減らすことと離職者への対応も大事。支援学校として卒業生支援として何ができるか。
・中小企業でも障害者雇用に意欲を示す事業者も。職場開拓と理解啓発の必要性(労働局・経済同友会から教育委員会へ情報提供の見込み)
・連携した支援としてハローワークを中心とした「チーム支援」が紹介された。就職率74%。
・就労につながる小中高連携のカリキュラム。知的障害児童生徒の多様性に対応できる系統表やコース制の必要性。
・地元企業や事業所につなげるために、入社(入所)できるためのゴール(合格基準?)を示してもらい、それを教育的な目標として生徒保護者に示すことも必要ではないか。
・保護者も就労の条件などをしっかり理解し、自立援助することが必要。ただ、保護者以外に子どもが相談できる大人がいることも大事。
・教職員のチームで就労支援に当たることが大事。個々の力を集めてチーム力を高める。学校としての限界も知り、積極的に外部との連携を。

本日インクルーシブ教育を語る・考える

本日、大学の障がい学生支援部門が主催する支援会議があり、ある学生の合理的支援を話し合い、支援計画の作成に至りました。
障害により通常の試験を受けることが困難なため、その代替手段を学部に認めていただきました。
帰りしな、ふと、「自分が学生の頃、こんな支援を申し出ること自体、あり得なかった」と、時代の変化を改めて感じました。

そのあと、ある新聞社の記者が、障害や特別支援教育について、学ばせて欲しいとたずねてきました。
義務教育実施時代の話、私自身の経歴など、公的私的な話題を経て、「インクルーシブ教育システム」について説明しました。
インクルーシブ教育システムでは、通常の学級を中心に教育すること、支援学校や支援学級など、多様な学びを保障すること。
通常の学級での教育を希望する保護者が増えているが、支援学級や支援学校の在籍児童生徒は増加し続けていること。
するとその記者の方は、「何でもありなんですね」「話を聞けば聞くほどわからなくなります」と正直な感想を述べられました。

確かにインクルーシブ教育システムを一言で説明することはむずかしいと思います。
さらに、保護者のニーズ、傾向を説明することにもむずかしさを感じます。
多様性の保障、このことばがキーワードになるのでしょうが、多様性を保障し受け入れることは、それほど簡単ではないのかも知れません。

その日の午後、ある地区の校長会で「障害者差別解消法」について講演しました。
「合理的配慮は保護者からの申し出があってから提供するんですよね」「通常の学級でも提供しなければいけないんですか」など、よく聞かれる質問も事前にありました。
さすが校長先生方、法律や学校教育の責務、合理的配慮の具体例など、よくご存じでした。
しかし、今回に限らずまだまだ理解されていないと感じるのは、「差別解消法のねらいは、障害のある人とない人の相互理解の促進である」ことの理解でしょうか。
差別にならないよう合理的配慮をしっかり提供することは大事なことです。
しかしそれ以上に必要なことは、合理的配慮がなぜ必要なのか障害のない人が理解すること、「合理的配慮がなぜ必要なのか」障害のない人たちがわかっていないことを障害のある人が理解すること、ではないかと思うのです。

いろいろ考えさせられた一日でした。

研究室のゼミ

8月11日、恒例のゼミを実施しました。
3年生も4年生も、皆元気でがんばっています。



学生の興味関心は、タイムリーなテーマですね。
インクルーシブ教育、合理的配慮、障害(者)理解、差別の解消、高等学校の特別支援教育、特別支援学級、発達障害への指導法、幼保・小学校連携、教員の専門性。

県の発達障害者支援体制整備検討委員会に出席して

改正発達障害者支援法が公布され、発達障害者への支援がより期待されます。
県の支援体制や事業もより充実してきていることを感じました。
ただ、いつも感じることは、発達障害か否かで対応や支援はきめられないということ。
虐待や非行など、発達障害特性のある子どもが多数いて、その子たち(とその親)へも支援が必要であるということ。
そもそもインクルーシブ教育では障害か否かで分けるのではなく、指導した結果に基づいて特別な指導をします。
学習障害と学習困難を分けることには、あまり意味はありません。

なお、意見としてさらに次のようなことを伝えました。
・個別の教育支援計画の作成は支援会議を経て、親との合意形成の基づくことを強調して欲しい。
・家庭裁判所や鑑別所との連携も図って欲しい。
・ペアレントトレーニングの有効性は、参加者同士の悩みの共有である。園や学校にお願いしたいのは、困っている親が気軽に集まって話し合える場を提供して欲しい。

高校に通級指導教室が設置される

文部科学省の事業「高等学校における特別支援教育」の指定を受けている新潟市立明鏡高校にて、標記会議に出席しました。
この事業は平成26年度から28年度までで、新潟で初めて高等学校に通級指導教室が試験的に設置されました。
通級指導教室では、「自立活動」の授業が開設され、社会性を身につけることや自己理解を深める指導が展開されています。
高校生ですから、進路に関する内容や卒業後の生活につなげる指導が求められます。
その前提、いえ、中心になるのは「自己理解」を目的とした指導だと思います。
机上学習だけではなく、様々な活動・見学・やりとりを通して、将来の自分につなげられる自己理解が望まれます。

なお、平成30年度には当校に通級指導教室が正式に設置されることがきまりました。
それに伴い、この事業も平成29年度まで継続されます。

与論島を訪れた。

人は、はるか南国の島に行くと、自然の豊かさ、人情の厚さ、スローライフの素晴らしさをほめたたえる。
しかし、今の生活を捨てて、その島に移住する人は少ないように思う。
仕事は、収入は、子どもの学校は、病院は、台風が来たら、重い病気になったら、など、マイナスの発想が続く。
結果、どんなに素敵ないく日かをその島で過ごし、夢のような体験をしても、現実と別れる決断はできない。

離島の人口はどこも減る一方なのに、与論島の人口は横ばいだとのこと。
地元の人が言うには、一度島から出た若い人が子育てのために戻ってきたり、老後をこの島で過ごすために移り住んだり、アーティストが生活拠点として本土と行ったり来たりすることを例にあげていた。
そんなに生活しやすいのか。

依頼された仕事を終え、屋外に出るとそこは真夏の空気だった。
朝まで降り続いた雨は上がり、雲の切れ目からわずかに夏に空がのぞいていた。
風に揺れる若いさとうきびの葉音以外に何も聞こえなかった。
音楽や歓声や車や列車の音もしない。
静かだ。
この島に時間は流れているのだろうか。

ふと我に返って、今まで頭の中にあった様々な仕事やその準備について、一切を忘れている自分に気がついた。
私は朝から晩まで、仕事のことを考えなかったことは、ない。
常に頭の中は大学の授業や、依頼された講演・研修会のことでいっぱいだった。
頭の中でそれらを整理できないと、不安になり焦った。
なのに、こうして普段の仕事とはまったく無縁な環境におかれたとき、不安や焦りが雲散霧消していた。

自分にはまだまだしなければならない仕事や義務がたくさんある。
今の仕事を捨てて、この島に移り住むことはできない。
だが、現実を諦めて新たな生活を送りために、与論島に移住する人の気持ちが少しだけわかったような気がする。
それは、美しい自然や厚い人情やスローライフだけではなく、人間らしい生活に最も必要な何かだと思う。

与論島は、間もなく梅雨が開け、暑い夏が訪れるのだろう。


(フェイスブックより)

学会記念講演の打ち合わせ

本日、元NHKチーフプロデューサー川野楠己さんとお会いし、記念講演の打ち合わせをさせていただきました。
川野さんは、私の父よりお年が上にもかかわらず大変行動的で、このあとも新潟で瞽女文化を継承する会の集まりに参加されるのだそうです。
この席で、ご自身が編集されたCDを頂戴しました。
その写真はフェイスブックにアップしました。

人は関係性で、そこにあり

本日は、唯一の親友の命日です。
38歳の若さで亡くなり20年になりますが、彼が亡くなってからも奥様との交流は続いております。
お中元お歳暮を贈ったり、そのお礼の手紙やメールで、近況を報告し合ったりしております。
そのやりとりを通して感じることですが、私と奥様との間で彼の話題を共有するとき、彼はそこにいると言うことです。
彼の姿はありませんが、「私たちは年々年をとるけど、○○(親友)は年をとらないね」と語り合うとき、私たち二人の前に彼がいるのです。

同じようなことを、かつて体験したことがあります。
訪問教育を担当し、重度重複障害の子どもとのかかわりです。
「どうせこの子は話を理解することができないし、そもそも耳が聞こえているかどうかもわからない」
そう言って、その子を寝かせてお母さんと雑談しているとき、子どもはそこにはいません。
しかし、「退屈だった? ごめんごめん」と言って、お母さんとその子の話をするとき、その子はそこに確実にいます。
私たちは三人で、その場を楽しんでいるのです。

思うのです。
人は関係性の中で、そのにある(存在している)。
私たちは、私たちの大切な人を忘れてはいけない。
かかわりをやめてはいけないのです。


最後に、最近思うこと。
若い頃、死は絶望のずっと先にある抽象的な概念であり、現実ではなかった(甘い理想としていたかもしれない)。
年をとると、死は生活の延長上にある具体的な現象であり、明日にでも訪れる現実であることを認識させられる。

「発達障害は増えていますか?」 (聖籠町報告書原稿)

 仕事柄、このような質問を受けることが多くあります。答えは「Yes」でもあり「No」でもあります。発達障害を診断する基準であるDSMというマニュアルに基づけば、発達障害は昔も今も変わらない頻度だと思います。ですが、診断基準が明確になり、関係者の気づきが増えるに従い、診断される人は増えていると思います。大事なことは、診断の有無ではなく、社会にうまく適応し生きていくことです。仮に50年前に今のDSMを使って発達障害と診断されたとしても、当時の社会ではうまく適応し生きていけたでしょう。
 なぜなら、当時は第一次・二次産業中心の社会で、家業を継ぐ人が多い時代でした。家業を継げない場合は、集団就職という道が一般的でした。高等教育を受けていなくても、大人として半人前でも、企業が研修の機会を与え(見習いなど)、時間をかけて育ててくれました。
 しかし、現在はどうでしょう。サービス業を中心とする第三次産業に従事する人が圧倒的に多くなりました。そのため、学歴、免許・資格、コミュニケーション能力などのソーシャルスキルを有していないと、就活の段階ではねられてしまいます。発達障害の子どもたちは、学校生活の早い段階でつまずき、高等教育までたどり着けない可能性があります。たどり着けたとしても、コミュニケーションの問題から人間関係でつまずき、社会にうまく適応できない可能性があります。よって、現在では発達障害の人々が生きにくい状況にあると考えます。
 それでは、これからの学校教育はどうあればよいのでしょうか。それは、障害の早期発見ではなく、学習や人間関係につまずく前に対応し、結果が出せない子どもに対しては障害の有無にこだわらず、特別な支援を提供することです。
 前置きが長くなりました。今回の支援事業は、発達障害という診断にこだわらず、どの子も持っている力を伸ばし、社会に適応できる大人に育てるための画期的な取組なのです。聖籠町では報告書にありますように十分な教育的効果を上げ、多くの子どもたちの自己肯定感を育てたと思います。今回の取組をできるだけ継続し、社会に適応でき聖籠町のために働いてくれる子どもたちをたくさん育てて欲しい、それが私の願いです。発達障害が増えているのかどうかにこだわるのではなく、「社会に適応できる人材を増やしていくこと」に関心を持ってください。

障害者差別解消支援地域協議会体制整備事業報告会

3月3日、内閣府で行われた標記報告会で学んだことをメモにしました。

法の施行は差別解消のゴールではなくスタート。地域協議会を作り、差別のない街を作るゴールをめざすこと。
協議会は市町村単位でも作ることができる。
協議会は差別を解決する自立的な取組であり、街づくりである。
差別を受けた人と行ったとされる人だけに解決をゆだねないこと。
メンバー選考の基準は以下の通り。差別が発生しやすい現場(領域)に関係する人、公正な判断ができる人、障害のある人(当事者)が必要と認める人

合理的配慮は、ものによってはユニバーサルデザインに進化する(そういう例が多数ある)
本人の意向をどう尊重するかが課題。
ちなみに新潟市では、周囲の気づきを重視し、本人の意思を確認して、その時点で最良と思われる合理的配慮を提供し、その結果をふり返り修正するという手続きをとります。
明石市では、事業者に対して合理的配慮を行うための助成金制度がある。

最後に新潟市の条例の特徴を述べます。
理念:話し合いによる問題解決と相互理解
特徴:@民間事業者に対しても合理的配慮の提供を義務化したこと、A合理的配慮の発生要件は周囲の気づき(そして本人の意志確認)、公教育の場で個別の(教育)支援計画の作成を義務化したこと

これらは他の自治体の条例と比較してもきわめてオリジナリティーある内容と考えます。
何しろ、2年間もかけて作り上げた条例ですから(これも異例のことのようです)

研究室の書庫の中から

先日、研究室にある書庫を整理していると、一冊のノートの存在に気づきました。
開いてみると、私がスクールカウンセラー(SC)を担当した最初の中学校での記録でした。
今から18年ぐらい前のものでしょうか。
SCの記録は、年度末にすべて処分しているので、今はこういうことはないのですが、この一冊だけ書庫の奥に保管されていたのです。
昔の記録を見るのはあまり好きではないのですが、ざっとページをめくってみますと、そこには初めてのSCとしてもがき苦しんでいる私の姿がありました。

私の恩師は、臨床心理学、ミルトンエリクソンの解決型カウンセリングの専門家でした。
SCをするにあたり、私は恩師の著書を読み、そして直接教えを請いました。
教え、理論に従って不登校など学校現場の問題にかかわりました。
果たして理論に基づいてちゃんと実行したのか、そもそも理論をよく理解できていたのか、今となっては真実はわかりません。
いえ、知りたいとは思わないというのが正直な気持ちです。
また、今さら過去を反省したところで、結果が変わるわけではありません。

しかし、手元にあるノートを見つめているうちに、無意識のうちに自分に問いかけていました。

あのとき、自分は必死だった。
しかし、今でも目の前の問題には全力であたっているのか。
何事にも必死だった頃の自分の姿を、忘れてはいないか。
自身の損得勘定で、他人の問題にかかわろうとしていないか。

あえて答えることなく、私はこのノートを元の場所に収め、中断していた仕事を再開しました。

平成28年度新潟県発達障がい者支援連携会議メモ

新潟県の発達障害者支援についてと、発達障害者支援センターRISEの取り組みを紹介し、意見交換をしました。個人的なメモです。

@幼児期から就学への連携の在り方
・相談支援ファイルや個別保育計画を作成し、つなげていくことが大事
・その際、つなげるだけではなく支援計画を活用し、子どもに必要な支援を継続すること
・保護者をまじえて作成することが基本
・保護者が我が子の特性(障害を含む)を理解し、受け入れることが必要(でないと、支援計画の共有ができない)
<以下、長澤個人の意見>
・障害だけを根拠に、保護者や本人に対して特別な支援は受け入れられにくい
・特別な支援が必要だという根拠(学力未達成など)をもとに特別な支援は実施できる
・合理的配慮が認められる根拠として個別の教育支援計画の役割は重要になるだろう

A学校教育終了から社会へのつなぎについて
・当事者が自分の特性(障害を含む)を理解し、受容することが支援提供に不可欠
・サポステなどで実施している体験を通して自己の特性に気づくことは期待できる
・特性理解のために、各機関の連携が欠かせない(特に「障害」と看板を上げているところには行きにくいので)
・自己理解を深める教育が早期から必要
・自分の能力を客観的に評価できることも必要(自己評価)
・就労の困難さともう一つ、就労継続の困難さ
・社会人として必要なスキルやコミュニケーション力をつけることも学校教育段階で必要

第2回特別支援学校就労支援検討委員会メモ

 標記会議の個人的なメモの一部です。会議の内容は後日何らかの形で公開されると思われます。


(1)県の報告書
・すべての学校が、教育の基本計画を見直している。
・職業教育において、コース制や類型化が行われている。
・作業種に、サービス業関係のものが増えている。
(2)協議の中から
・障害者就業・生活支援センターの積極的活用を。就業支援セミナー
・中学校までに積み上げられた教科の力を継続して将来に生かす
・障害者雇用では企業の理解が進んできている。積極的に企業にアプローチを
・就労においては、やはり「働くことに意欲を持たせる」ことが一番重要
・中小企業会同友会でも、障害者雇用に関する情報をHPで公開している
・交通手段がなく就労を断念→グループホームを検討

日本の良さを認めること

近年、テレビや出版業界などでは、わが国の良さを再評価する番組や本が多くなっていると感じます。
私が若い頃は、日本の異質性を強調する本が売れたり、欧米に比べて遅れていることに反省を促すかのような記事が書かれることが多いように感じていました。
それがいつの頃からか、まるで手のひらを返したように「日本礼賛」と思われるような番組が放送されるようになり、日本製品の性能の良さなどを外国の方が褒め称えるシーンを数多く見ると、ちょっと当惑することもあります。
もちろん、外国の方が褒めてくださったり評価してくださることはうれしいし、ありがたいことです。
しかし、私は、自分たち日本人が自身の文化や風土などの良さを正しく評価することも大切と考えます。
特別支援教育(教育すべて)についてもそうです。
わが国の特別支援教育は、まだまだ諸外国から学ぶべきことが多いのは事実です。
しかし、しっかりできていることは冷静に評価すべきではないでしょうか。
例えば、知的障害の教育での生活単元学習。
読み書き計算や社会性などを、イベントや季節の行事・生産活動などの体験を通して学ぶスタイルは、いつの時代でも子どもたちにとって有益な学びだと思います。
あるいは重度重複障害の教育。
どんなに障害が重くても、学校教育が後期中等教育まで保障され、教師と一対一のかかわりが提供されています。
あるいは、読み書き計算を小さい頃から遊びや生活の中で自然に学び、識字率が高いこと。
数え上げるときりがありません。

様々な地域の特別支援学校の授業を拝見したり、小学校や中学校の児童生徒の日々の学びを目にするたび、課題は課題として真摯に受けとめるべきですが、しっかりできていることは自信を持って評価し合うことも重要ではないかと感じるのです。
ちょっとえらそうなことを述べましたが、「大人もできていることは認め合おうよ」と言いたいだけなのです。
これは、つまり、私があちこちで喧伝している自己評価の必要性のことです。

他者からの評価も大事、そして自分自身で評価することも大事。

生涯にわたり合理的配慮を保障しよう

SENSの会新潟支部会研修会が行われました。
後期中等教育と高等教育の特別支援教育(障害学生支援)がテーマで、新潟県内の高校における特別支援教育の実際・明鏡高校での通級指導教室、そして新潟大学学生支援センター障がい学生支援部門の活動が紹介されました。
特別支援教育がスタートした頃、こんな声が聞かれました。
「小学校で手厚く支援されても、中学高校ではそうはいかない。いずれみんなと同じにできるようにしていかないと」
しかし、これは過去の話になりそうです。
来年度障害者差別解消法が施行されれば、合理的配慮がなされないことが差別になる可能性がありますから。

そういう説明をしても、「学校教育を受けているうちはいいでしょう。会社に入れば、そんな支援は受けられない」という方もおります。
来年度、改正障害者雇用促進法が施行され、事業者は障害のある社員に対して合理的配慮を提供しなければなりません。
学校教育が終了しても、支援が必要な人には合理的配慮が保障されるのです。

法律があるからやる、のではなく、合理的配慮をすることにより共生社会を実現するためにやるのです。
障害のある人に優しい会社は、必ずや社会から賞賛され、利益につながると思います。

差別解消支援地域協議会

平成28年度、障害者差別解消法施行に伴い、各自治体では差別解消支援地域協議会を立ち上げなければなりません。趣旨と期待される効果は次の通りです(厚生労働省のHPより)。
(1) 趣旨: 障害者にとって身近な地域において、様々な機関が、地域の実情に応じた差別の解消のための取組を主体的に行うネット
ワークとして組織することができる
(2) 期待される役割: 適切な相談窓口機関の紹介、具体的事案の対応例の共有・協議、構成機関等による調停・斡旋等の紛争解決、複数機関に
よる対応等
法が適切に施行され、障害のある人への差別をなくし、誰もが住みよい社会にしていくためには、関係する人々・機関が密に連携し、情報共有することが不可欠です。基幹相談センターや障害福祉課を窓口とし、相談しやすい体制、たらい回しされず話し合いによる解決が保障されるようつながりを作りましょう。

就学支援委員会に思う

先日、就学支援委員会に出席しました。
平成25年に法改正があり、就学指導から就学支援に転換し、保護者の決定権が強化されました。
よって保護者の自己決定が尊重されると共に、保護者への事実に基づく情報提供がよりいっそう求められるようになりました。
つまり、子どもに求める教育がどのように保障されるのか、具体的なメニューが必要だと言うこと。
教科の力と社会性を身につけて欲しいという願いがあった場合、通常学級・通級・支援学級それぞれができること・ディメリットを対照表か何かでわかりやすく提示し、保護者の自己決定を支援することなど。
対応する専門員は中立性を保ち、客観的な情報提供に努め、保護者と共に子どもにとって最もよい選択ができるようにすること。
そして、早期から教育相談を開始し、時間をかけて保護者の自己決定につきあうこと。

長岡市の就学支援制度が、このような条件が整ってきていることを感じました。

学会報告と時期学会

第53回日本特殊教育学会が東北大学で開催されました。
シンポジウム関係は「学会発表」のページをご覧ください。
次期学会ですが、新潟大学主催で開催します。
今後、学会への準備関係情報もお伝えしようと考えております。
まずは、要項をご覧ください。

学会要項

研究室のゼミ

毎年夏に実施している研究室のゼミが本日開催されました。


3年生はこれから研究テーマをきめます。
4年生、大学院生は計画に基づいて研究、実践を開始いたします。
それぞれの結果は、次年度何らかの形で公開したいと思います。

第1回特別支援学校就労支援検討委員会メモ

 標記支援会議の個人的なメモです。教育委員会への問い合わせはご遠慮ください。

1.特別支援学校における新潟県の就労の状況について説明があった
・25年度が28.1%、26年度は29.2%。職業学級設置の効果もあるだろう
・就労先職業種では、やはりサービス業が圧倒的に多い
・清掃検定の結果も提示された。
2.4校の取組(西蒲、長岡聾、村上、五泉)
 4校の就労に向けての学校教育の取り組みが紹介された。
3.質疑応答より
 職場開拓、就労に向けての教育を柱に、協議した.いくつか紹介する。
・職場開拓では、商工会やハローワークとの連携。A型事業所の活用
・企業の雇用状況に関するデータの詳細は情報開示請求で可能
・介護初任者研修特別支援学校枠。やはり読み書きなどある程度の学力が求められる
・職員の専門性を高めるためにはジョブコーチ基礎セミナーを受講する
・手帳取得できない生徒(軽度知的障害)の場合、中小企業で手帳取得を必要要件とせず、企業が求めている人材を積極的に雇用する企業もある。高卒を対象とした企業説明会に出向くべき
4.最後に
 障害者雇用促進法が28年度改正、事業者が障害者への合理的配慮提供が義務となる。

教育実習が終わりました

本日で教育実習が終了しました。

大学教員の立場でこんな発言は問題化もしれませんが、教育実習って、理不尽なところがあるなあといつも感じます。
なぜなら、全く面識のない子どもたちを受け持って、いきなり指導案を書いて授業をするのですから(しかも細案)。
教師が異動で学校が変わり、はじめて受け持つクラスの授業で、第2週目(4月中旬)に研究授業をしなさいと言われたら、戸惑いますよね。
実習生は文句を言わず、ほとんど書いたことがない指導案に悪戦苦闘し、しかも時間に追われ、夜もろくに眠れず、そして子どもの前で笑顔を見せなきゃいけないのですから、これはしんどいでしょう。

でも、プログラム化されたスマートな養成スタイルだけが人を育てる方法とは限らないと思います。
一見理不尽に見える養成スタイル(例えば、昔の徒弟制など)が、実は合理的で、きわめて有効な結果をもたらすことだってあるはず。
でなければ、こういうやり方は駆逐され、なくなっているはず。
残っているのはそれなりの価値があるからではないでしょうか。
(もちろん、理不尽さの中にある問題は、できるところから改善しなければなりません)

わずか2週間(正味十日ぐらい)の実習ですが、学生はたくましくなって戻ってきます。
数歩、教師に近づいたように見えます。
実習生に、「よく頑張ったね」と言葉を贈りたいです。

生徒指導にも行動論を

 最近読んだ本で印象深かったのは「入門 犯罪心理学(原田隆之著、ちくま新書)」です。私は大学の授業「特別支援教育の本質と目標」の中で、非行を扱っています。その理由は、発達障害特性のある子どもの関連領域として、いじめ・不登校・虐待・非行があり、学校教育でも取り組まなければならない課題だからです。学生に非行や犯罪について教えるものとして、こういう本はありがたい存在です。
 さて、原田氏によりますと、犯罪への治療効果としてエビデンスがあるものは行動療法と認知行動療法だけで、それ以外の心理療法(精神分析など)は再犯抑止効果はないのだそうです(ちなみに、自閉症への訓練効果のエビデンスがあるものは、応用行動分析だけのようです)。犯罪心理学にもエビデンスに基づく治療(処罰ではなく治療)が求められていることと、この分野においても行動論の必要性と有効性に気づかされました。確かに非行少年に対して説教や脅し、反省文を書かせる対応はほとんど効果は期待できません。居直るかさらに反抗するか、どちらかでしょう。
 精神論(甘えるな、世の中そんなに甘くないんだぞ!)や、思い込み(両親がそろっていないから愛情不足で、万引きしたんだ)による矯正ではなく、行動論に基づく対応こそ再犯抑止に有効です。犯罪行為に変わる妥当なふるまいとその結果を提示し、妥当なふるまいが自分にとって利益があることを理解できるようにすれば、犯罪行為は減少するはずです。例えば、万引きをした少年に、「今度万引きをすれば君は鑑別所に送られ少年院に送致されるかもしれない(事実)。しかしお金を払って商品を手に入れれば学校にもいられるし高校にも行けるだろう(これも事実)。どちらが君にとって良いのか」と冷静に説明することは、この少年の行動を変えることが期待できます。さらに一人でコンビニに行くという先行条件を変える(親と一緒に行く、家族で行くなど)ことで、万引きのリスクは低下するはずです。そして日々自分の行動をモニタリングすることは万引きをしないという意識を継続させることと、そのデータを蓄積することで指導の効果のエビデンスを示すことができます。なお、性犯罪者への治療プログラムの中に、自分の一日の行動をふり返り、行動の危険性によって三種類の色のシールをカレンダーに貼るというセルフモニタリングが紹介されていましたが、特別支援教育でよく使われるテクニックがこういう領域でも有効であることを知り、驚きました。
 先日、家庭裁判所調査官の研修会に招かれ、発達障害特性と少年犯罪及び特別支援教育について話しました。この中で応用行動分析による対応を紹介しましたが、多くの調査官にとってはじめて耳にする考え方だったようで、興味を持って聞いてくださいました。私は非行や生徒指導の専門家ではありませんが、発達障害特性のある子どもの問題行動への対応と生徒指導とを別のものとして区別することは妥当ではなく、むしろ共通性があるのではと思っています。誤解のないよう説明を加えますが、発達障害特性のある子が問題を起こしやすいということではなく(むしろ事実はその反対)、精神論や教師の経験に基づく生徒指導ではなくエビデンスに基づく指導をすべきだということです。そのためにも教員養成における生徒指導関係の授業では、応用行動分析に基づく対応を教えるべきではないでしょうか。特にスクールワイドな積極的行動支援は、わが国の学校文化にあっているように感じます。

(日本行動教育実践研究ニューズレター投稿原稿)

条例案最終とりまとめ提出

5月8日(金)17:00、新潟市役所秘書課において、「(仮称)障がいのある人もない人も一人ひとりが大切にされいかされる新潟市づくり条例」の最終とりまとめを、篠田新潟市長に直接提出いたしました。
平成25年6月から毎月1回の審議、新潟市全区での意見交換会を経てやっとここまでこぎ着けました。
この条例の特徴は、障害の有無にかかわらず、みんなが住みよい新潟市を作るための条件整備としての条例であることと、相互理解を深めるために話し合いを大切にすることだと思います。
これからしや関係団体が中心に、市民への啓発活動が行われると思います。
また、最終とりまとめは市のHPにも掲載される予定だそうです。
ぜひ皆さんも関心を持ち、条例制定に向けて力をお貸しください。



校長退任のご挨拶

新潟から社会を照らす光になろう」を語ります。


いきなりですが、クイズです。

次の説明は、ある有名人に関することですが、いったい誰のことでしょうか。
ヒントその一:様々なことに興味を持ち、音楽、地質学、天文学、文学等、マルチタレントでした。
ヒントその二:この人が作曲した曲が、今でも出身地の市役所から、夜7時に流れます。
ヒントその三:本業は詩人であり作家でしたが、生前全く評価されず、死後もしばらくはその存在すら疑われていました。
ヒントその四:よって肥料の改善などの農業指導で生計を立てていました。
ヒントその五:高校生の頃、国語は得意でしたが体育は苦手でした。しかし、毎週のように山に登っていました。
ヒントその六:よく田んぼのあぜ道をぶつぶつ言いながら歩き、突然飛び上がるクセがありました。
ヒントその七:知的障害のある人に興味をもち、あとをつけて観察していたようです。

正解は宮澤賢治です。
ヒントその二の曲は星巡りの歌です。

賢治と私。
賢治は私の高校の大先輩です(盛岡中学校。現在の盛岡第一高等学校)。
そして私が所属していた山岳部の大先輩でもあります(むろん賢治の頃は部活がなく、山岳部が勝手に名誉部員にしています)。
しかし、高校生の賢治に対する評価はあまり芳しくなく、同じ卒業生である石川啄木や金田一京助などのほうが、評価が高かったです(私が高校生の頃のことですが)。
私も賢治にはあまり興味をもてず、というより、作品もほとんど知りませんでした。
賢治を深く知るきっかけは、転勤した養護学校がある岩手県花巻市に住み、子どもが幼稚園に入ってからです。
この幼稚園の園長先生は、賢治が花巻農学校に勤務していたときの教え子だったのです。
園長先生は保護者会で、よく賢治の作品を紹介してくれました。

二校目に勤務していた養護学校で、私は自分の仕事について、様々な悩みをかかえていました。
教員になってからずっと重度重複障害の子どもの教育にかかわっていましたが、なかなか教育の成果が現れません。
成長どころか、退行することすらありました。
「重度重複障害の子どもの教育は、教育の原点だ」と、もてはやす先生はたくさんいましたが、担当を希望する人はほとんどいませんでした。
この子らの教育の必要性を理解してもらえない時代でした。
もっと不幸なことは、子どもが亡くなることです。
私も自分が受けもっていた子が急死したときは、教師を続ける気力すらなくなりました。
しかし、迷いの中心は自分の心の中にあったと思います。

不遇だったこのころ、私を精神的に支えてくれた賢治の二つの作品があります。
それは「虔十公園林」と「雨ニモマケズ」です。

「虔十公園林」は、虔十という知的障害の人が主人公です。
彼は、日々誰にも迷惑をかけず、気楽に生きている人です。
あるとき、虔十は父に杉の苗を植えたいと申し出ます。
その場所は杉が育つには適さない土地でしたが、虔十の熱意に押され、杉の苗を植えることになります。
虔十は不幸にも亡くなりますが、杉の苗は少しずつ大きくなり、立派な杉林になります。
そして地域の人たちの憩いの場となるのです。
ただそれだけの話です。
しかし大事なことは、「虔十はみんなに評価してほしくて杉の苗を植えたのではない」ということです。
虔十はただ杉の苗を植えたかっただけです。
結果としてみんなに喜ばれた、そういうことなのです。

「雨ニモマケズ」については、もはや説明の必要はありませんよね。
でも、最後まで声に出して読んだことがありますか。
私は、これは詩ではないと思っています。
賢治の人生観・倫理観・宗教観を凝縮した「教え」だと思っています。

アメニモマケズ、
質素な生活、素朴な生き方を描き、
困っている人のために献身的に活動したいことを伝え、
それでいて、どうにもならない自然災害を前にして人間の無力さを悟り、
そして、

ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ(苦にもされず)
サウイフモノニワタシハナリタイ(そういう者に私はなりたい)

(かっこ内は現在の標記))


と結んでいます。
これら二つの作品には共通する考え方があると思います。それは、他者の評価を求めず、他者のために生きることの尊さだと思います。賢治の家は裕福で、そのことを嫌って父と対立し、宗教まで変えました。貧しさに苦しむ岩手の農家のために奔走しますが、みんなから感謝の言葉をもらっても、そのことで自分を責めることがあったようです。他者の評価を求めず人のために生きる、これは大変なことです。仏教でいうところの悟り、そういう境地かもしれません。しかし、出家せずにこの考えを現実に実践することは、無理ではないでしょうか。
それにしても、死にそうな人に怖がらなくても良いというくだり、死の床についていた賢治は、自分に言い聞かせたのでしょうか。それとも死を超越した安寧の境地に達したのでしょうか。
賢治は法華経の熱心な信奉者でしたが、宗教を超えた心の支え、生き方を導く尊い精神を、私に与えてくれたと思っています。

ところで、なぜ賢治は「デクノボー」にあこがれたのでしょうか。
デクノボーとは、役に立たない人とか気が利かない人など、けっして良い意味では使われません。
賢治は、身体上の結果をあげつらって侮蔑するような意味で使っているのでは、けっしてなく、世間一般から取り上げられる社会的に地位のある人や誰もが認める実力者ではない人のたとえとして使っていると思います。
その中には、知的な遅れのある人も含まれているのではないでしょうか。

私は、知的障害のある人と付き合っていて、彼らが賢治が求めた生き方ができる人だと感じるのです。
(賢治は、知的障害のある人に、そのような価値を見いだしたからこそ、虔十公園林のモデルとしたのだと思います)
とはいえ、彼らを必要以上に美化するつもりはありません。
(こういう名もなき人を美化したくないがゆえに、賢治はあえてデクノボーということばを使ったのかもしれません)
他人の評価を気にせず、こつこつと自分の仕事を一生懸命にし、その結果が身近な人々のためになっている、そういうことをさらりとやってのける人だと言いたいのです。
自分ができる仕事を地道に続けて、世のために尽くす生き方、私は心からそういう生き方を尊いと思います。
ですから、卒業式や入学式では、この考えに基づいて何度かお話をさせていただきました。


「新潟から社会を照らす光になろう」
この意味は、賢治が伝えたかった精神に近いと信じています。



4年間、校長メッセージを読んでくださり、ありがとうございました。
子どもたち、保護者の皆様、先生方、本当にありがとうございました。


長澤正樹

県の会議

発達障害にかかわる県の会議に出席しました。私が印象に残ったことや感想をメモとして書きます。あくまでも私個人のメモです。
・文部科学省がすすめている「インクルーシブ教育システム構築事業」の新潟県の事業報告会を企画している
・来年度、特別支援学校にもスクールカウンセラーが派遣され、いじめや不登校などの取り組みに関与する
・通常学級における発達障害特性の件のスクリーニングの結果は、国の発表とほぼ同じであるが、何らかの対応をしていると答えた割合は90%を超えている
・新潟県では、通常学級で個別の計画を立てている割合(学校)は36%で、国の10%弱を遙かに超えている
・高等学校では、特別な支援を要する生徒について、入学後中学校側からの情報引き継ぎを実施する
・27年度、3年間の取り組みの成果を検証し、28,29年度の計画を策定する

○個別の教育支援計画について、議論がありました。私の考えを書きます。
個別の教育支援計画は、当事者と関係する人々が支援会議を開き、合理的配慮をきめ、作成し、実施を検証するための書類です。
当局は保護者と本人に対して合理的配慮の提供と支援計画作成について説明責任を果たす義務があります。
28年度に差別解消法が施行されますが、支援会議と支援計画作成をせず、合理的配慮も提供しなければ、差別になる可能性があります。

発達障害と非行

3月5日、家庭裁判所で調査官の研修会で話をしたからではありませんが、この問題に多少関わっているものとしていつも思うことがあります。
どうしたら子どもにまつわる悲劇が減るのかということを。
なお、今回の内容は私が対応した研修会とは全く関係はありません。

少年院に入院している少年の多くに、ADHDなど発達障害の「特性」が見られます。
しかし発達障害と診断されているわけではなく、落ち着きのなさや他者理解の困難さなど、発達障害に特有の特性が少なからず見られるという意味です。
虐待による反応性アタッチメント障害は、ADHDやASDによく似た状態を示し、見極めがむずかしいといわれています。
同じく少年院入院者の家庭環境は、貧困や両親の離婚などによる養育環境に恵まれなかったこと、劣悪な物理的環境の元で育てられたなど、ほとんどすべての少年にあてはまるといわれています。
当たり前のことですが、育ちの時期にあたたかい環境に置かれなければ、人としての当たり前の感性や態度は育ちません。
むずかしいのは、発達障害「特性」を示す原因を一つに特定することができないことです。
家庭環境に恵まれなくても、しっかり育っている子どもだっています。

bidirectional modelという考え方があります。
「(子)若干の育てにくさ→(親)誤ったかかわり→(子)かんしゃくで要求を通す→(親)力で押さえる→(子)さらなる反発→(親)養育をあきらめる(ネグレクト)」のように、親と子どもとの相互関係で問題行動を説明する考え方です。
これはわかりやすく、親だけを責めることは多少防げるかもしれません。
しかし、これでも解明は十分ではありません。

大事なことは原因を探すことより、原因と考えられる条件をできるだけそろえない(そろわない)ようにすることではないかと思います。
親を責めても何も解決しませんし、経済的援助を訴えてもすぐに実現するとは限りません。
養育に疲れていそうな親に一声かけるとか情報提供するとか、平凡ですが、周囲の人間が自分としてできることを一つでも実行に移すことが大事かと思います。
良い条件をそろえようとするのではなく、悪い条件が一つでもそろわないようにすることが現実的だと思うのですが、いかがでしょうか。

教育介入の応答性

先日、新潟県発達障がい者支援連携会議がありました。
会議の議題として、未診断の方への対応が取り上げられ、意見交換がなされました。
確かに未診断の方に対して、いきなり障害者福祉サービスを進めることは妥当とは言えません。
多くの相談機関や支援センターの職員が困っている様子がうかがわれました。

ある地域のサポートステーションの職員の方が発言しました。
そこでは、訪れた方に職業評価につながる簡単な作業をしていただき、結果から得意なことと得意ではないことを明らかにし、その結果に基づいて自己の特性理解につなげ、そして必要に応じてハローワークや職業リハビリセンターを紹介するとのことでした。
この対応から、活動→基準に基づく評価→自己理解→支援の過程が見えてきます。
標準化された検査や医師による診断が行われなくても、自己理解を促し、支援の必要性を認識してもらい、本人にとって必要な支援につなげることができることを示す有効な方法だと思います。
学習障害の教育でも、診断や検査をしなくても、教育的介入を実施し、その結果にすばやく対応する方法が主流になりつつあります。
できたできないの結果で子どもを差別化するという考え方ではなく、自己認識の機会を計画的に設定し、次の支援にすばやくつなげる予防的な対応と考えるべきでしょう。
診断は必要ですが、何が何でも診断にこだわる時代ではないと思います。

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
本年も研究室の活動へのご支援をよろしくお願いいたします。

私ごとですが、今年3月で附属特別支援学校の校長の任期が終わります。
来年開催される特殊教育学会の準備委員長として学会の準備、そして本学部で設置を予定している教職大学院の準備に力を入れることになりそうです。
また、新潟市で制定を予定している「障がいのある人もない人も共に生かされるまちづくり条例(仮称)」がいよいよ最終まとめの段階になり、議会に回ることとなりそうです。

継続して対応する事業では、新潟県就労検討委員会、新潟市発達障害支援事業、就学支援委員会、SENSの会、親の会などがあります。
できるだけ、皆様にとって役立つ情報提供をしていきます。

学会では多くの人に参加をしていただきたいと思います。
このようなネットワークはとても貴重な役割を果たしてくれます。
皆様の周りに関心を持ってくれる方にも、このメールマガジンやフェイスブックを紹介していただければ幸いです。

人は年をとると賢くなるのか

今年もあとわずかですね。
年齢を重ねると、一年の過ぎる早さに誰もが驚かされます。
子どもたちは日々学習や経験を積み重ねて、どんどん賢くなっているように感じます。
では、大人はどうでしょう?
人は年をとると、どんどん賢くなるのでしょうか。
それは年齢に関係なく、文字通り「どんどん」賢くなるのでしょうか。

私は、賢くなると思います。
その意味は、「私利私欲を捨てる覚悟が少しずつできてくる」ので、人として賢くなると思うのです。
昨日できたことができなくなることを当然のこととして、受け入れられるようになるからです。

高校の時、倫理社会で仏陀の教えを学びました。
その一つに「四諦」があります。
人はさまざまな欲やしがらみを持ち、失うことへの恐怖を感じるが、だんだん心の持ち方で心が穏やかになるという意味だったかと思います。
そのためにも、正しい生活を送ること(八正道)が大事であることを説かれております。

では、この教えを実行するためには、厳しい修行をしなければならないのでしょうか。
宗教の領域に立ち入ることは差し控えますが、私は、毎日の生活をしっかり送ることでも可能だと考えます。
その中で、悩み、語り、聴き、かかわることにより、そして基本的生活習慣を守ることにより、実行できると思うのです。

悩み、語り、聴き、かかわることで私たちの学びは深まります。
どんどん学びを深めていくと、底なし沼に入っていくのではなく、そこには心の持ち方で心が穏やかになるという仏陀の教えを実感できると信じております。

もうひとつ大事なことがあります。
それは、共感性の高まりです。
人は年とともにさまざまな経験をします。
当たり前のことですが、楽しい経験ばかりではなく、むしろ苦しみや悲しみをともなう経験のほうが多いのが現実です。

苦しみや悲しみをたくさん経験することで、相手の苦しみや悲しみをより深く理解できるようになります。
それが共感性の高まりだと思います。
実際、私自身、年齢とともに若い頃に比べると、感情の琴線に触れられる回数が多くなったと感じます。

心の持ち方で心が穏やかになり、そして他者理解や共感する心が豊かになるわけです。
ですから、人は年をとることで学びを深め、どこまでも賢くなっていくのだと思います。

皆様、よいお年をお迎えください。


OnとOff

英語で、on-taskと表すと子どもが課題に取り組んでいる状態、off-taskと表すと課題に取り組んでいない状態で、逸脱行動をしている可能性もあります。
授業中は、子どもたちが全員on-taskであって欲しいですね。
しかし、小学校で45分間、中学で50分、ちなみに大学で90分間、すべての児童生徒学生が、この状態を保つことは不可能ではないでしょうか。
小学校低学年ですと、15分、いやそれ以下の場合があるかもしれません。
もちろん、担任の先生も、授業中ずっと集中し続けていられるとは思っていないはずで、さまざまな学習活動を取り入れるなど、何らかの工夫をされているでしょう。

小学校のスクールカウンセラーをしていて、授業中の問題行動の相談を受けることがあります。
その内容は、やはり授業中の逸脱行動や妨害行動であることが多いと感じます。
問題となっている状況をお聞きすると、あることに気づきます。
それは、onとoffの切り替え、メリハリについてです。

元々集中が続かない児童で、しかも学力に何らかの問題を抱えている場合、特別な支援が必要です。
集中できる工夫、教材など個別学習支援などですね。
それももちろん大事なのですが、「集中する時間と集中しなくていい時間の区別をつける」ことも大事ではないでしょうか。

「はい、先生に注目。この課題をしましょう」と注意を惹きつけて集中して取り組ませて、
「はい、課題をやめましょう。少しリラックスしましょうか」とoffの状態を設定するのです。そして、
「はい、話をやめ。今度は○○をします」を続けます。

このことをいくつかの学校で提案しました。
その結果、対象となった児童だけではなく、他の児童も集中することができるようになったことと、課題に取り組むことが多くなったことが報告されました。

onと0ff、大人でも重要ですよね。

UDLと合理的配慮

学習のユニバーサルデザイン(UDL)と合理的配慮

昨年成立した障害者差別解消法の影響は大きく、教育現場でも合理的配慮の話題が尽きません。
学校が障害のある児童生徒に合理的配慮を提供しないことが差別になることから、先生方も高い関心を持っており、あるいは危機感を抱いたりしているのではないでしょうか。
ですが、ここでは合理的配慮ではなく、学習のユニバーサルデザイン(UDL)について、思うことを述べます。

公立学校に在籍する児童生徒の実態が多様化し、障害のある子どもだけではなく、さまざまな事由により特別な支援を必要とする子どもが少なからず在籍しています。
一人ひとりの実態に応じた教育的サービスを提供することが求められますが、実現にはかなりのハードルがあります。
アセスメントを師個別の指導計画を作成して指導につなげるには、相当の時間とコストと、何よりも当事者の同意が必要です。
そこで、このような多様性に対応し学びにくさ(バリア)をできるだけ減らし、通常のカリキュラムに基づく教育ができるように考え出された理念と方法論がUDLです。
まずは多様性に対応すべくUDLに基づく授業を実施し、その結果を踏まえ必要な子どもにさらなる介入を提供することが重要です。

また、どんなに合理的配慮を忠実に提供しても、UDLが保障されていなければ合理的配慮は配慮になりません。
たとえば、聞こえに困難さのある生徒に補聴器(合理的配慮)を提供しても、先生が小さな声で説明したり、長々と説明すれば、内容の理解は容易ではありません。
「指示説明は短く簡潔に明確に」という、UDLの条件を守ることにより、合理的配慮が生かされます。
ですから、これから合理的配慮の保障について検討している学校では、まずはUDLの導入を検討していただきたいです。
しっかり学ぶ児童生徒を増やし、安定した一斉授業を常態化し、そして個別支援の提供に着手しても、遅くはないと考えます。

障害のある人の社会参加とスクリプト

障害のある人の社会参加は、今や当たり前ではあるのですが、いまだ十分とは言えないと感じます。
社会参加とは、障害のある人が社会(集団、グループなど)に受け入れられることを意味します。
ということは、当事者以外の人たちは障害のある人を受け入れることが求められ、そのためにも障害をよく理解し、特性に合ったかかわりをすることが必要です。
障害のある人は、受け入れられるためにも、できることを増やすとか、できていることに気づくとか(気づけるように周囲が支援する)、そういうことも必要だと思います。
誤解のないように付け加えますが、何もできない障害のある人は社会参加できないと言っているのではありません。
そうではなく、他の構成員に求められることでできることは、ちゃんとできた方がいいという意味です。

受け入れることと受け入れられることをよりスムーズにするためには、障害のある人と関係性を構築するとか、同じ文脈で関わるとか、そういうことがあればうまくいくのではないでしょうか。
ややこしい言い方をしましたが、要するに、共通体験が大事だと言うことです。
共通体験ができるためにも、共通の興味関心に基づき、体験の内容を具体化し、体系化することが大切です。
つまりスクリプト(シナリオ、台本)がここで威力を発揮すると思います。

今回の特殊教育学会のシンポジウムで、ソーシャルスクリプトがキーワードでした。
私は、障害のある人とない人、双方にとって、スクリプトは障害のある人の社会参加、そして障害のない人の人間関係の幅を広げる上で、重要な働きをすると思うのです。

日本弁護士連合会シンポジウム

就労支援会議メモ

平成26年度特別支援学校就労支援検討委員会メモ
 9月3日に行われた標記会議の個人的なメモです。
・H23年度から3カ年計画で設置、実施した「職業学級」の第一期生(卒業生)の一般就労(就職率)はほぼ100%であった
・成果があげられたので、H27年度に西蒲高等特別支援学級に職業学級1学級設置がきまった
・職業学級は今後も県内の職業教育をリードしていく存在になるだろう
・就職後の就労継続(定着)率向上が重要である(例えば江南では、6月に卒業生対象の懇談会の実施)。就業・生活支援センターとの連携が必要である
・手帳取得者の割合がかなり高い
・介護職(特養、デイとも)の人材不足が深刻化している。さらに就労先産業種として医療介護従事者が急増している。
・介護職初任者研修(特別支援学校の生徒は年度後期3ヶ月実施)がきわめて重要である(受講者の就職率100%)。今後もこの事業は継続されるであろう。参考資料は次の通り
・テクノスクールでの職業訓練のPRが不足しているのではないか。HPは次の通り。ぜひご覧ください。
・就労継続事業A型が増加している。民間企業が参入(メリット、ディメリットが考えられる)。

高等学校の特別支援教育会議

平成26年度〜28年度文部科学省事業「高等学校における個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育」研究開発指定校第1回運営指導委員会の感想

 標記会議が新潟市立明鏡高校で開催されました。この事業の目玉は高等学校に通級指導教室を設置し、自立活動の時間を特設し、生徒のニーズにあった指導支援をすることのようです。明鏡高校は、いま現在も生徒ひとりひとりのニーズを大切に、授業のユニバーサルデザインやきめ細かな支援を実施しているので、この事業にふさわしいと感じました。文部科学省は、ゆくゆくは高等学校の通級指導教室を制度化するという考えをもっているようです。高等学校の様子も、変わっていくんですね。
 私見ですが、通級指導教室では生徒の利益になる指導を提供し、自己理解を深めて社会自立につなげてほしいと思います。そのためにも、進路指導やキャリア教育と関連づけて内容を考えるといいのではないでしょうか。

全附連校長会での発表

 8月22日、三重県津市において開催された全国附属学校園校園長会の特別支援学校部会で発表しました。この内容はあくまでも私個人の構想であり、附属学校自体の構想ではありません。
 実践に関しては、多くの方から高い評価をいただき、改めて当校職員の実践レベルの高さに感服いたしました。

研究室のゼミ

 8月2日、定例のの研究室のゼミがありました(昨年は8月3日)。学部3年生から大学院1年生まで、卒論や修論の構想、途中経過を発表しました。学生・院生が関心を持っているテーマ(キーワード)は、「通常の学級における特別支援教育」、UDL、合理的配慮、障害理解、通級指導教室、SSTなどでした。私の研究領域が影響しているとは思いますが、やはり今日教育現場で話題になりそして必要性が認められているテーマに、学生も関心を示していると思いました。

特殊教育学会の開催

 平成28年の第54回日本特殊教育学会が、新潟大学で開催される予定です。これから詳細が決まり次第、内容をお知らせいたします。

知的障害のある人への合理的配慮

 障害者差別解消法が成立し、新潟市でも差別禁止を目的とした条例の制定をめざしているなど、障害のある人への差別解消に向けた制度が確立されつつあります。 条例の内容は、障害のある人もない人も大切にされることと、障害のある人には障害のない人と同じ活動ができるための「合理的配慮」が保障されること、そしてそれはひとりひとりが異なっていることを認めることです。当然知的障害のある人へも合理的配慮が保障されます。例えば、わかりやすいことばで説明するとか漢字に仮名をふるとか、絵カードを用いる等です。私は、テレビやネットや新聞などのメディアも、もっと知的障害の人にわかりやすい説明をすべきだと思っています。なお、講演や会議の席で、発表者の説明がわかりにくいとき、知的障害の人がイエローカードを出すことができるそうです。当事者も自分たちの権利保障のために、主張することも大事ですね。今から子どもたちにも合理的配慮という権利を教えることが大切だと考えます。

(附属特別支援学校広報誌巻頭言より)

15年目を迎えた事例検討会

平成26年度の親の会(いなほの会)主催による事例検討会が本日始まりました。
この事例検討会は、今年度でちょうど15年目になります。
これだけ長く続いているのには、それなりの理由があると思います。
それは、参加者による協働作業の理念を基本としているからです。
河合(2014)は、保護者と教師の連携について以下のことが重要だと述べました。

対等な関係、お互いの立場を尊重、子どもに関する情報と対応・子どもの変化と喜びの共有

さらに、子どもの問題の原因追求より解決志向の姿勢も大切だと思います。

いなほの会の事例検討会は、まさにこれらのことを大事にしています。
さらに、本人参加を基本とし、本人の意思を尊重しています。
大人が勝手に(?)目標をきめるのではなく、本人の気持ちに寄り添い、本人の想いをうけとめ、自己決定を支援するのです。
事例検討会というより、支援会議と言った方がいいのかもしれません。

今回も高校生の当事者が出席し、自分の考えや気持ちをはっきり述べていました。
本当に頼もしく感じました。
そうです、支援会議への本人参加は、自己決定が保障されなければならないのです。
支援者の役割は自己決定できるように情報提供するなどの自己決定支援なのです。

合理的配慮を考える

5月11日、表記テーマで研修会が開かれ、たくさんの参加者がありました。
今回の研修会の主旨は、ひとりひとりのニーズに応じた支援とはどういうものなのか(合理的配慮)、それはどのように提供されるのか、そしてどう保障されるのか、教育福祉の取組を通して深めることでした。
午前中に合理的配慮について文部科学省の見解を紹介していただき、午後は小学校と高等学校の取組を話題提供していただき、最後は障害福祉課からサービス等利用計画を説明していただきました。
シンポジウムで指定討論者として私が質問したのは、合理的配慮をどう保障し連携しているか、合理的配慮提供の基準は何か、でした。
合理的配慮を保障するためには、関係者による支援チームの結成と支援会議の開催、そして個別の教育支援計画による合意形成(契約)です。
そのとき重要なことは、「自分は支援を受ける権利がある」と訴えること、自己主張です。
むずかしいのは、合理的配慮を受ける基準が、発達障害のある人の場合、明確でないことです。
ちなみに入試センター試験の合理的配慮を受けるために必要な条件は、医師の診断書と高校の校長の状況報告書です。
今後、通常学級で合理的配慮の可否、量と質をきめるためには、専門家の判断や検査結果などが鍵を握るのではないかと思います。
しかし、本人や保護者からの合理的配慮の訴えがないと、実現しません。
子どもや保護者に「皆さんには合理的配慮を受ける権利がある」ことを伝え、自己主張を保障し、支援会議を通して合意形成することが重要と考えます。

新潟市における障害のある人への差別を禁止する条例の検討会

4月17日、標記の趣旨の第10回検討会が開催され、中間とりまとめに向けて大きく進展しました。
いよいよ6月から8つの地区で意見交換会が開催されます。
日程や場所は市報(5月4日号予定)、新潟市のHP(4月下旬予定)に掲載されるとのことです。
市民の皆様におかれましては、ぜひとも意見交換会に出席され、障害のある人への差別を禁止することへの関心を高めてもらいたいと思います。

「なぜできないの」から「どうしたらできるか」へ(三条市「広報さんじょう」寄稿

 親がわが子の健やかな成長を願うのはいつの時代も同じです。しかし最近は、学習の困難さや対人関係の苦手さ、生徒指導上の問題を抱える子どもが話題になります。人と同じようにできないと何らかの障害を疑ってしまいがちですが、それは適切ではありません。「なぜできないの」と子どもを責めるのではなく、「どうしたらできるか」という発想で、いくつかの工夫をしてやらせてみましょう。工夫次第ではちゃんとできるかもしれません。それでもうまくできないとき、そのときは専門の方に相談することもできます。大事なことは障害の有無を診断することではなく、より専門的な見地から「どうしたらできるか」を教えてもらうことです。平成19年度からスタートしている特別支援教育は障害児教育ではありません。子ども一人一人について「どうしたらできるか」を考え、必要な支援や援助を提供してくれる教育なのです。

テクニックだけでは子どもは変わらない:応用行動分析の誤った使い方

先日、あるケース会議で、問題行動のある児童の取り組みについて意見を求められましぁ。
担任をはじめ関係する先生方が一生懸命取り組んだようなのですが、その対応の仕方には疑問を抱かざるを得ませんでした。
詳細は申し上げられませんが、応用行動分析の「テクニック」のみを使った、罰と特別扱いによる対応としか考えられないのです。

でも、この学校の対応を責めることはできないと感じました。
なぜなら、応用行動分析を誤って使い、テクニックだけで子どもを変えようとする姿勢は、いろんなところで見られるからです。
「アメとムチ」「いい子だったらシールを貼る」「言うことを聞かない子は退場(タイムアウト)」「カード提示でこちらの意図を伝える」など、単にテクニックを用いただけでは、子どもは変わりません。
そもそも、応用行動分析は、子ども中心(利用者中心)の考え方で、子どものニーズを大切にし、子どもの生活全体を考えて対応する理論です。

問題行動への対応は、学校組織の中で対応するためのチームを作り、問題行動の機能的アセスメント(問題を客観的に分析する、子どもの気持ちを考えるなど)を通して個別の指導計画を作成し、関係者が枠割り分担して対応しアセスメント(PDSの考え)、そして子どもと関係者のQOLの向上をめざします。
その実現に使われるのが、強化やタイムアウトなどのテクニックです。
テクニックがひとり歩きしてはいけないと思います。

「シールを貼ってあげたけど全然よくならない」「タイムアウトさせたけど反省していない」など、行動分析に対する疑惑を抱く前に、今一度応用行動分析をじっくり学んでいただき、包括的に対応しているかどうか、子どもを大切にしているかどうか、振り返っていただきたいと思いました。

手前味噌ですが、応用行動分析に基づく問題行動への対応は、以下のマニュアルで情報提供しております。

http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/CCver.2.2.pdf
http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/CCver.3.1.pdf

第2回特別支援学校就労検討委員会メモ

1月29日、標記委員会が開催され、職業学級設置の3つの特別支援学校の取組報告がありました。事情により1時間遅れで出席したため内容の詳細をお聞きすることはかないませんでしたが、最後に述べた自身のコメントを紹介します。
1.生徒指導上の問題への対応について
 ある高等特別支援学校の取組であるが、実習に入る前に「生活指導検定」のようなハードルを設け、問題点を具体的にチェックし、基準に満たない生徒は実習を見送っている。もちろん、不合格にして実習させないのではなく、十分でない行動を改善させることが目的である。
2.リスクマネジメントの教育
 サービス業では、予測できない事故やトラブルがある。知的障害の人にとって臨機応変に対処する(仕事なら余計に)ことが困難であることが多い。しかし、このような不測の事態に対応することがあることと、基本的な対処法などは教える必要があると思う。
3.自己評価
 さまざまな実習やスキルトレーニングを積み、自分がどれぐらい社会人・職業人として成長したかを、客観的に自己評価できるシステム(教材・評価方法)の開発と学校教育での実施が重要。
4.知的障害の教育における教科教育
 知的障害のある人が介護職への就労が増えており、今後も必要とされている。資格を取るために介護職員初任者研修があるが、そこにはテストがある。テスト対策というわけではないが、資格を取ったり研修を受けたりする上で、読み書き計算(リテラシー)の必要性は高い。領域教科を合わせた指導中心のカリキュラムでよいのか、検討することは必要。
5.生き甲斐・向上心
 就労継続のために、余暇などの生き甲斐は必要。また、資格や免許を取ったり、その職業でのさらにレベルの高い資格を取ること(目標とすること)も大切と考える。

自分を知る、社会を知る、将来を想い描く

 昨年12月中旬、いなほの会研修会にて3名の成人の方が話題提供されました。爽やかないまどきの若者たちで、緊張してか控えめな態度はかえって好感が持てました。
 彼らは皆障害者雇用ではありますが、お話の内容から、自分のできる仕事をしっかりこなし、余暇を含めた生活も充実していることがうかがわれました。周囲からもその仕事ぶりを評価され、さらに向上心をもって「次」の自分を見据えている姿に、こちらが教えられた気分でした。
 私事ですが、今年度も発達障害のある人の就労について、いえ、障害の有無にかかわらずキャリア教育について、講演を求められることが何度かありました。講演会の参加者のニーズにかかわらず、私が強調したことは次のことです。

 「自分を知ることと社会を知ること」
 まずは自身の特性や能力などを客観的に認識・評価する自己理解の重要性を訴えました。このことは自分にあった職業を選択する上で、もっとも基本となります。つぎに社会情勢や就労支援制度、福祉サービスについて知ることです。今どのような仕事が必要とされているのか、そしてその仕事に就くためにどのような資格が必要か、さらには学校教育で十分身につけられなかった場合のサポート体制や、障害者雇傭を含めた福祉制度・サービスにかんする知識を得ることです。最後は、それらの権利があり保障されていることを、自分自身の声で訴えることです。ここでも自己決定(自己主張)が求められます。

 忘れてはならないこと、それは「将来の自分の姿を思い描くことと、定期的な自己評価」です。まずは、大人になった自分を具体的にイメージしてみましょう。人によってはまだまだ先のことなので、こういうことに抵抗感があるかもしれませんが、勇気を出して考えてみましょう。「どんな生活をしているか、休日には何を楽しんでいるか、自分ができる仕事は何か」を想像しましょう。理想でかまいません。「こんなこと、できるわけがない」と消極的にならず堂々とイメージしましょう。
 そして大事なこと。
 今の自分の実態から、将来の姿に近づくために、「今できること」をきめるのです。生活、余暇、仕事、どれでもかまいません。無理なくできる「はじめの一歩」をきめてみましょう。例えば、「将来地元のサッカークラブのサポーターとしてゲームのボランティアスタッフとして活躍したい」が将来の目標だとします。「今できること、それはホームゲームの2回に1回は応援に行き、自分の周囲のゴミ拾いをする」が、はじめの一歩となるのでは?
 当面の目標ができたら、さっそく実行です。そしてできたかどうか、どれぐらい将来の自分に近づけたか、しっかり評価してください。できた時は次の一歩をきめること、むずかしかったときはもう一度できそうな内容を考えることが大切です。
 この繰り返しが、未来の自分に「会える」秘訣なのです。

インクルーシブ教育システムの構築に向けて(「長岡市特別支援教育便り」より)
1.インクルーシブ教育システムとは
 インクルーシブ教育システムとは、障害の有無にかかわらず同じ場で共に学ぶことを保障し、個々に必要な支援を提供して、その子の持つ力を最大限に引き出す教育の在り方といえます。この制度ものとでは、障害のある子どもも居住区にある学校の通常学級における教育が基本ですが、特別支援学級や特別支援学校(特別な場での教育)も子どもの能力を引き出す教育の場として活用されます。つまり、通常学級を基本としながらも、必要に応じて特別な場での教育を選択できるのです(連続性のある多様な学びの場の選択)。
2.就学指導はこうなる
 子どもにあった就学先を決める場合も通常学級を基本としますが、特別な場での教育を活用する権利が子どもに認められています。「通常学級でできないから特別な場」ではなく、「子どもの能力を伸ばすために活用する」という考え方に基づいており、活用するかどうかは子どもや保護者が決定するのです。そのために教育当局は必要な情報を提供し、当事者の自己決定を促します。決定事項や学校が提供する特別な支援の内容は、個別の教育支援計画にまとめることとなります。なお、いじめや偏見など、特別な場で学ぶことへの不安について、学校はしっかり対応しなければいけません。
3.学校に求められる対応
 障害のある子どもをはじめ、さまざまな教育的ニーズのある子どもたちが通常学級に在籍するようになったとき、学校は四つの対応が求められると思います。まず、すべての子どもに必要な共通する対応として、学習のユニバーサルデザインの導入と段階的な対応です。すべての子どもの学びを保障する授業をすることと、共通する対応で十分学べなかった子どもに補習などの特別な指導を段階的に提供することです。二つ目は、障害特性に応じた特別な対応と合理的配慮です。障害のある子どもが在籍する場合、障害のない子どもと同じ学習条件で学べるよう、特別な対応が保障されます(障害者差別解消法)。三番目は、特別な場の活用です。通常学級と特別な場での教育を組み合わせて、さらに濃密な対応ができるようになります。最後は、このような対応のための校内システムの構築です。子どもの対応を検討する校内委員会と支援チームの設置、個別の教育支援計画作成と評価のための支援会議の定期的開催、そして保護者をはじめ関係者との連携です。
4.本人、保護者、市民の方へ
 特別な支援を必要とするあなたへ:人にはそれぞれの特性にあった教育の仕方があり、自分にあった特別な支援を求めることは、あなた方の権利なのです。自分たちに与えられている権利をよく知り、自分のことばで特別な支援を求めていきましょう。保護者の方へ:インクルーシブ教育システムは子ども一人一人の力を伸ばす多様な学びを保障します。。お子さんにあった教育をお子さんと一緒に考え,決定してください。市民の方へ:インクルーシブ教育システムの理念は共生社会の実現です(障害者基本法)。子どもたちの学びは多様であり、それは障害別の教育とは同じではありません。ぜひとも子どもたちの多様な学びが当たり前であることを理解し、合理的配慮などの特別な対応を当たり前の権利として認めてください。そしていじめや偏見のない教育のためにご協力ください。

にいがた共育通信第31号 12月発行 「この人に聞きたい!」で、家庭教育について掲載されました。
以下、その原稿です。

プロフィール:2009年10月に新潟大学教育学部教授に就任。2011年4月から新潟大学教育学部附属特別支援学校校長となる。特別支援教育が専門であるが、いじめや不登校などの教育問題にも対応し、学校カウンセラーなどの相談業務で学校教育現場にもかかわり続けている,

<質問>
 
1.家庭での親子のコミュニケーションで,親はどんなことを心がけたらよいでしょうか。

A.親と子の日々のコミュニケーションは、どの時期でも大切なかかわりだと思います。当たり前のことですが、コミュニケーションは話すことと聴くことの役割交代で成立します。学齢期に大切な親の態度は、子どもの話をよく「聴く」ことです。大人はたくさんの経験をしているので、ほとんどの子どもの悩みや疑問に答えられるでしょう。しかし、大切なことは子どもにすぐに答えを教えるのではなく、自分で考え、自分で解決策を見いだせるようにすることです。「友達のことで悩んでるんだ」「そうだよね、人間関係ってむずかしいよね」のように、まずは子どもの気持ちに共感し、子どもの話をじっくり聴き、一緒に考えることです。お子さんの中にはなかなか話してくれない子もいます。焦らず、子どもが話しやすい状況をつくってあげてください。

2.自己決定できる子どもを育てるための親の役割,ポイントはなんですか。

A.自己決定とは、子どもの生活や人生にかかわることがらについて、子ども自身がきめることです。しかし、このことは子どもの好きなようにさせることとか、子どもがきめたことに親が従うことではありません。きめなければならないこと(解決すべき課題)について一緒に話し合い、情報を集め、さまざまな可能性を検討し、そして子ども自らが親も納得する決定をすることです。例えば高校進学の場合、子どもの希望や学力・適性などに基づき、考えられる学校を一緒に探し情報を集め、親も意見を言いながら、子どもの将来にもっともふさわしい学校が選べるように支援します。親は時分の意見を言っていいのです。ですが、子どもの話にじっくり耳を傾け、子どもの気持ちにより添い、一人できめられるように時間をかけてかかわってください。

3.子どもの問題行動への対応はどのようにすればいいのですか。

A.子どもの問題行動は誤った自己表現だと思ってください。問題を起こす子ども達は何かを訴えているのです。「それはいけない」と頭ごなしに叱るのではなく、子どもの気持ちをよく聴いてあげることも大事です。「どうしてそんなことをしたの」ではなく、「何があったのかゆっくり話して」と、子どもの胸の内を聴いてあげます。子どもは自分が抱えている悩みや不満を吐き出してしまえば、冷静になり自分のしたことを振りかえれるはずです。そのときは「どうすれば良かったんだろう」「どういう言い方が良いんだろうね」と、一緒に考えてあげてください。くれぐれも結論を急がず、子どもが納得できる(実行できる)自己表現の仕方を見つけましょう。よい子に育てるマニュアルはありません。良き人に育てる過程が大事なのです。子どもの悩みに付き合いましょう。

障害者権利条約とインクルーシブ教育

障害者権利条約の批准に向け、参議院本会議で全会一致で承認されました(12月4日)。
これによりわが国の教育はインクルーシブ教育に向かうこととなります。
しかし文部科学省は、「インクルーシブ教育システムの構築」をめざしてはいますが、「インクルーシブ教育」をめざしているとは表明しておりません。
このことは、インクルーシブ教育を求める立場との見解の相違が今後問題になることが懸念されます。
つまり、障害のある児童生徒が通常の学級での教育を求めたにもかかわらず、就学支援委員会が通常の学級ではない判断をした場合、そして保護者と学校との最終判断が一致しなかった場合、条約に反するかどうか争われるかもしれないということです。
いえ、条約というより、障害者差別解消法に反するかどうか争われると申し上げた方がいいのかもしれません。
就学支援委員会と学校が通常学級ではない判断をしたとしても、それは「インクルーシブ教育システム」に合致した判断であり、何ら問題ないと見なされるでしょう。
しかし、通常の学級で教育を受けることこそ「インクルーシブ教育」だと主張する立場から見れば、それはとうてい受け入れがたい判断だと主張すると思われます。

このような意見の食い違障害者権利条約の批准いを調整するための機関が必要であることは、文部科学省も認めております。
ただ、その機関が教育委員会内に設けることについては、「インクルーシブ教育」を推進する立場の人たちは反対しておるようです。
教育サイドではない第三者による調停ができる機関の設置を求めるようになるでしょう。
あるいは、調整する機関の判断を不服として、訴訟が多くなるかもしれません。

就学判断が対立したまま入学を迎えるなどという、子どもにとって不幸な結果にならないよう、以下のことが大切だと考えます。
教育委員会の仕事として、早期からの教育相談(就学相談)体制の構築と理解啓発、情報提供の徹底、就学に関わる支援チームと支援会議の開催です。
学校の仕事としては、障害のある子どもを受け入れる校内体制の整備(物理的環境、UDの授業、校内システムなど)、教員の意識改革、そして説明責任の徹底化です。
保護者に求められることは、インクルーシブ教育システムについての知識や情報の獲得、相談機関の利用、そしてそれらを活用しての自己決定です。

もちろんこれだけですむ問題ではありません。
私は、今後もインクルーシブ教育システムの構築、インクルーシブ教育の問題に積極的に関わっていく所存です。

児童養護施設協議会職員研修会(長岡市)

11月29日、標記研修会で講演しました。
さまざまな家庭や親の事情で、施設や里親の元で生活している子ども達にかかわっている方々の研修会です。
私は特別支援教育の制度や学校教育の現状をお話ししました。
質問として、「発達障害を全く知識のない方にどう説明するか」「小中学校の先生方は、発達障害の児童生徒の対応についての研修は受けているのか」「特別な支援は学校の裁量で実施できるのか」など、とても貴重なテーマをいただきました。
「学校現場がこのように変わっていること(特別支援教育への転換)は全く知らなかった」などの感想も頂戴しました。
いつもは教員の方にお話ししているのですが、このような職種の方からの刺激はとても新鮮でした。

ちなみに発達障害の説明ですが、以下のようにお話ししました。
「学習や対人関係、社会適応などの面で、さまざまな困難さを抱え、その困難さの克服が自身の努力だけでは学校や社会でうまくやっていけない状態。しかし、周囲からの特別な支援があれば学校や社会でうまくやっていける。そういう人たちを発達障害のある人と言う」
これがよい説明かどうかはわかりません。
しかし、医学的定義ではかえって誤解される可能性があると判断し、このように述べました。

これはフェイスブックの書き込みに加筆したものです。

学力向上は何のために

ある地方の小さな小学校からの依頼で、ユニバーサルデザインに関する研修会と講演に応じました。
その学校では学力の低さが問題となり、国レベルの対応がなされているとのことでした。
その対策の一つとして、教員研修にユニバーサルデザインを取り入れることにしたのだそうです。

今や国主導で学力向上に積極的に取り組んでいますが、このこと自体は悪いことではないと思います。
しかし、子どもの立場に立ったとき、大人による競争のような事態に巻き込まれ、学力向上が目的となって尻をたたかれるとなれば、問題だと思います。

素朴な疑問ですが、何のために勉強するのでしょうか?
今さらこんな疑問を真剣に検討するのもどうかと思いますが、この小学校のある町の事情を少し紹介します。
この町は第一次産業で成り立ち、中学を終えるとほとんどの子が町の高校に進学し、そして地元の産業に従事するそうです。
親からすれば高学歴より早く自立し、家業を手伝って欲しい(継いで欲しい)のが本音だとか。
なので、「勉強はいいから、家の仕事を手伝いな」が口癖のようです。
この地域が特殊かどうかはさておき、「なぜ勉強するか」を考える上で重要なエピソードだと思います。

この町が、この産業で現在も将来も経済的に成り立つのであれば、そして住民が幸せであれば、学力向上をあえて目標としなくてもいいのかもしれません。
しかし、産業構造が第三次産業にシフトし、特にさまざまな専門職のニーズが高くなっている現状を考えると、そうも言っていられないのでは。
何よりも、子どもたちの可能性や夢を早期につぶしてしまうことは、産業構造の変化を論じる以前の問題です。
なぜなら、今必要とされている職業に従事するためには、ある程度の学歴、免許、資格などが必要で、早期から学力を身につけることを目標としなければならず、「勉強しなくてもいい」は、子どもの可能性をつぶすことになるからです。
私はこの小学校の校長先生に、町長を始め議員の方々、そして町民すべてが学力向上の必要性を理解し、町を挙げて取り組まないと学力は向上しないのではないかと述べました。

アメリカでは州共通スタンダード(Common Core State Standards)という、わが国の学習指導要領のような学力の基準を設け、すべての国民が高等教育まで受けられるようにするという政策を展開したと聞きます。
大学卒の資格がないと、ある程度の収入が得られる職業に就けない、そういう事情が大きいようです。


*例にあげた町の情報は、今回の主張の内容に影響のない程度に脚色してあります。

職業学級検討会議

職業学級の検討会議(8月29日)

特別支援学校就労支援検討会議の個人的なメモです。県への問い合わせはご遠慮ください。

1 県の説明より
・県特別支援学校卒業生の就労率(H24)は27.9%.国の平均を上回る。特に福祉関係業種への就労率が好調
・職業種は、生産労務とサービス業務(バックヤード、流通、清掃、介護補助など)が主
・現場実習の重視と就労傾向を参考にした職業種の拡充
・連携体制のさらなる教科(労働・福祉・企業)
○職業学級のパイロット事業はH26年度も継続がきまった。それ以降は職業学級の(今年度の)就労率による。

2 3校の取り組み
 どこも3年目に入りすべての学年がそろい、職場実習など職業にかんする学習に力を入れている。委員からもカリキュラムや支援体制がしっかりできているとの評価。就労に向けた学習だけではなく社会で生きていくための学習も
・江南:受け入れ企業の拡充。今後の課題として、手帳取得できない生徒の進路指導、不登校や家庭の教育力低下への対応、現場実習と学校生活のバランス
・月ヶ岡:生徒の居住地に即した実習先・就労先確保の難しさ
・吉川:実習先・就労先確保の難しさ、働く意識をしっかり持った生徒の育成(規則正しい生活、集団参加、夢を持つ、自己肯定感、障害受容)

3 協議より
・企業開拓:進路担当者のネットワーク、企業団体との連携,ハローワークや就業生活支援センターの活用
・就労後の職場定着の実態調査の必要性。給料をもらっても働く意欲が低下し(生きがいがない?)ている知的障害者も。
・障害理解を含めた自己理解への指導の必要性。自己決定支援のカリキュラムの必要性
・今後、高齢者のサポート住宅など福祉関係事業所の求人増が予想される。介護補助からスタートしレベルアップしている人も。ヘルパー2級に変わる介護職員初任者研修に変わりテストへの対応の必要性。
・アルバイトの必要性の議論:あくまでも学校は就労に向けた学習中心だが、企業側では短時間のアルバイトとして人を必要としているところもある
・就労がうまくいくと、障害特性を超えて(企業側の)要求水準が上がることもある。障害者理解を担当する専門機関や支援者とのつながりの必要性。


連携、共有とは

富山県教育センターにて、コーディネーター研修の2回目の講師を務めました。
ここで深く考えたことは、連携と共有です。
子どもに関わる様々な人が連携し、情報共有することの重要性はどなたも認識されていると思います。
共有するとは、情報の共有から始まり、問題・ビジョン・解決の方略と計画・結果と有効性の共有、すべてが必要です。
どれか一つでも欠けると十分な連携は期待できません。
さらに、同じ認識ができるためには、事実に基づく説明が必要不可欠です。
特定の専門的立場の人しかわからない用語ではなく、誰もがわかる共通語「事実に基づく客観的記述」です。
今回、各校のコーディネーターによる優れた実践を拝聴し、ますます自分もコーディネーター養成について知見を深めることの必要性を感じました。
研修に参加されたコーディネーターの先生方、有意義な発表をありがとうございました。

(フェイスブックより)

特別支援教育の情勢の変化

特別支援教育士認定講習会講師として、大阪で「特別支援教育のシステム」について話をしました。
さすがに専門の資格を取る目的を持っている方々だけに、真剣そのもの、授業に向かう姿勢には恐れ入るばかりでした。

控室で認定協会の役員の方とお話しすることができ、このとき興味深いことをお聞きしました。
それは、認定講習の内容が、社会の変化に対応するのが間に合わなくなるほど、特別支援や発達障害を取り巻く現状の変化が早いということです。

しかし、認定協会が発行するテキストの内容は、けっして古くはありません。
むしろ更新が早いと思います。
ですが、DSM-Xへの診断基準の改定、WISC-WやKABC-Uへのバージョンアップ、インクルーシブ教育システムの構築、就学指導から支援への移行など、その変化はめまぐるしく、スライドを変えることさえ間に合わない様子です。

だからといって、認定講習で新しい情報だけを優先的に提供することは,必ずしも好ましいとは言えません。
基本的な内容をしっかり学んでいただき、それから新しい情報へと,個人的にバージョンアップすることも必要です。
個人が主体的に学ぶ姿勢は、いつの時代でも、どのような研修でも必要だということです。

専門性は獲得すればそれが永久に維持できるわけではありません。
学びの姿勢は、いくつになっても、どういう立場になっても、大事にしたいものです。

(フェイスブックより)

平成25年度長澤研究室夏季ゼミ
8月2日に、標記ゼミを実施しました。
今回も卒業生が多数参加し、雰囲気を盛り上げてくれました。
卒業研究と修論の研究内容を発表し、メンバーで共通理解を図ることが目的でした。
本研究室では、年度初めに研究計画を発表しています。
http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/project(2013).htm
学生や院生はこの研究計画に従い、問題行動やUDLなどのテーマを選択し、自身の興味関心を加味し、計画を立てています。
ぜひとも、私が発表した研究内容を発展させてレベルアップしてくれることを期待しています。
このことが研究室のレベルアップになり、後に続く学生や院生のレベルアップにもつながると信じております。

発達障害支援の県の会議

7月19日、発達障害支援の県の会議(名称が長いので省略しました)に出席しました。
今年度はアクションプランに沿って、身近な地域で適切な支援を行うための支援体制の構築、ライフステージに応じた支援体制の構築を基本方針とし、具体的な取り組みが3年計画で実施されるようです。
詳細は県のHPにアップされると思いますが、ぜひともご覧いただきたいと思います。
私は取り組みの説明をお聞きし、次のように感じました。

県の整備体制がしっかり確立してきているので、あとは実行するのみ。
障害という診断にこだわらずに対応すること、当事者を含めた関係者がチームを作り支援会議を定期開催すること、話し合って合意したことを書面にまとめること、そして実行した結果をしっかり評価して次に生かすこと。

関係する皆さん、がんばっていきましょう。
そして、すべての県民が発達障害を正しく理解できるよう、啓発をすすめましょう。

平成25年度第1回新潟県発達障がい者支援連携会議

6月28日に実施された標記会議の個人的なメモです。関係機関へのお問い合わせはご遠慮ください。
(1)成人期の取組
・単位制高校:特別支援が必要な生徒が少なからず在籍している。中途退学や不登校、生徒指導上の問題。就労と就労支援のむずかしさ。生徒の困り感の早期把握のためのアセスメントと相談を丁寧に行っている。
・新潟地域若者サポートステーション(http://saposute-niigata.net/):学校連携推進事業。若者応援ネットワーク事業(リーフレットあり)、サテライトの充実(新発田市)、JOINによるサポステ出張相談
・発達障害者の就労困難:企業側の事情(障害認定されている人を雇用し、法定雇用率を達成したい)、発達障害の求人の少なさ、就労支援ネットワークの立ち上げ
・就労支援における自己理解の重要性:本人に関する客観的な情報提供し、自身の困難さに気づくことと、提供される福祉サービスを知り権利として利用を自己決定できるようにすること。サポステでも自己理解支援の取組をしている。また、コミュニケーションスキルのセミナーも。
(2)幼児期の取組
・佐渡市における巡回相談事業:保育所への巡回相談、地区担当保健師による対応、学校教育課との連携・保育士への研修・保護者支援(ペアレントトレーニング;PT)・今年度「島人ジュニア事業。
・上越市すこやかなくらし支援室:就園、就学のつなぎとして保育園、学校とのケース会議等での話し合い。そのために、相談支援事業、ケースへの支援会議、家族単位で支援。
・PTの有効性、重要性:プログラム化されたトレーニング以外でも、親の会では先輩の親が支援することの有効性が示された
・移行期の連携について:単なるバトンタッチではなく、一定期間2つの機関が同時に支援することが大切

第1回(仮称)障がいのある人もない人も一人一人が大切にされいかされる新潟市づくり条例検討委員会

6月20日、標記会議が新潟市役所で開催されました。
私は委員として、そして座長として参加いたしました。
折しも、前日の19日、国の「障害者差別解消法」が国会で成立し、平成28年度施行がきまる(基本方針や要項、ガイドラインの作成などに時間がかかるため、3年の猶予期間がある)など、条例制定に向けて良いスタートが切れたと感じました。
国の法律では、障害を理由に排除する差別と合理的配慮なき差別が明確にされ、国や地方公共団体では合理的配慮の不提供禁止が法的義務となりました。
ということは、学校現場でも合理的配慮を提供する義務を負うことになりそうです。

新潟市では「共に生きる社会・新潟づくり」をめざしており、誰もが自分らしく生き生きと暮らせる政令市新潟を創っていくビジョンを有しております。
そのためには障害のある人へのさまざまな差別を起こさない取組をしっかり構築することが重要と考えます。
私は特別支援教育を専門とする立場として、この条例制定に尽力していく所存であります。

政権交代による教育施策の変化

6月1日、日本教育大学協会と全国附属学校連盟の会議がありました。
この会議の中で文部科学省から、これからの教育行政についての説明があり、興味深くお聞きしました。
一番強く感じたことは、政権交代によって教育行政がこんなにも変わるのかということです。
昨年のこの会議では、教員免許の修士レベル化が大きな話題になりました。
しかし、今回はこの話題や記述が一切見られませんでした。

教育施策の善し悪しはここでは言及しませんが、気になったことをいくつか箇条書きにしました。
新聞発表等でご存じかと思いますが、少しあげてみます。

自民党の教育再生実行本部が5月23日に発表した第二次提言です。
・「平成の学制大改革」部会:結果の平等主義から脱却し、社会状況や子どもの実態等に応じて、学校制度を多様化・複線化
「大学・入試の抜本改革」部会:高校在学中に複数回挑戦できる達成度テストの創設・学力保障を前提とした多面的評価による入試への抜本改革(略)
・「新人材確保法の制定」部会:「教師インターン制度」の導入(以下略)、「チーム学校」の実現、外部人材30万人の学校サポーターの活用等により、教師が児童生徒への教育に専念できる体制の実現
あくまでも与党としての提案ですが、幼児教育無償化など、文部科学省が概算要求として検討しているものもあり、今後の展開を注目したいものです。

特別支援教育関係の予算についてですが、今年度は「インクルーシブ教育システム構築事業」に14億円弱が計上されました。
今までの文部科学省予算では、かなりの規模ではないでしょうか。
世界標準であるインクルーシブ教育に向けて進んでいくのだと思うのですが、気になるのが「インクルーシブ教育」ではなく「インクルーシブ教育システムの構築」を目指していることです。
おそらく、インクルーシブ教育システムを構築した、その中のひとつがインクルーシブ教育だ、位置づけるのだと思います(あくまでも私の推測)。
インクルーシブ教育についてはさまざまな考え方がありますが、果たしてこのような方向性が障害者の権利条約の理念にあっているのか、疑問を感じるところであります。
これも、今後の展開を注目したいものです。

授業参観と記録

仕事柄、学校を訪問し授業を見せていただくことがたびたびあります。

私の場合、特別な支援を要する子どもの様子を直接観察し、その後のコンサルテーションに生かすことを目的としております。

私のような立場でなくても、例えば学生とか、保護者とか、授業を参観することはそれほどめずらしいことではないでしょう。

そこで、授業を参観する人は、記録をとったら(記録係になったら)どうでしょう。

しかも、対象となる子どもの、次の事柄について。

「活動や課題への参加頻度(時間)、課題達成数(成功した割合)、教えた行動ができた回数」

とかく記録となると暴言の回数や離席時間など、問題行動を記録することがほとんどではないでしょうか。

そうではなく、望ましい行動について、できるだけ客観的な記録をとることをおすすめいたします。

その結果を担任や保護者、子どもに提示し、どれだけ授業をしっかり受けていたか、本人をほめる(認める)根拠にするのです。

このことが教師や保護者にとっては指導の有効性を確かめることになりますし、子どもの自己肯定感を育てることにもつながります。

ビデオによる記録も客観的な方法ですが、見直すのに時間がかかりますし、不適切な行動に目がいってしまって、結果、叱る羽目になるかもしれません。

試してみてください。

親支援講座の要項

自閉症啓発デー・発達障害啓発週間関連イベント

 ご存じのことと存じますが、ここでも紹介させていただきます。
 平成25年度新潟県・新潟市の企画
  ・ブルーライトアップ:4月2日火曜日、17:30から23:00 NEXT21のライトアップ
  ・パネル展示及び啓発グッズ配り:3月30日から4月8日にイオンモール新潟南でパネル展示。3月30日は啓発グッズ配り
  ・メディアを利用した啓発及び告知:TeNYのテレビ伝言板でこのイベントの紹介を行う予定(放送日未定)

第2回特別支援学校就労支援検討委員会メモ

第2回特別支援学校就労支援検討委員会メモ

 職業学級の実践を通して、今後の知的障害のある生徒の就労を考える委員会です。検討会で話題になったことの個人的なメモです。正式なものではありませんので、教育委員会へのお問い合わせはご遠慮ください。

1.企業向けの学校見学会の有効性
 作業学習など、特別支援学校の実践を紹介するために積極的に企業にPRすることは有効。ハローワークと連携して開催がよい。まずは生徒のことを理解していただく(仕事ができるのだという事実など)ことから始める。そして、現在実施している作業学習をすることで、企業が求めている仕事(作業)にどうつながるかを明確にすることも重要。
2.教員の専門性の向上
 ジョブコーチの資格の取得など、作業学習や進路指導担当者の専門性の向上を。キャリアコンサルティングの講習会で「ジョブカード」の作成を学ぶことなど。ジョブカードを作成することにより、その生徒の仕事に関する能力を具体的、包括的に知っていただくことができる。
3.コミュニケーションスキルの向上
 仕事をする上でも、職場での人間関係をよくするためのも、コミュニケーションスキルの向上は必要。挨拶や笑顔といった一般的なことから、職種によっては雑談ができることも必要。生活の中で教えることも大切だが、自立活動の時間などで集中的・体系的に教えることも必要。
4.職場開拓
 新潟県内の企業数を見ると、上から製造業、卸小売業、医療福祉となっている。医療福祉の障害者雇用率が特に低い。これらの業界へのPRをもっと積極的にする必要がある。労働局でも重点的な取組をするようである。
5.介護職への取組
 ヘルパー2級の制度がなくなるが、その後は介護職員初任者研修に移行。当然テストが義務づけられる。レポートを書くなど、リテラシーの向上などの教育が今以上に必要か。ただ、事業所によっては介護職ではない職種を募集しているところもある。事業所ごとのニーズを調べることも必要。
6.特別支援学校の生徒を対象として面接会などの開催
7.家庭との連携
 職業に就くこと(働き続けること)には、生活の自立は切り離せない。家庭と連携を強め、社会生活の自立を学校教育の段階でしっかりすること。ただ、困難な家庭もあるため、寄宿舎を積極活用し、自立につながる指導をしている学校も。
8.新たなビジネスの考案
 小型植物工場をJAや花き店に設置してもらい,維持管理を支援学校が担当するなど、新たなビジネスを考案し提案することも大切。

特別支援教育、学びの(授業の)ユニバーサルデザイン、学習のユニバーサルデザイン

 研修会や講演会で、学習のユニバーサルデザインについて話す機会が多くあります。よく、「今多くの学校で実施している学びの(授業の)ユニバーサルデザインと、先生が説明する学習のユニバーサルデザイン(UDL)はどう違うのですか?」と聞かれることがあります。私の個人的な考えをスライドにしてみました。参考になれば幸です。

親の愛情、教師の愛情(日本行動教育研究会報第124号にに寄稿した原稿)

 教育相談の席でよく聞かれる説明に、「この子は親の愛情不足ですね」という表現があると感じます。愛情不足って、便利なことばですよね。これで相談員の責任が果たせるわけですから・・・
 そもそも、親の愛情って、何でしょう。
 私は親の愛情とは、「身辺自立や人付き合いの仕方などを、子どもの実態にあわせ、子どもにわかるように、丁寧に、そして根気強く教えること」と考えます。実際に親となってみればわかりますが、人としてしっかり育てるには相当なエネルギーが必要です。このようなことができる源(エネルギー)こそ、親の愛情ではないかと思うのです。
 親の愛情のかけ方を具体的に分析しますと、次のように説明できるのではないでしょうか。まず先行条件として、子どもの実態にあった目標を設定し、こどもにわかりやすく説明、もしくはよきモデルをしめす、スモールステップで教えることが考えられます。次に標的行動です。これは身辺自立や社会的スキルなど、年齢相応のスキルを選択することです。最後に後続条件です。少しでもできたらほめることと、できないときにはプロンプトしたり、基準を下げたりすることが考えられます。ただし、この過程は親から子どもへの一方向ではなく、「子どもが身辺自立スキルを少しでも獲得する→親がほめる→子どもはまた自分でしようとする→ますますほめる」という、双方向(Bidirectional)の過程と考えます。発達の健全な循環とでも言えますでしょうか。
 それでは、教師の愛情とはなんでしょう。親の場合と異なり、標的行動が、教科学習や集団生活に変わる、それだけでしょうか。いろんな考えがあると思いますが、私は特別支援教育の教師に求められることから、教師の愛情を考えてみました。
 まずは特別支援教育にかかわる教師に求められることです。
一つ目は説明責任です。具体的には個別計画の作成と評価のことです。二つ目は信頼できる指導法の採用で、行動分析による授業と実践ではないかと考えます。三番目はエビデンスに基づく実践で、子どもができるようになった・変わったという証拠を示すこと、やはり行動分析が得意とすることではないでしょうか。
 これら3つのことを実行することは、けっこう大変ですよね。このような大変なことを成し遂げる気持ちやエネルギーこそ、「教師の愛情」と言うのではないでしょうか。
 ちょっと無理のある説明かも知れませんね。しかし、これだけは言えます。
 子どもに愛情を持ってかかわりたい人は、行動分析を学ぶべきだと。

ADHDと愛着障害

ADHDの状態と親の虐待による行動障害とがよく似ていることは広く知られるようになりました。現在では、親の虐待によるそのような症状を示すことを、反応性愛着障害と呼ぶことが一般的になってきています。
教育相談の仕事をしていると、反応性愛着障害と思われる事例が多いことに、改めて驚かされます。
この障害への対応としてむずかしいことは、ADHDと同じ対応ではうまくいかないということだと思います。
ADHDは行動障害、愛着障害は心の障害(信頼関係の問題)ですから、対応が違うことは当たり前です。
ですから、ルールをきめてルールを守ったら強化するなどの行動分析による対応がうまく機能しないこともあります。
当然、教育的な対応より福祉としての対応が主になりますから、学校が中心に対応するのではなく、児童相談所が中心に対応するべきです。
となると、この子達の教育の場が問題になります。
情緒的な問題を示す場合、情緒障害の特別支援学級が妥当でしょうか。
一概には言えませんが、私が強調したいことは、彼らの場合問題の所在は親であって子どもではないことと、児童相談所がコーディネーター役になって対応すべきであることです。
教師は親の代わりは務まりません。
親子関係の構築に、もっと児童相談所が積極的に介入してほしいものです。

特別支援学校に求められること:センター的機能の充実

今年度のLD学会シンポジウムでは、「高機能広汎性発達障害のある人への包括的・生涯的な支援プログラムを考える」に参加し、研究室の取り組み、親支援講座とチャレンジルームを紹介しました。
東北福祉大学の阿部先生は、大学の特別支援教育センターの活動を紹介されました。
兵庫教育大学の岡村先生は、高機能ASDを対象とした実際的な支援プログラムを紹介されました。

ASDに限らず、発達障害の方々に対し、さまざまな支援が提供されてはいますが、十分ではありません。
その内容は、SSTや親支援プログラム、教員や一般市民を対象とした研修会、居場所の提供、社会自立を促す大人塾、教育相談、カウンセリングなど、枚挙にいとまがありません。
具体的な支援を上げればきりがありませんが、一つ言えることは、このような支援を提供する機関が、ごくわずかしかなく(特定の地域にしかない)、病院や大学などの専門機関だということ。
結果として、これらの支援を受けられる人は、ごくわずかではないかということ。

私は、特別支援学校が、このような支援の提供先として、もっと積極的に動いてもいいのではないかと考えます。
支援学校は、どの保健圏域にも一つはあるはずです(新潟県の場合)。
私が言うまでもなく、さまざまなセンター機能を果たしていることは承知しております。
ですから、「もっとがんばれ」とゲキを飛ばしているのではなく、現在のセンター機能の実績を評価することと、地域から求められていることを集約し、学校のリソースを整理して、定期的に見直していくことが必要ではないかという提案です。

インクルーシブ教育が実施されれば、小中学部を選択する人数は間違いなく減少します。
そのとき支援学校のとるべき道は何でしょうか。
今から検討することは、けっして早急ではないと思います。

作業学習にスクリプトを

 今年度の特殊教育学会では、自主シンポジウム「スクリプトによるコミュニケーション・社会性支援の可能性と展望」にかかわりました。スクリプトとはもともとは台本のことですが、コミュニケーション支援では次のように考えております。日常生活を構成している活動の連続をルーティンといい、ルーティンを繰り返し体験することにより活動と、活動に伴うコミュニケーション行動が獲得される。獲得された行為と知識を総称してスクリプトという。
 私は、この10年で研究室の学生が実践したスクリプト研究と成果、今後の展望を述べましたが、今後期待されることとして、作業学習へのスクリプトの使用、特にサービス業の学習への導入を考えております。サービス業はお客さんにサービスを提供する仕事ですから、レベルの高いコミュニケーション力が求められます。単にマニュアル通りの受け答えでは、実際場面に適応できなことも多く考えられます。
 そこで、基本的なシナリオを作成して授業で基本形を学習し、実習先でお客さん相手に実践してはどうでしょうか。例えば、デイサービス利用者の方と雑談するスクリプトでは、利用者の方々の最大公約数に基づく基本的なスクリプトに基づき、雑談を学校で訓練する。次に、学校と実習先を使い利用者の方々それぞれにあったスクリプトに基づいて訓練するという方法です。
 実際に学生がこの方法に近い手続きで実践中ですが、ショップ店員などの接客業の職業訓練にも使えるはずです。今後、実現に向けて計画してみようと思っております。

研究室のゼミ報告

長澤研究室 ゼミ報告(実施日 平成24年 84日)

 84日附属特別支援学校にてゼミが行われました。

研究室全体でのゼミは、昨年度より実施しており今年度2回目になりました。今年も学部3年生〜大学院生、卒業生合わせて20名以上が参加しました。

 学部3年生は今後研究したい領域について、4年生・大学院生は各自取り組む卒業論文や修士論文について発表・報告をしました。発表に対して、実際に卒業研究等に取り組んだ卒業生から「こうするとよかった」など具体的なアドバイスがあり活発な意見交換が行われました。また、お互いの発表を聞き合うことで研究の方向性や領域の共通点を知り学び合う機会となりました。

 長澤先生からは実践研究について長期目標となるゴールを具体的な行動・姿として設定し、それに向かって短期目標を積み重ねていくこと、ゴールに辿り着いたことを証明するためのエビデンスの大切さについてお話がありました。

 今後も学生、卒業生含む参加者全員が学び合える機会となるよう実施内容の検討を進めることで、継続的なゼミとなってほしいと思います。

最新情報)

第1回特別支援学校就労支援検討委員会のメモ

 7月25日、標記委員会が開催されました。以下、個人的なメモです。

○職業学級設置校の取り組み
・2年目を迎え、職業にかかわる学習が質量とも充実している
・デュアルシステム(企業体験を学校での学習につなげる、同時進行する)の採用や、資格・検定に向けた学習なども取り入れている
○県のデータより
・特別支援学校在籍者の増加は続いているが、主に高等部
・平成23年度、知的障害特別支援学校高等部卒業生の就労率は22.6%と、増加傾向
・福祉関係への就職が、H22年度12%から21%と、大幅増

○協議より
・デュアルシステムを企業に持ちかけるときは、なかなか卒業後の就労までは依頼しにくい。協力企業を増やすことが現時点での目標か
・テクノスクールにおける早期訓練コースが、この秋にも募集をする
・新潟県の障害者雇用率の低さに対応すべく、プロジェクトチームを作った(H22)。今年度は特別支援学校の実習先を広げる取り組みを展開予定。企業向けのパンフレットを作成。協力企業名を入れ、企業にメリットがあるようにすることが大事
・今後就労授業が見込まれる業種として、高齢者デイサービス事業がある。とくにパート従業員が必要とされる。介護における付帯業務について、知的障害者が担当できるのではないか
・企業は障害者雇用を進めたいが、その際は手帳取得している人が対象にならざるを得ない。職業学級在籍者は手帳を取得しにくく、特別支援学校在校生には療育手帳をとりやすくするなどの制度改革が必要ではないか

スクールカウンセラーの立場で答えました

 ある中学校の広報誌に掲載した文章を一部変えてアップしました。

新たな指導法導入のために必要なことは何か

 先日、特別支援教育士(SENS)新潟支部会主催の研修会がありました。SENSの資格更新のための研修会で、問題行動への介入がテーマでした。多くの参加者の元、機能的アセスメントによる問題行動の分析からの行動支援計画作成について、基本的内容から実際的内容を研修することができました。この手法により問題行動改善が期待できるのですが、学校教育現場にスムーズに導入されているとは限りません。それはなぜでしょうか。私は「新たな指導法導入のために必要なことを示す公式を考えてみました。


 じっくり見ていただけますか。そして、新たな指導法導入に必要なことは何か、私の意図がわかっていただけたでしょうか。要するに、従来のやり方より負担が少ない、従来のやり方より効果が期待できる、やる気がある、親の協力がある、危機感がある、等の要因が関係していると言うことです。
 皆様も、新しいやり方を提案して採用されなかった経験があるのではありませんか。どうして採用されなかったか、この公式で考えてみてください。そして、どうしたら提案が受け入れられるか、再度考えていただければ幸です。

新潟市発達障がい者支援体制整備検討委員会メモ

 3月27日に開催されました標記委員会の個人的なメモです。議題は新潟市の療育支援体制整備検討部会の報告と新潟市発達障がい支援センターの活動報告でした。
 新潟市における発達障がい児に対する療育支援の目標は、早期気づきと早期支援、身近な地域での支援の充実、各機関の連携しての重層的な支援をめざすこととなっております。個人的に期待されることとして、各地域で療育教室を開催し集団・個人支援(トレーニング)やペアレントトレーニングの実施、子ども発達支援センター(幼児ことばと心の相談センター+ひしのみ園)の整備、さらに将来的に発達障害医療・療育センターの検討が計画されていることです。私も委員長としてこの委員会にかかわっておりますが、実現に向けて協力していきたいと思いました。
(なお、計画されている期間や事業の名称につきましては、まだ仮称の段階です)

新潟県発達障害者支援体制整備検討委員会及び特別支援教育総合推進事業運営協議会

 先に行われました標記会議の私の個人的なメモです。

・各学校種の支援体制については、ずいぶん取り組みがすすんだ。しかし個別計画の作成などについて、高校の取り組みには課題がある。今回の会議でも高校の特別支援教育の取り組みについての意見が聞かれた。計画書の作成などの形式的なことにとらわれず、気になる生徒について関係者が集まり支援会議を定期的に開き、情報共有することが大事と考える(個人的な意見)。そのためにも今回発行された「チームアプローチのすすめ」を有効活用することが求められる。
・新潟県では、専門相談員と特別支援学校による相談対応が拡充しているように感じた。・発達障害のある成人への支援が、まだまだ十分ではないという意見が聞かれた。長期引きこもりになる事例もあり、取り組みがむずかしく、次年度の課題となろう。
・複数の支援機関や教育機関があるが、どこが(誰が)キーパーソンになるのか(誰が支援会議を呼びかけるのか)、明確にする必要があるという意見も聞かれた。
・幼児期の早期診断発達障害支援より、障害の有無にこだわらず養育支援として実施すべきという意見、早期発見により二次障害を防げるという意見が聞かれた。
・本県ではこの事業は24年度も継続する。発達障害等支援計画作成ワーキングが新たに活動する予定。
・委員に、虐待・引きこもり(不登校ではなく)、ニート、非行にかんする専門の方を入れて欲しい(個人的な意見)。

 それにしても、この協議会がスタートして5年ですが、ずいぶん取り組みがすすんだと思います。24年度、まだ残されている課題を少しでも解決に向かわせたいものです。

授業のユニバーサルデザイン研修会にて思う

 先日、横浜市内で開催された研究会で、授業のユニバーサルデザインについて講演し、小学校から高校までの実践をお聞きすることができました。そのとき思ったことを書きます。
 どの子にとってもわかりやすく理解しやすい授業をすることは重要なことですが、最も重要なことは子どもの学力の保障だと思います。ユニバーサルデザインを取り入れることによって、求める学力の到達基準を下げることは、あってはなりません。ある話題提供者の発表を聞きに、「子どもが授業に参加することと理解できたことだけで満足してはいけない。求められる学力が身につき(テストで点が取れる)、学ぶ楽しさを覚えることが大切」であることを再認しました。子どもを変えなければならないのです。ユニバーサルデザインの授業で変わらないのであれば、個にあった対応をすることで子どもを変える(学力を身につける)ことが必要です。ユニバーサルな対応から個別支援への段階的な対応です。そのために知能検査などのアセスメントを実施することはいうまでもありません。子どもの障害のために変わらない(努力だけでは変われない)場合は、「合理的配慮」を実施することです。
 授業のユニバーサルデザイン、学びのユニバーサルデザイン、ユニバーサルデザイン化、いろんな呼び方がありますが、どういう呼称であれ、子どもの学力保障を第一に考えることだと思いました。

第2回特別支援学校就労支援検討委員会メモ

 先日、標記委員会にて、今年度スタートした「職業学級」の取り組みについて報告があり、委員会で成果と課題を検討しました。江南高等特別支援学校、吉川高等特別支援学校、月ヶ岡特別支援学校高等部の取り組みは、就労に向けた充実した職業教育のカリキュラムと、ふんだんに取り入れられた職業体験がうまく組み合わされた実践発表で、委員の皆様が高く評価しておりました。
 なお、これは個人的なメモです。教育委員会の公式発表ではありません。公式な記録は、県教育委員会のHPにアップされました。

○職業学級の取り組みの成果
 生徒は、流通・サービス業などのさまざまな職種について職業体験ができ、就労への意欲の向上など子どもの成長につながった。外部講師の協力なども有効であった。やはり、「本物を使った学習」が必要であろう。
○課題
 実習先の確保が3校共通の課題。企業が障害のある生徒の実習を引き受けることにより、企業側にも現実的なメリットがあると、引き受ける企業が増えるのではないか。自治体が実習引き受けの企業に対して、何らかの認定や表彰をすることが、引き受ける企業像につながるのではないか、などの意見が出された。
 就労につながるカリキュラムでは、後期中等教育段階で、就労への基礎的なスキル(軽作業、リテラシー、ソーシャルスキル、自己管理)や体力を身につけ、学年進行とともに、自分にあった職業を選択できるようになることが望まれる。
 職業教育にかかわる教師のスキルアップのために、ジョブコーチセミナーへの参加が望まれる。行政としてのバックアップができないか。
 将来、卒業生が自分の体験を在校生に話す機会を設けてはどうか。また、実習を引き受けていただいている事業所の方から、別の実習先を紹介していただくなど、つながりを広げる試みも有効ではないか。

 中学生の自己決定支援
 ある事例検討会でのことです。特別な支援を要する中学生(当時通常学級2年生)に対して、個別の指導計画作成にかかわらせたことがあります。本人の悩みを聴きながら目標を本人と設定したのですが、保護者から後日聞くところによると、話し合いの雰囲気でコーディネーターが提案した目標(原案)を受け入れてしまったとのことでした。もちろん、本人は納得していなかったし、親も事例検討会に事例を提供したことをあまり評価しなかったそうです。しかし、その後、中学3年になってから本人の自己選択・自己決定への意識が向上して、衣類の自己選択から部活動の継続の決定、そして高校入学の進路に至るまで、自分で考え、自分で結論を出せるようになったとのこと。部活動に関しては、2年の頃にはあまり乗り気ではなかった様子でしたが、その後継続し、年末には部活の監督に感謝の作文まで書いたそうです。保護者の方は、「事例検討会で話題提供したときは自己決定の重要性はほとんど意識していなかったが、この時の体験がなかったら、いつまでも親の考えを押しつけていたかもしれません」と、個別の指導計画作成への本人参加、自己決定への気づきについて、感謝のことばを話されてくださいました。
 自己決定の指導支援、保障は子どもにとっても権利の一つでありますが、後悔しない自己決定ができるよう、選択肢とその結果に関する情報を、しっかり提供することが大切だと、改めて感じました。
 (内容は個人情報保護の観点から、主旨を損なわない程度の修正してあります)

熱かった、北海道!
 先日、北海道北斗市にて、渡島特別支援教育研究会のお招きにより、「通常学級における特別支援教育」という演題で講演してきました。午前が講演、午後からは「みんなにわかりやすい支援の追求」というテーマで、シンポジウムが設けられました。シンポジストとして、渡島教育局の指導主事先生、北海道教育大学の先生、そして児童自立支援施設の園長さんが参加し、私も指定討論者として加わりました。年末の押し迫った12月26日の午前10時から午後4時過ぎまでの半日間、100名を超える参加者の皆さんは、終始真剣なまなざしで会に臨んでおられました。途中で退席して帰る人は一人もいませんでした。特別支援教育にかかわる先生方のこの姿勢に、外の雪をも溶かす熱い思いを感じたのは私だけではありません。本当に感動いたしました。
 会のHPはこの通りです。また、この講演会に配付した資料はここです。

インクルーシブ教育
先日、日本教育大学協会全国特別支援教育研究部門合同研究集会埼玉大会に出席しました。
そこで、障がい者制度改革推進会議の大谷委員の講演をお聞きしました。
ご存じのように、この夏、障害者基本法が改正になりました(8月5日公布)。
教育では、小中学校において統合教育への方向性が鮮明になりました。
今後の展開として、合理的な配慮が権利化されること(合理的な配慮を提供しないことが差別になる)、就学先の決定は保護者の自己決定が尊重されるようになることが示されております。
また、学籍を一元化し、すべての子どもの学籍を市町村で管理すること、すべての子どもに地域の小学校の入学通知を出し、その後就学先をきめる話し合いをすることなどの提案をお聞きできました。

統合教育の実施は、是非の問題ではありません。
障害者権利条約の批准(おそらく2013頃)のために取り組まなくてはならない問題なのです。
統合教育の実施イコール特別支援学級や学校の廃止ではありませんので、日本型の統合教育のあり方を積極的に提案していきたいと考えております。

就学指導を考える
 先日、長岡市就学指導委員会に出席しました。今年度から、長岡市は各中学校区単位で、専門相談員による就学相談を早期から開始するシステムを採用し、保護者の評判がよいようである。早期から保護者がじっくり子どもの就学を考えることができるからだと思われる。
 ところで、障害者基本法改正により統合教育が実現されると、就学指導のあり方も変わるであろう。思うに、個別の教育支援計画作成のための会議になり、「適正就学」「就学判断」は死語になるのではないか(すでに半分死語になっている気がする)。その場合、教育委員会は保護者に対してきめ細かに情報を提供し、保護者の自己決定を支援し、合意した内容を支援計画にまとめることになる。現在の就学指導委員会の機能は縮小し、困難事例やトラブルなどの調停機能になるかもしれない。そうなるとメンバーの中に弁護士などの法律の専門家が入ることもあり得る(そうならないことを願うが)。
 特殊教育から特別支援教育に転換し、就学の決定権が医療から教育サイドに変わった。統合教育になると親が決定権を握ることになる。教育する側は統合教育の中でのスペシャルな教育の専門性を、いっそう高めなくてはならないと思う。

新潟AAC研究会

 第1回新潟AAC研究会が11月20日に開催されました。私は「AAC入門」の話を担当し、その後作業療法士がAACへのかかわりを紹介しました(資料はここです)。さらに、特別支援学校の取り組みが発表されました。身体障害の生徒への視線入力によるコミュニケーション支援と、自閉症の児童生徒へのVOCAの適用について詳しく紹介されました。最後に、言語聴覚士によるコミュニケーション支援と評価についての解説がありました。
 多くの方々には、AACやVOCAについては特定の人が使う特別なもの、という印象があるかもしれません。しかし、話しことばによるコミュニケーションが困難な人にとっては生きていく上で必要不可欠のものであり、QOLを保障する道具でもあり、さらには自己決定を保障するための支援ツールでもあります。ぜひこのAACに対する理解を広め、ことばによるコミュニケーションが困難な多くの人を救う一助となりたいと思います。

 ぜひ、新潟AAC研究会のHPをご覧ください。

附属特別支援学校公開研究会分科会で思ったこと

先に行われた研究会の分科会は、発達障害通級指導教室の指導助言者として参加しました。
ここで述べたことは次の通りです。
なお、このときの発言にあとから追加してあります。

テーマ:通級指導教室を見るときの私のポイント

1)通級指導教室と、通常の学級や家庭との連携が保障されているか
通常の学級担任やコーディネーターを交えての支援会議の実施、個別の教育支援計画の作成と共有、通常の場での指導の実施と定期的な評価がなされているか。
2)指導の理論的背景とオリジナリティー
通級の場での特別な指導が、信頼できる理論(指導法)に基づいて実施されているか。
学習指導要領の位置づけがなされているか
3)エビデンスに基づく指導
検査に基づく指導計画の作成、客観的なデータに基づくアセスメントと介入の連続性が確立されているか。

なお、中高校生のASD(自閉症スペクトラム障害)への指導の場合、自己理解を促す・気づきを支援する指導が必要と考える。
教育相談、カウンセリングなどの個別支援やそのための時間を確保すべきである。

進路指導を考える

先日、新潟大学のある部局から学生支援についての学習会で話す機会がありました。
自分の特性にあった進路選択が困難な学生の問題についてでした。

また、ある事例検討会のテーマは、発達障害のある方の進路支援についてでした。

発達障害のある学生への進路支援プログラムには、一般的に次のような内容があります。
自己理解(得意不得意、性格、障害特性の理解など)
自己主張(コミュニケーションの仕方、アサーションなど)
セルフアドボカシー(自分が与えられている権利を知り、権利を訴えるなど)
自己解決(ある課題をテーマに、自分で問題解決する)
進路検討

現在では、昔のように家業を継ぐとか、とりあえずやってみるとか、人気があるからとか、そういう考えで進路を決めることができなくなっています。
そのために、幼い頃からの自己決定の指導支援は重要なのです。

この続きは、10月21日(金)の附属特別支援学校公開研究会の「講演」でお話しいたします。
詳細はHPで。

クリック!

特別支援教育就労支援検討委員会のメモ

 先日開催された標記検討会議の個人的なメモです。会議で得られた情報を個人的に整理し意見を述べたものです。公式な記録ではありませんので、県教委への問い合わせは、ご遠慮ください。

1 県の現状と課題
 知的障害高等特別支援学校の就労率は向上傾向。就労先は第1次産業が四分の一、四分の三は流通・サービス業。福祉関係など増加傾向。これら産業への指導内容の転換が迫られる。実習先・就労先開拓の困難さがある
2 職業学級の取り組みについて
 今年度パイロット校としてスタートした3校の取り組みが紹介された。流通・サービス業に適応した作業学習(現場実習)、職業教育中心のカリキュラムなど
3 民間企業の事情
 法改正によりパート従業員も従業員としてカウントされるため、より多くの障害者雇用が迫られる(企業のコンプライアンス)。どうしても雇用につながる人が優先的に実習受け入れとなってしまう。積極的に雇用したいのだが(担当者の気持ち)
 知的障害のある人はそれぞれに特性がある。挨拶、コミュニケーション、みんなから愛される性格なども、重要なポイント
4 資格の重要性
 ヘルパー2級の資格や運転免許、業界独自の認定資格など、所有していると雇用に断然有利。障害就業支援センターとして障害者がヘルパーの資格を取得できるよう支援しているところも。直接介護する業務ではなく補助的業務が中心となるが、資格は重要。今後有望な業種として、医療福祉、老健・障害者施設、ホテル業界など。5年後には障害者雇用が100人以上200人未満の企業まで適用されるため
5 教員の研修
 流通サービス業を対象として作業学習を指導するために、教員の研修は重要。ジョブコーチセミナーなど、業界の方との情報のやりとりができるためにも、積極的に受講することが望まれる
6 現場実習
 できるだけ多種多様な実習先を確保すること。生徒が意欲的に取り組める業種や作業を見つけること。企業側の生徒への直接評価は幅が広く、甘くなる可能性もある。教師が客観的評価を聞き、指導に生かす必要あり
 実習を受け入れてくれる企業リストを地域(あるいは県が)で一元管理する必要性有り(対応予定があるようだ)
7 自己理解と支援計画への本人参加
 就労の成功要件として自己理解がある。そして、就労に必要なことを家族と本人とが積極的に考え、実施していくためにも、個別の移行計画(支援計画)への本人参加が必要

長澤研究室合同ゼミ報告

実施日:2011年 7月17日(日)13:0017:30

  717日附属特別支援学校に新設された実習棟の通級スペースにおいて、長澤研究室合同ゼミを開催しました。 今回の実施にあたり、新たな試みとして大学の研究室以外の場所で、研究室に所属する学部3年生から、現職教員である内地留学生まで全員そろっての開催となりました。また、当日は、学生だけでなく、現在学校現場で働く研究室卒業生の方もたくさん参加してくださいました。ゼミでは、各学年でテーマを設け、実習の実践発表や研究発表、質疑応答を行いました。学年の違いや経験の違いなどは様々でしたが、多くの意見を交換しながらそれぞれが今後の研究に向けた意欲を高められたゼミとなりました。学生が集える広いスペースといった恵まれた環境の中で開催することができたことも今回のゼミの成果につながったことと思います。

平成23年度新潟県発達障がい者支援連携会議メモ

・昨年度の相談内容を見ると就労支援、成人の方の相談、自立支援に関する相談が多い

・今年度も研修が多数計画されている

http://www.niigata-rise.net/koenkai.htm

・各圏域への支援として研修会の開催の他に、地域生活支援センターへの支援(巡回相談、ケース会議の共同開催など)実施する

・今後、RISEの機能を強化するか、地域生活支援センターの独立性を高めるのか、検討する必要がある

・別の県の会議で、発達障害のある方がどれだけおられるのか実態把握が必要という意見が出たようである。(ここから私の意見)実態把握は困難であろう。しかし、いじめ、不登校、虐待、非行、学力不振、ニートなどの実態把握から、発達障害の実態ではなく、発達障害を含めた特別なニーズを持つ人たちの実態がある程度わかるのではないか。つまり、想像以上に多くの人が困っているという実態が、である。

新潟県教育委員会 第1回新しい特別支援学校作り検討委員会

 6月3日、標記会議が開催されました。内容についての個人的なメモです。県教委へのお問い合わせはご遠慮ください。

○新潟県の特別支援学校の現状
 知的障害・自閉症の児童生徒の特別支援学校入学者が増加。特に高等部で顕著に。県ではH19年度「高等部の在り方検討委員会」の最終まとめに従い高等部を整備してきた。しかし、大幅な増加に対応しきれず、特に新潟地区において希望者全員が入学できない事態が予想される。また障害の多様化や重度化への対応として総合特別支援学校の設置が考えられる(全国的傾向)。更に、特別支援学校のセンター的機能の充実と教師の専門性の向上、免許状保有率の向上が望まれる。そして、高等部卒業生の就労率が低く、向上することが望まれる。
 これらの課題に対応すべく、本委員会が設けられた。

○検討会で得られた情報
 高校への分校の設置により生徒同士の相互理解が深まったとか、閉校活用の支援学校が地域から歓迎され期待されているとの紹介があった
 障害のある生徒の就労率を高めるためには、就労支援コーディネーターを活用し、学校・福祉・労働のつなぎ役になってもらうことが考えられる。進路担当者や特別支援教育コーディネーターが同行してはどうか
 障害のある人を雇用したいと希望している企業は、予想以上に多い(障害のある人を集めるのに苦労している、との企業担当者の声も)

統合教育を考える

 ある研究会で特別支援学級の先生方のお話を聞く機会がありました。詳細は省略いたしますが、特殊学級から特別支援学級に変わるなど制度の変化があるにもかかわらず、いまだ従来からのさまざまな問題があるように感じました。
 特別支援教育は将来的に統合教育に変わっていくと思われます。支持するしないの問題ではなく、これがグローバルスタンダードなのです(国連障害者権利条約など)。そこで、これからの通常学級における特別支援教育の留意点を、次のように考えてみました。あくまでも個人的な発想のレベルのものです。
@統合教育がグローバルスタンダードであることを、国民全員が理解すべきです
A統合教育と一口で言っても、教育の場、カリキュラム、学習内容、活動レベル、教材など、さまざまな統合があります。子どものニーズに合わせ、その内容を決定することです
B決定に際しては、学校と保護者の話し合いが重要です。第三者を仲介役として立てて合意することです
Cサービスを受ける本人の意向をまずは尊重することです
D通常学級では学習のユニバーサルデザイン化をはかることです
Eさらに、学校でできる特別な教育的支援を提供することです
FDのUDLで十分な学力を上げられない場合、小グループによる学習支援や個別支援など、さらに密度の濃いサービスを提供することです。当然、この中には特別支援学級の利用も入っております
G教師間の連携を今まで以上に図ることは言うまでもありません

SENSの会新潟支部会研修会の感想
 5月14日の研修会で、ユニバーサルデザインについてのシンポジウムが開催されました。小学校から高等学校まで3件のユニバーサルデザインに取り組んだ事例が報告されました。
 この研修会で私が訴えたこと(訴えたかったこと)は次の通りです。
   UDLの条件は次の6点。通常学級の全員を対象とした指導・支援である。学習困難や失敗させない予防的対応である。指導方法やルールを事前に説明する 。成果を科学的に実証しなければならない。複数のスタッフで担当する(TT、連携)。段階的対応が求められる。
 どんなに優れたUDLを実施しても、十分な学力を上げられない児童生徒が存在する。その児童生徒へのさらなる充実した教育サービスを提供しなければならない。UDLには限界があるということ。くわしくは研修会資料を。

プラーカスマイルランド発達支援センター開設に関する検討会
 5月15日、学校法人新潟高度情報学園の依頼により、表記検討会に出席しました。このセンターは、障害のない定型発達のお子さんの保護者を対象とした相談、特別な支援を必要とするお子さんを対象に子どもには遊びを提供そして保護者相談、幼稚園保育園の先生を対象とした研修会を柱として立ち上げ準備をしているとのことです。民間がこのようなサービスを提供できることは、多くのサービスを提供し選択が広がることを考えると、誠に喜ばし都考えます。ぜひ民間でなければできないウリを強調し(例えば土日祝日、夜間の開設なども考えられます)、質の高いサービスを提供して欲しいものです。

発達障害支援、特別支援教育にかかわる県の会議メモ
 2月24日、県の会議がありました。そのときのメモです。これは会議の公式記録ではなく、感想を含めた個人的なメモです。教育委員会等へのお問い合わせはご遠慮ください。

 (1)今年度の事業
  @特別支援学校教育ビジョンなど
 特別支援学校の充実。23年度より職業学級が3校で開校される。24年度には新潟市内中学校教室を使っての分教室が設置されるかもしれない。27年度にはよりいっそう増える可能性示唆。これは全国的な傾向だが、高等学校が積極的に発達障害のある生徒の入学を検討しなくてもいいのであろうか(特別支援学校の設置に反対しているわけではありません,念のため)
 個別の教育支援計画や指導計画を作成するようになってきているが、まだ十分な割合とは言い難い。様式にこだわるのではなく、学校や子ども・保護者にとって役立つ道具として機能させることが大切ではないか。
  A相談支援ファイル
 初版とガイドブックを関係機関に送り説明会を開催。具体的な活用方法や活用することによるメリットを訴えることが必要。活用事例集の発行が待たれる。どのように書くか、ではなく、いかに使うか。
  B質疑から思ったこと
 小中学校における特別支援教育の推進にはコーディネーターの資質向上が重要。ただ、コーディネーターが何でもできる人になるのではなく、あくまでもコーディネーターとしての役割ができるよう、研修会のメニューを設定すべきでは(例えば、人のマネジメントなど)。また、読み書き障害の子どもへの対応が十分とは言えないので、まずはKABC-U等のアセスメントを知り、活用すること。研修メニューとして、発達障害だけではなく、緘黙や精神疾患、虐待、飛行なども必要かもしれない。
  C障害福祉課
 市町村サポートコーチ事業を障害者地域生活支援センターに委託実施。ペアレントメンター事業をにいがた・オーティズムに委託実施。今後はどの地域でも発達障害にかかわるサービスが公平に受けられるための整備が重要。
 (2)来年度の事業
 基本的には今年度と同じ体制、内容で推進。グランドモデル地域が魚沼市・南魚沼市に。高等学校モデル事業は長岡明徳高校に。さらに就労支援の充実を図る方向性。
 この事業は23年度で終了か。
 (3)報告
 平成22年12月に、発達障害者が自立支援法のサービスの対象になった。手帳がなくても発達障害と確認できればサービスが受けられる。

 問題行動への対応
 先日、ある依頼を受けて学校での困難事例に対応いたしました。改めて、反抗挑戦性障害や行為障害という診断の有無に限らず、学校生活を脅かす問題行動について苦慮している学校がかなり多いことを感じました。対応はそれぞれの事情によって違いますから、一概にこうするとよいとは言えませんが、今回の事例に対応してみて、以下のことを考えてみました。
 理念:規制(罰)と自由(強化)、スジを通す・自分のしたことにはオトシマエをつける、信頼関係
 (1)規制
 生徒が守るべきルールと違反への対応の手続きについて、できるだけ具体化し明文化する。このルールと手続きはすべての生徒を対象とし(スクールスタンダード)、生徒と保護者への説明責任を十分果たす。
 違反に対応する校内体制を構築し、場合によっては児相や警察など専門機関と連携し、役割を明確にきめる。保護者が入ることはいうまでもない。
 違反と違反しなかったときの対応について、教師を含む大人は同じ対応をすること。同じ対応の実施が困難であれば、対応マニュアルを作成する。
 (2)自由
 対象生徒の言い分を十分に聞く。過去彼現在に至るまでの語りを受け止め、生徒を主人公とする物語を再構成し本人に提示する。今起きている問題に限定せず、本人の語りに耳を傾け、状況や出来事を本人に変わり「翻訳」することが必要。
 これからの身の振り方についてどうするか、本人と一緒に約束事をきめる。学校のルールという枠組みの中で許されること、自分ができることをある程度自由にいわせ、現実的に可能な約束をする。当然、大人も生徒との約束を守ることを宣言し、実行することによって信頼関係を築くこと。
約束を守ったりルール違反をしなかったことを積極的にほめて評価すること。
 生徒の得意なこと・できること・好きなことを明確化し、できるだけ多くの大人がほめて伸ばすようにする。
 
*文中、あまり教育的ではないことばを使っていますが、筆者が伝えたいことを(ニュアンス)を感じ取っていただければ幸いです

自閉症のカリキュラム
 先日、県の事業のまとめがあり、出席いたしました。そのときに自閉症の教育課程や教育方法について、次のようなことを考えました。これは議事録でも記録でもありません。私の思いついたことです。

・自閉症の教育課程は知的障害とは異なる。自立活動の時間を確保し、この実態にあった個別指導の機会を設けること
・通常の学級で教育するときは学習のユニバーサルデザインを取り入れることを基本とするが、認知特性に応じた個別支援も必要
・本人への特性理解の指導と、周囲の子どもが自閉症の子どもを受け入れるよう、特性の説明も必要
・知的な遅れが重度であるほど、いわゆる学校文化にこだわらないこと。時間に従って行動するとか集団生活を重視することなど、学校生活の基本は最初から強要せず、段階的に適用すること
・スキルの般化には複数場面で複数の指導者がかかわること。そのためには個別の指導計画で対応を統一すること

 相談支援ファイル
 先日、新潟県発達障害者支援体制整備検討委員会で作成しているサポートノートについての会議がありました。そこで感じたことを述べます。これは公式記録ではありません。
 発達障害のある人への支援を保障するための支援ツールとして「相談支援ファイル」が作られています。私がイメージする活用は次の通りです。@悩みを抱える当事者や家族が地元の相談機関に相談に行き、A相談にのってもらって必要な支援について書面にまとめる、Bその書面を相談支援ファイルにとじる、C相談支援ファイルを支援してもらう関係者(関係機関)に示す、D必要な支援が受けられる、Eその支援が役に立ったかどうか定期的に評価する(できれば支援会議などの場で)
 次年度、相談支援ファイルの活用事例が公表されると思いますが、「どう書くか」を紹介するのではなく、「どう活用するか」を紹介する事例集になるのではないかと思います。
 皆さんもぜひ相談支援ファイルを体験してみてください。入手先は次の通りです。
 http://www.pref.niigata.lg.jp/shougaifukushi/1242763300942.html

新年の抱負

 昨年は、研究室の基本的な活動であるチャレンジルームや親支援プログラムなどを中心に、発達障害のある子ども(人)を含む特別な支援を要する子ども(人)への実践・研究活動の路線を継続して歩んできました。今年もその姿勢は変えることなく、基本に忠実に進んでいきたいと考えております。
 ところで、昨年特に感じたことは「ユニバーサルデザイン」というキーワードです。つまり、特別な支援を特定の子ども(人)にのみ提供するのではなく、すべてのメンバーに適用するという考え方です。この理念が多くの先生方から支持されてきているように感じました。
 国連の障害者権利条約の批准に向けて,我が国でも統合教育への準備が進んでいるようにも感じます。通常の環境のもと、障害の有無に限らずすべての子どもが共に学ぶという教育理念・制度が現実のものとなってきているようです。そのためには、すべての子どもの学習を保障することが必要で、その方法論としてユニバーサルデザインが最も支持されているのでしょう。
 しかし、ユニバーサルデザインによる教育は万能ではありません。どんなに緻密で質の高い教育を提供したとしても、子ども達が学ぶテンポには有意な差があります。それぞれの特性にあった教育も保障されるべきです。ユニバーサルデザインによる教育では十分な成果を上げられなかった場合に備え、あらかじめ準備することが教育現場には求められます。ことのことを考えると、従来の「特殊教育」を「時代遅れ」と切り捨てるのではなく、統合教育というメインストリームと共存する道を考えることが大切ではないかと思うのです。
多様なニーズに公教育はいかに応えるのか、この答えを追求していくことが、今年度の自分自身のテーマではないかと思っております。今年度もメールマガジンやホームページを通しての情報提供を継続していく所存です。皆様からの、変わらぬ支持をよろしくお願いいたします。

特別支援教育士資格認定協会研修会感想

 11月14日、新潟で標記研修会が開催されました。テーマは、発達障害のある人の高等教育期以降の豊かな社会参加を実現するために、でした。
 発達障害のある人の支援に取り組んでおられる西南学院大学野口教授のお話を聞き、私自身は、次のことを感じました。日中活動と就労両方を丸ごと支援することが必要である、福祉サービスの中で積極的行動支援(PBS)の実践、そのための複数の支援者とマネジメント(支援会議の必要性)、支援制度を俯瞰できる啓発活動、そして、「行動障害を支援することは大変だが、やればひとは変わる」ということです。
 シンポジウムを聞いて感じたことは、高等学校では今まで継続してきた特別な支援を基に特別支援教育を推進すること、子どもの頃から地域でキャリア教育を進めることと、ぷれジョブのように本物の仕事体験をすること、福祉制度の存在と制度を利用する権利があることを本人と家族に知らせること、関係者の連携には話し合いの場と役割分担、そして支援者もQOLを高めること、などです。もっとたくさん学んだのですが、感動が新鮮なうちにまとめてみました。

問題行動へのRTI
 長崎で開催された日本特殊教育学会自主シンポジウム「通常の学級に在籍する特別な教育的ニーズのある児童に対する支援-クラスワイドな支援から個別支援へー」に、指定討論者として参加しました。このシンポジウムでは問題行動のある児童に対して、まず学級全体を対象に対応し、次に問題行動のある児童に積極的行動支援(PBS)を適用する事例が発表されました。このように、段階的に介入を深めていく教育的対応が、RTI(Response-to-Intervention)です。
 RTIは、段階1:全員を対象に問題行動を起こさない予防的な対応(UDL)、アセスメントと介入を同時に実施、段階2:問題を起こしそうな子どもに、小グループ指導などの介入(今回の事例では適用例なし)、そして段階3:PBSの適用となります。この方法のメリットは、複数の児童に対応できる・クラス全体を落ち着かせられる・介入コストが比較的少ない・障害の有無に関係なく適用できる、などです。
 課題として今回指摘したことが次の通りです。段階2,3を適用する基準を明確にし、児童と保護者への説明責任を果たすこと・効果を証明しなければならないこと(エビデンスに基づく実践)・障害や親の問題が見逃される可能性があること、段階1(UDL)における、バックアップ強化が難しいこと。

第1回新潟県特別支援教育総合推進事業運営協議会
 6月28日に開催された標記会議の個人メモです。私(長澤)が聞き取ったことや感じたことを書きました。教育委員会等への質問はご遠慮ください。

<21年度の事業>
・特別支援教育体制の実施率は全国より良好である。今後は体制が十分機能していくこと、外部にも知らせることなどが課題。
・専門家チームの活用より、専門相談員の活用が多いと思われる。今後は専門相談員を中心に、地域の相談システムを構築していくことが望まれる。
<障害者雇用について>
・一般企業の委員から、取り組みが紹介された。企業としての方針や取り組みの内容が具体的に話された。ハローワークなど関係機関との連携の重要性を改めて感じた。
<モデル地域の取り組み>
・柏崎:早期対応の充実を図る。子育て支援センターの取り組み。
・上越:子ども発達支援センター、早期対応の充実
・三条:サポートシステムの構築。幼・保小学校の連携推進。相談支援ファイル(スマイルファイル)を全員に配布。
<22年度の事業>
・22年度は業務仕分けにより国の予算が削減され、県の委託事業として実施することとなった。
・22年度のワーキングは、義務教育課として、特別支援学校教育ビジョン検討部会、就学指導等の在り方検討部会、就労支援の在り方検討部会。障害福祉課と合同で、連携体制検討WG、サポートノート(相談支援ファイル)WG.
・相談支援ファイルのガイドブック、支援ファイルはダウンロード可能。
http://www.pref.niigata.lg.jp/shougaifukushi/1242763300942.html
・22年度の事業
 市町村サポートコーチ:障害者地域生活支援センターに委託実施(全15カ所)
 ペアレントメンター養成研修会:にいたがオーティズムに委託実施

平成22年3月18日
 自閉症の教育、カリキュラムについて思う
 自閉症の特性や効果的な指導法(支援)は、教育現場にはかなり浸透しており、絵カードやスケジュール表はもはや珍しい支援ツールではなくなったと思います。しかし、自閉症の特性にあった教育課程や授業形態がくまれている事例は少なく、未だに知的障害の教育課程や授業形態が主流ではないでしょうか。
 一つの教室で、みんなで、同じ授業を、協力し合いながら学び、みんなが同じ目標を達成して成就感を共有する、そういう伝統的な教育観から脱却しない限り、本当の意味での自閉症にあった教育は保障されないと思います。それは、従来の日本の教育を否定することではなく、そうではなく、多様な自閉症の特性やニーズに合わせて教育課程を修正したり、選択したりする多様性を保障してほしいという意味です。みんなと同じにできない障害特性なのですから、まずはこのことを理解し、保障してほしいのです。 構造化や視覚的手がかりなどのテクニックを考える前に、自閉症の子どもたちに必要なことがなんなのか、今一度考えてほしいと思いました。

平成22年2月9日
1.新潟県発達障害支援体制事業
 21年度の事業報告と、次年度の計画が話し合われました。今年度は、相談支援ファイルや連携マニュアルの作成、発達障害理解啓発のシンボルマークの決定など、目に見える成果がたくさんあったと思います。22年度もこの整備体制事業は継続する予定ですが、気になることがあります。文部科学省サイドの特別支援教育にかんする予算が、かなり削減されるということです。事業仕分けによっていくつかの事業がまとめられ、結果として事業が縮小されたのでしょう。県は、この事業の重要性を認識しておられるようですから、何らかの手を打ってくださることを期待したいものです。
 22年度は、いよいよ相談支援ファイルが全県的に使用されることになりますし、ペアレントメンター養成研修など、新規の事業も計画されています。発達障害のあるかたがたへの支援が、より充実されることを願いたいです。

2.指導法と子どもの人権
 虐待の話ではありません。先日参加した研究会で感じたことを書きます。
 かつて、自閉症の言語訓練は要求言語の獲得を目的とし、機会利用型指導法など、有意義な研究が深められました。要求機能の獲得は、自閉症の子どもたちにとって、きわめて重要なことだからです。その後、要求言語獲得は、「自己選択の保障」という考え方に代わり、自己決定の保障という観点から、子どもが選べる(要求できる)権利を保障するために、周囲の支援が重要であると認識されるようになりました。
 今回の研究発表で、社会性の発達を促すために、大人と子どもとの二項関係から「もの」を媒介とした三項関係への発達を促し、さらに他者の意図を理解すると共に自己を理解する働きかけの必要性を学びました。ここでも「自己理解」という「自己決定」の構成概念が登場していました。
 自己決定は子どもの主体性の尊重です。一人の人間として尊重し、QOLを支援するという発想です。指導法にも子どもの人権の発想が生かされる時代になったんでしょうか。

 平成21年度富山県小学校教育課程研究集会
 11月10・11日、標記集会の特別支援教育部会の講演会講師として、富山市と高岡市内の小学校会場にて参加いたしました。伝統ある教職員による研修会(主催は富山県小学校教育研究会と県教育委員会)で、公開授業・部会協議会・全体会(研究報告と講演会)により構成されていましたが、大学教員の私にとっても、実に有意義な研究集会でした。その理由は次の5点です。
 まず、特別支援教育部会への参加者が多いこと。特別支援教育への関心の高さがうかがわれました。次に、公開授業として、特別支援学級・通級指導教室・交流学習・教科学習など、さまざまなスタイルの授業、特に通常学級での授業を公開したこと。特別支援教育が通常学級中心で行われていることがうかがわれました。三点目は、学習のユニバーサルデザインを取り入れた授業が当たり前のように行われていること。特別な支援を要する児童への支援はもちろん、学習に苦手意識を持つ児童に対しても手厚い支援が、特別扱いにならないようになされていることがうかがわれました。四番目は、学習に対する児童の意欲の高さ。多くの参観者がいる得意な状況にもかかわらず、積極的に学習に向かう(没頭しているとすら思われました)様子が随所に見られました。
 最後は、富山県の教育の質の高さ。学力テストの結果だけから判断するのではありません。「学習の基本的な知識・技能が身に付いている」「ノートを丁寧に書いている」「素直な子が多く、まじめに学習に取り組む」事が優れていると評価されている富山の子どもたちですが、その背景には教師のたゆまない努力と伝統が息づいているからでしょうか。
 中身の濃い研究集会でしたが、私自身も満足した二日間でした。

 なお、私の講演会で使用した資料は、以下に提示してあります。

http://www.ed.niigata-u.ac.jp/~nagasawa/nagasawahomepage2-2.html#keushuukai

第7回新潟市発達障がい者支援体制整備検討委員会
 新潟市に発達障害者支援センターを設置すべく、検討委員会で準備を進めております。新潟市では民間委託の形態を採用し、「更正慈仁会」が委託することになり、名称も「JOIN]と決定しました。ところが、やはりむずかしいのが医療相談など医師による対応です。発達障害を専門とする医師不足がここでも問題になっております。発達障害者支援での医師の役割は、診断や薬物療法などの治療以外でも、告知や相談などがあります。病気治療と異なり、対応に時間がかかるなど、実に大変だといわれています。発達障害者支援センターに診療所機能を持たせることが、いかに大変なことが、あらためて知らされました。

文部科学省委託研究事業「自閉症に対応した教育課程の在り方に関する調査研究」

 先日第1回の会議に参加しました。この会調査研究は、「小中学校等において、自閉症の特性に応じた教育課程の編成、自閉症の児童生徒一人一人の特性に対応した指導内容・方法等の工夫など教育課程のあり方について実践研究を実施する」ことが目的です。
 新潟県でも、小学校と特別支援学校を対象に、この研究実践がスタートしています。
 自閉症の特性については、ずいぶん認識が広がったのではないでしょうか。しかし、特性をわかっていても、なかなか実践まではつながらず、相変わらず自閉症の特性に合わない対応もときどき見られます。「小学校ではそのような支援がゆるされるけど、社会に出ればそんな甘えはゆるされない」って、よく耳にします。これは正しいのでしょうか?
 その自閉症の方に有効な支援をなぜ打ち切らなければならないのでしょう?もちろん「甘え」はゆるされませんが、自閉症の方が自立した生活を送るときに必要な支援は、聴覚障害の方の補聴器と同じ働きをしているのではないでしょうか?必要であれば、生涯にわたり、その支援を認めるべきです。
 世間の誤解を解消する上でも、今回の実践研究では、自閉症に適した教育課程や指導法をできるだけインパクトある表現で、訴えて欲しいですね。そしてそれが自閉症の子どもに限定された支援ではなく、発達障害、いえ、障害のない子どもにも使えるんだ、ということも訴えたいです。
 あえて言います。自閉症の子どもにあった学習支援は、自閉症ではない子どもにも有効です。それはユニバーサルデザインといいます。

発達障害支援にかかわる会議
 先週、発達障害者支援にかかわる整備検討委員会がありました。20年度の事業報告と、21年度の予定、課題等について報告・質疑が行われました。今年度は発達障害支援のためのサポートノート(相談支援ファイル)の完成、発達障害の理解啓発(医療機関、企業を対象に)が大きな柱と言えます。義務教育課では個別の指導計画作成ソフトを開発しHPからダウンロードできるとの紹介がありました。http://www.jsirc.jp/get/kobetsu-shido/
 私は相談ファイルのワーキングの一員として、利用者が積極的に使いたいと思うノートの完成に向けて、努力したいと考えています。相談ファイルについての資料です。http://www.pref.niigata.lg.jp/shougaifukushi/1242763300942.html

社会人講座
 月末、親の会主催による社会人講座の反省会に出席しました。
 この社会人講座は、学校教育を修了しており就労を希望する青年を対象とし、昨年7月から今年2月まで実施しました。内容は、ガイダンス、フリーマーケット(見学、準備、出展、反省会)、職場実習(福祉関係、運送関係)そして今回の反省会です。今回は3名の青年が参加しました。 反省会で彼らは、「職場の方から感謝のことばに充実感を覚えた」「自分が就職する上で必要なことがわかった」「物事に積極的になった」などの感想が聞かれました。社会人講座を支援するスタッフからは、「一緒にフリーマーケットができて本当に楽しかった」「それぞれの目標に近づけたのではないか」などの評価が聞かれました。 このような社会人講座を実施しているところは公的にも私的にも非常に珍しく、わずか3名での実施でしたが、とても有意義な取り組みだと感じました。 私はこの講座を修了する彼らに次のことを話しました。「今の社会情勢では、仕事を見つけて自立することは難しいかもしれない。親と同居して親を頼ってもいいが、依存せず、自分の役割を果たしてほしい」「自分のできることをのばし、苦手なことは支援者に頼ること」「これからしたいこと(しなければならないこと)を普選にたくさんかいてボードに張り、いちばんやさしい課題を取り上げて実行するとうまくいく」
 来年度、人数を少し増やして実施する予定です。

1.特別支援教育総合研究所の研究に参加して
 「小・中学校等における発達障害のある子どもへの教科教育等の支援に関する研究」にかかわっており、2月15日の会議に出席しました。
 この研究では、小学校・中学校の通常の学級における教科教育等について学級担任ができる支援の工夫を考え、モデル案を検討します。サブ研究として、幼稚園保育所における特別な配慮の必要な子どもへの支援、通級による指導における学級担任との連携・指導の連続性、先進諸国におけるテスト・アコモデーションの現状、発達障害の学習を支援する機器・教材・支援機器の活用の4つがあります。
 以下、私の発言・意見です(文章化のため修正加筆あり)。
・学習のユニバーサルデザインやテストアコモデーションなど、技術的な面にのみ注目するのではなく、統合教育の実施からこういう発想が出てきたことにも注目すべき。
・学習障害と学習困難を分けて支援することは意味がない。RTIなどの採用も必要。また、経済的な問題と学習困難とを切り離すことができなくなっている。
・教科支援を検討する上で、学習の達成度をアセスメントするチェックリストやツールが必要。子ども、保護者も活用できることが望ましい。
・幼児期の支援では、視覚的な者も大事だが、聞く話すなどの聴覚的なものも大事。親支援なども調べてみては。
・通級指導については、個別の教育支援計画や指導計画の作成、通常学級担任の参加(役割分担)なども調べてみては。さらに、中学校でのSCの活用や通級指導教室での教科支援なども調査してみては。

 どんな研究結果が得られるのでしょうか。21年度末には報告されると思います。

2.新潟市特別支援教育サポートネットワーク連携協議会
 2月16日に実施された標記会議で、私が注目した市教委の取り組みについて書きました。個人的なメモです。
・特別支援学級(特に情緒)の増加。新任教員向けの手引き書作成予定。発達障害通級指導教室の新設(葛塚東小学校)
・ボランティアの増加(90名登録)。ボランティア向けのマニュアルの配付、研修会情報の提供
・市独自でのコーディネーター研修の実施20年度の受講生は178名。
・就学前の相談の充実。就学支援ファイルの活用、200名以上の保護者が活用。小学校でも継続し役立てている。
・西区に西養護学校(仮称)の新設。今年7月から着工(整備)。

 他に、就労支援について以下の話題提供がありました。
・障害者就労の現状と課題(新潟労働局):発達障害者でも、トライアル雇用とジョブコーチは利用できる。
・高等学校での取り組み:全県での取り組み。校内支援体制の整備など。
・新潟市障がい者職業能力開発プロモート事業:障がい者の働くためのガイドブックの作成
・ぷれジョブなどの取り組み(親の会):いなほの会による社会人講座の実施、にいがたオーティズムによるぷれジョブの実施。

発達障害者支援のためのサポートノート作成

 発達障害者支援体制整備検討委員会のワーキングで、標記ノートを作成中です。サポートノートは母子手帳のような機能を果たすもので、発達障害者及び保護者を対象とし、継続的支援を保障する道具なのです。現在ワーキングで完成に向けて、検討会を通して様々な意見が出されています。この様式や内容がベスト、ということはなかなかむずかしく、使用しながら集積を重ねていくことになると思います。むずかしいのは、母子手帳と違い、本人が中を見て使うことをも目的としていることです。当事者の方々が、「これは便利だ」と思って積極的に使っていただける内容が求められます。支援者や学校が必要とする情報が盛り込まれていることも大事ですが、あくまでも本人のニーズが中心になると考えます。たくさんの専門家や専門職の人々、保護者が「こういう内容がベスト」と思っても、当事者に受け入れられなければ意味がありません。今回の会議の終了時に参加してくださった当事者の方に意見を求めたところ、「このノートをもっていると助けてもらえるんですね」と言ってくれたことが、本当に貴重な意見だったと感じました。

障害のある子どもたちの居場所、仲間について想う

 この夏、様々な地域におじゃまして発達障害や特別支援教育にかんする研修会の講師をつとめさせていただきました。どこの会場でも、参加されたみなさまは熱心に私の話を聞いてくださり、このテーマに対する熱い思いを感じ取ることができました。
 一方、独立行政法人「立山青少年の家」から、特別な支援を要する小学生の自然体験プログラムについて指導助言をお願いしたいという、ちょっと変わった依頼もありました。特別支援学級に在籍する小学生を対象に、2泊3日の日程で山登りや自然散策を体験するメニューです。はじめは「障害のない子どもとのふれあいのない活動にどんなメリットがあるのか」という疑問があったのですが、特別支援学級の先生が次のようなことをお聞きし、なるほどと思いました。
 「この子たちは障害のない子どもと一緒に生活することを基本にしてきていますが、いつも一緒の活動では、どうしても彼らのペースについていけなかったり、勢いに圧倒されたりし、萎縮することがあります。この活動を通して他校の児童と知り合いになり、親交を深めることもできるようになりましたし、リーダーとなって活躍する子どももいます」
 実は私が主催している「チャレンジルーム」も同じようなことが言えるのです。いつもは障害のない中高校生と一緒にいることが多い彼らは、同じような特性を持つ友達とのひとときを楽しみにし、自分の居場所を見いだしているように感じます。月1回2時間という本当にささやかな活動ですが、この活動を楽しみにしてきてくれています。
 障害のある子どもたちが障害のない子どもの中でともに育つことは当然のことです。しかし、年齢とともに対等の関係でつきあっていくことが難しくなることも事実です。時には同じ特性を持つ同士で集まり、自分たちのペースでゆっくり活動することも必要ではないかと思います。
 立山青少年の家の活動に参加した小学生が、中学・高校生になっても交友関係を維持していくことを願ってやみません。

第1回新潟市特別支援教育サポートネットワーク連携協議会
 標記会議の個人的なメモです。教育委員会へのお問い合わせはご遠慮ください。

(1)新潟市の特別支援教育の現状
 @サポートネットワーク事業
 ・県の推進事業の一環で実施。特別支援学校のセンター的機能の活用、コーディネーター研修の実施、支援員(ボランティア)の活用、専門家チームの活用
 ・巻南小学校に通級指導教室設置により各区に推進校。平成21年には市民対象の理解推進講座の実施
 A特別支援学校、学級
 ・特別支援学級が198校、815名在籍。毎年100名程度の増。
 ・平成22年度西養護学校(仮称)の設置。小中15学級程度予定。
 B教員研修
 C介助員の配置
 ・特別支援学級通常学級あわせて247名配置。
 ・ボランティアバンク登録69名。活動50名
 
(個人的意見):養護学校への進学者が増加しているが、普通高校等通常の場での教育を進めていくことについて、中学校特別支援学級からの進路選択を複数にする必要があるのではないか。特別支援学級の弾力的運用により、通常の場での教育を進めていく必要があるのではないか。

(2)協議:就学前から就学後の連携の在り方
 @学校支援課「就学支援ファイル」の作成
 ・支援の継続、小学校への伝達ツール、支援計画につなげるなどの目的
 ・H19就学指導時に保護者に配付。
(個人的意見):発達障害に限定せず、支援をして欲しい子どもすべてに作成してはどうか。支援ファイルを作成した、もしくは支援ファイルに基づいて個別の支援計画を作成した児童が、特別支援教育の対象になると定義できる。
 A新潟市健康福祉部保育課の取組
 ・市内保育所の統合保育の現状についての説明
 ・保護者への特別な支援の必要性を説明することがむずかしい
 ・今後は個別の教育支援計画を作成していく
 BNPO法人にいがた・オーティズム「サポートブック」作成
 ・子どもにかかわる方(ガイドヘルパー、教師など)が、子どもに適切にかかわれるよう支援するツール

○協議から(個人的意見)
・支援は保護者だけではなく本人支援が重要。そのためには支援ツールや支援のシステムなどさまざまな方法が考えられる。本人にとって役立つ方法を検討する必要がある。
・発達障害通級指導教室は通常学級での教育の一部である。通常学級担任は個別計画の作成から評価に積極的にかかわり、通級での指導を見学に行くべき

特別支援教育推進には国民の理解が必要
 個人的なことですが、ここ数ヵ月間で他県から特別支援教育に関係する研修会の講師をいくつか依頼され、個別の教育支援計画やコーディネーターの役割などについてお話をさせていただきました。と同時に、他県の特別支援の近況を知ることもでき、自分にとっても有意義な体験をしました。複数コーディネーターの指名(くわしくは「発達障害研究,30(2)」)、5歳児健診の実施(山梨県のいくつかの自治体)など、今後の動向を知る上でも参考になることがたくさんありました。それにしても、特別支援教育を担当する指導主事の先生は、全体を見渡す広い視野を持つパワフルな方々が多いなあと、感心させられました。
 新潟日報(7月2日)に、新潟県の特別支援教育に関する特集が組まれていました。見開き2頁で、県の対応や現状、先進的な取組(上越市立飯小学校)などが紹介されていました。これを読むと、関係する保護者の方々にとっては、特別支援教育の考え方が広く浸透してきていることを感じます。
 しかし、教育関係者以外の方々がいまだに特別支援教育イコール障害児教育という考えから抜けきれない限り、特別支援教育の考え方は支持されないのではないでしょうか。 障害の有無に限らず通常学級でも特別な支援をすることに、すべての国民が抵抗感を持たなくなることを望みます。そのためにも一般国民を対象とした啓発活動は、今後も必要といえます。新潟オーティズムでは、自閉症の理解啓発を進める活動のひとつとして、マスコットキャラクターを作成したようです(http://www.niigata-autism.jp/badge/)。このことも一般の方々に自閉症を知っていただく、とてもユニークな活動だといえます。

第1回新潟市発達障がい者支援体制整備検討委員会
 表記検討委員会が開催されました。運営委員会の趣旨・要項、新潟県発達障がい者支援センターの活動実績について説明があり、発達障害に関連する情報提供(委員より)、新潟市の発達障害者支援の現状と課題について話し合われました(具体的な対応については第2回以降検討)。さらに、新潟市発達障がい者支援センターの設置の必要性が認められ、今後はそのあり方について話し合われることになりました。

第7回新潟県発達障害者支援体制整備検討委員会 及び 第1回新潟県発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業運営会議

 義務教育課と障害福祉課が合同で開催した会議のメモです。個人的なメモであり、主催者への問い合わせはご遠慮ください。

1 義務教育課
 (1)20年度事業のポイント
 ・高等学校における体制整備:コーディネーターの指名、校内委員会の設置
 ・「発達障害等」のように、発達障害に限定せずに支援
 ・特別支援教育学生等支援員:特別な支援を必要とする子どもへの支援を担当するボランティア。大学生に限定しない
 ・グランドモデル地域の指定:上越市、柏崎市
 ・相談支援ファイル(サポートノート)の作成と活用:保護者が子どもについての資料や情報・受けた支援などをまとめるためのツール。保護者所有。様式や活用についてはワーキンググループで検討
 ・新潟県予算は約2千万円(2県分に匹敵)
 (2)質疑より
 ・(特別な支援を要する高校生が多く在籍する)高校では職業センターと連携しているが、社会・生活スキルの指導までは十分できないという問題がある。そのためには、各年齢で獲得すべきスキルをまとめ、カリキュラムに位置づけたり指導の時間を確保するなどの対応が必要。また、特別な支援を必要とすることに早期に気づくことはもちろん重要
 ・学齢期の子どもでも、将来の生活を視野に入れた計画・指導が大切ではないか

2 障害福祉課
 (1)20年度事業のポイント
 ・ライフステージを通した支援を可能とする連携体制を検討するためのワーキンググループの設置
 ・サポートノート(相談支援ファイル)作成のためのワーキンググループの設置
 ・医療機関と企業を対象とした発達障害にかんする普及啓発のためのワーキンググループの設置
 (2)質疑より
 ・上越市では乳幼児健診を就学までつなげる一貫した対応を実施している。フォローアップ、個別の支援計画の策定なども。学校に情報をいかにつなげるか、支援計画の様式の見直しなど考えている
 ・保育園では早期発見を心がけているが、保護者への説明の仕方、単なる遅れとの見極めなど、課題が多い。関係者で研修を心がけている
 ・ライフステージを通した支援・連携で課題は、高等学校中途退学者など、組織に所属できなくなった方である。手帳取得ができないなど、就労が大変困難である

3 まとめ(最後に長澤が教育の立場で発言した内容に加筆しました)
 特別支援教育は、統合教育と同じと考える。通常の場で障害のない子どもと同じような教育が保障されるための支援を考え実践すること。特別支援教育の推進には関係機関の連携など様々なことが提案されているが、県民の理解と意識の向上が重要だと考える。
 特別な支援を提供するためには、教育・福祉・労働の役割が重要である。なぜなら、発達障害は従来の「診断治療モデル」が適用しにくいこと、通常の場で障害のない子どもと同じように学習したり働いたりすることができるための支援を考えることから始めるからである。しかし、精神疾患や非行などの二次的な問題や早期診断など、医療や警察などの役割も欠かせない。そして、これらを統括する行政の役割も大切。
 系統的支援と連携を保障するためには個別の支援計画の策定が必須。また、地域で推進するためには核となってまとめる役割をどこが担当するのかを明確にすること。
 早期発見の目的は「発達障害」というラベルを貼ることではなく、将来学習困難や問題行動につながらないための予防的な目的が最も重要。
 ニートの中に発達障害と思われる方が少なからず存在していることが知られている。このような会議にニートを担当している部署の方を入れて欲しい。 

2月に実施された講演会の新聞記事をちょうだいいたしました。

第3回新潟市特別支援教育サポートネットワーク連携協議会メモ
 先日開催された標記協議会の個人的なメモです。

○新潟市の特別支援教育の取り組みについて
1 特別支援教育に対するニーズの増大
 特別支援学級は19年度20学級増、20年度は14学級増(予定)。毎年在籍人数が100名程度増加。LD等の通級指導教室は「発達障害通級」へ。20年度は巻南小学校に開設。中学生は附属特別支援学校特別支援教室へ。
2 サポートセンター事業
 相談状況は2月1日現在で受理件数400を超える。処理件数も350を超える。特別支援教育に関する研修会の充実。コーディネーター養成研修では20年度に修了生が出る予定。サポートセンター主催で研修会を開催。各地区の推進校と地域の特別支援学校の連携による幼・小・中学校支援の推進。
3 就学指導
 全市統一した手続きや方法による審議。知能検査をできるだけ実施する。小学校入学予定者(希望者)に「支援ファイル」を配布。これを個別の教育支援計画に生かすことが今後の課題。
4 研修
 各種研修会の実施。20年度に「ハンドブック」の作成。通常学級に在籍する特別な支援を要する子どもを対象。発達障害に限定せず指導のユニバーサルデザイン化を。
5 特別支援教育ボランティア制度
 現在33名登録で18名活動中。ボランティアの手引きを作成。学校支援と一般市民への啓発という成果が得られた。より多くの市民の参加が求められる。
 特別支援教育支援員について、20年度は教員をめざす学生でなくても可能に。
6 特別支援学級訪問指導
 はじめて担任になった教員対象に、指導主事が学校訪問し指導。
7 西地区の養護学校の建設予定
 22年度開校予定。窓口は学校支援課。てまりの里分校では将来の小中高一貫教育を念頭に対応を検討する予定。
8 介助員の配置
 20年度もこの事業は継続。政令市では全国トップの配置状況。

・質疑から
 コーディネーターに適した教員の立場は?特別支援学級担任より、教務主任、学年主任、教頭、級外教員などが適任の場合も。特別支援教育の専門性がなくても研修により身につけられる。
・PTAによる学校支援も。総合的な学習、英語、ピアノ伴奏など。特別支援教育を目的とした支援は、まだ課題がある。
・中学生の通級指導教室はまだ未定。通級による指導よりスクールカウンセラー活用事業で対応することが望ましいのでは(長澤)。

○連携について
1 いなほの会の事例検討会の紹介。親の会主催で学校と連携した検討会で平成12年から開始。個別の指導計画の作成と評価。保護者教員からも高く評価されている。

・質疑から
 自閉症親の会、いなほの会とも、一般市民向けに充実した研修会を開催している(HP参照)。
・21年度に新潟市でも発達障害者支援センターを開設予定。
・市立養護学校では、入学予定の子どもについて、入学前に保育園や幼稚園に出向いて事前観察を実施。
・20年度、特別支援学級に看護師を配置し医療的ケアを実施する予定。
・医療機関を受信するときには、教員も同席した方がいいのでは(親の同意があった場合)。

2 個別の教育支援計画について(質疑から)
 市として統一した様式は特にはない。各学校の独自性を出すことが求められる。サポートセンターが作成を援助している(要請があれば)。コーディネーター研修でも例示している。
 通常の学級に在籍する児童についても支援計画を作成している小学校も。校内研修会を開催。
 中高校生を対象とした「支援ファイル」の必要性。今後は小学校で支援計画を作成して中学校につなげることと、高等学校で支援計画(移行計画)を作成して就労につなげることが大切。

* 20年度もこの事業は継続する予定

平成19年度特別支援教育体制推進事業第2回調査研究運営会議

 標記会議の個人的なメモです(途中退席のため、すべてをお伝えすることはできませんでした)。県教委への問い合わせはご遠慮ください。

○推進体制アンケート調査の結果
・小中学校では校内委員会の設置やコーディネーターの指名などはほぼ完了している。しかし教員研修の状況、個別計画の作成は十分とは言えない。・幼稚園では推進体制は整備途上にあるが、専門相談員による巡回相談はかなり活用している。
・高等学校も推進体制は整備途上にあるが、単位制高校では整備が進んでいる。
○高等学校の推進予定(計画)
・高等学校課など3つの課で推進プロジェクト(チーム)を設置し、20年度からの取り組みを検討
・今月18日に、高等学校の校長・教頭を対象に研修会を開催する
・かけはし(19年12月5日発行)、教育月報2月号(2月5日発行)で、特別支援教育の取り組みを紹介
・20年度高等学校における発達障害支援モデル事業の推進校として県立出雲崎高校がエントリーした。全国に誇れる取り組み(支援と就労を学校の命題としている)が評価された。対象となると財政面での支援がなされる。仮に選考されなかったとしても特別支援教育総合推進事業として実施○特別支援教育を推進するための方針
 広報活動、県センでの教員研修の実施、特別支援学校のセンター化の促進、市町村教育委員会からのアピール、特別支援学級担任の活用、障害福祉科・労働局との連携など
○特別支援教育支援員の事業について
 上越教育大学を中心に上越市で展開。大学のない地域への派遣が課題
○発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業について
 新規事業として「グランドモデル地域」。長岡市が対象か。
 推進事業の概要は
 整備事業の概要は
◎長澤の発言
・学校では発達障害という診断にこだわらず、何らかの困難を抱えている児童生徒を対象に取り組んで欲しい。目の前の問題にまず対応することが必要であり診断が先ではない
・教員養成大学のない地域への支援員の派遣は困難であるが、PTAや地域の活用による学習支援ボランティアであればどの地域でも可能。ガイドラインの作成、個人情報の守秘義務の徹底などの対策も必要
・広報活動では、市の広報など一般住民が目にする媒体でのアピールも効果がある
・高等学校の取り組みを進めるためには、先進的な取り組みをしている高等学校を紹介することも有効
・発達障害のある生徒の就労支援に、ニートの事業と連携して欲しい(発言ではなくここでの意見)

平成19年度第3回新潟県発達障がい者支援連携会議

 標記会議の私のメモです(すべて私が個人的に把握した内容です)。
○障害者就業・生活支援センター情報提供
 330名ほど登録。発達障害は28名。そのうち手帳なしが9名。相談機関、相手、場所の少なさ。高校との連携による就労支援の実施。高等学校での職業教育が十分とは言えない。成人になるまで発達障害が発見されてこなかったケースが多い。長期にわたる支援の必要性。
○障害者職業センター情報提供
 平成16年度から発達障害の対応も。就労に関する専門機関(ジョブコーチの提供など。6名在職)。年間480名利用。発達障害は26名。アセスメント、職業訓練、ジョブコーチなど。手帳を有しているかどうかでその後のサービスが受けられるかどうかがきまる。学齢期のストレスが二次障害を引き起こし、相談相手がなく孤立している事例。
○医師からの情報提供
 発達障害の多くは広汎性発達障害。広汎性発達障害の正しい理解と支援の必要性。
○親の会代表
 就労を含めカウンセリングなどを通した本人支援の重要性。地域でその体制が構築されていることが必要。現在は医師への相談がもっとも多い。
○福祉関係者
 施設職員や事業者でも発達障害への理解は十分ではない。地域で相談できる機関が少ない。
○保健関係者
 発達障害者の多種多様な相談がたくさんある。現状で対応しきれないこともある。
○就業・生活支援センター
 中越では行政、学校、ジョブカフェ、職業センター、ハローワークによる就労のための連携会議が開催されている。
○教育委員会
 特別支援教育の取り組みの現状。特別な支援のために「診断」にこだわる傾向。小中から高等学校への広がり(高校校長研修の実施)。小学校入学時に支援ファイル(個別の教育支援計画のもとになる)を作成している(新潟市)。今後小中高と継続させたい。
○福祉関係者
 大人になり子育てや家庭生活での困難を抱える事例。
○医師
 成人期の発達障害は児童期から継続してみていかないとわかりにくい。発達障害かどうかの視点ではない視点で考えると、当人を地域(もしくは社会)が受け入れられる(認められる)かどうかによって、その人の生き方はかわってくる。既成の社会のシステムに合わせることも大事だが、発達障害にあったシステム(制度)を作ることも大切(高校で発達障害のコースを作るなど)。発達障害と思われる子どもが実は虐待を受けていたという事例も多い。親子関係が築けず結果として人間関係が築けないまま大人になっている。
◎県への提言・要望
・施設での発達障害者への虐待の問題があり、職員の研修が必要
・障害者認定されていない発達障害者への就労支援の機会の提供
・発達障害を認定する手帳制度
・発達障害にかかわる専門機関の適正配置
・特定の能力が高い発達障害者の才能を伸ばす支援
・警察関係者への発達障害の理解啓発
・仲間作りの場、コミュニケーションを学ぶ場の設定。
・福祉、教育、医療にかかわる人的支援の充実

 これらの意見や提言は「支援体制整備計画検討委員会」に報告され、今後の施策の参考となる。

パネルディスカッション、「すべての子どもが活き活きとする地域と学校を目指して−みんなで意識する発達障害の正しい理解と見守り方−」から、教育の諸問題を考える(寄稿)

 先日開催された標記パネルディスカッションに講師、パネラーとして参加し、パネラーの話や会場からの質問・意見から、発達障害や特別支援教育にかかわっているもののひとりとして、さまざまな想いが浮かんできました。

 特別支援教育への国の取り組み姿勢が積極的であることは、平成20年度の事業費が拡充していること(十分ではないが、厳しい財政状況の中では健闘している)、例えば体制事業費が5億円程度、幼児期への早期対応事業費や高等学校を対象とした事業費(モデル校として新規に20校程度対象とするなど)も拡充されていることなどから伺い知ることができます。さらに、発達障害のある高校生の大学等への進学率の向上や大学における特別支援教育の推進などを、文部科学省でも前向きに検討しているように感じました。進学率を上げることは結構なことですが、肝心の就職率が低迷していては、結局ニートを増やすだけになってしまうのではという危惧もあります。本県では高校進学率が全国一位なのに、ニートの人数も上位にあるようです。
 この問題については、次のような問題が考えられました。高校での進路指導の問題(ネットで就職先を探させ、とにかく試験を受けさせて送り出すようなやり方)、発達障害のあるニートへの国の対応の遅れ、企業の受け入れの問題(発達障害に対する理解の低さなど)など、検討すべき課題はたくさんあります。現代は第三次産業中心の社会ですから、学歴や免許・資格が就労の必要条件になります。企業は即戦力になる人を求め、戦力にならないと判断されると即時に解雇される可能性があります。終身雇用制度のもとでは即戦力にならない社員でも、会社が時間をかけて研修させるだけの体制があったようですが、現在ではそのようなことは期待できません。発達障害の生徒のように、学力や社会的スキルなどの問題がある生徒についてはきめ細かな就労支援が求められます。ジョブカードの導入や高校での移行計画の導入などを検討してもらいたいものです。

 ところで、小児科のお医者さんが、発達障害は本来の医療と異なるのではないかという興味深い発言をされていました。つまり、不具合を発見して治療するという方針が発達障害には合わないということだと思います。そこで、小児科医は発達障害に関する研修を受けて、母親へのサポートを充実すべきではということを話しておられました。発達障害の子どもに限らず、大人により子どもへの不適切な対応が大きな社会問題になっていることも指摘していました。私も同感です。
 大人の不適切な対応とは主に虐待があげられますが、子どもの基本的生活習慣を保障しない、いわば大人中心の生活習慣も対象になると思います。大人中心の生活習慣は虐待とは言えないまでも、不適切な養育になってしまうと思います。ここで不適切な養育をしている親を責めようとは思いません。むしろ、大人中心の生活にならざるを得ない社会状況として、経済格差のことに触れたいと思うのです。経済的に恵まれない状況が続けば、精神的にも余裕がなくなって自分のことだけで精一杯になり、子どもの養育は後回しになります。特に学齢期になれば家庭における学習支援の程度が学力にも反映されるようになり、結果として経済的に裕福ではない家庭の子どもは、お金のかかる大学には進学することが困難な状況になります。このような状態が続けば、生まれた家庭状況で自分の運命がきまってしまうような恐ろしい状況になる危険もあるのではないでしょうか。
 ただ、大都市圏でひとりで生活するには十分ではない年収でも、家族と同居するライフスタイルであれば、少なくとも貧困生活にはならないと考えます。東京で、いわゆるリッチな一人暮らしをしようとしても、そのような生活が可能なのはごく一部だけでしょうから。それなら地方都市で両親と同居しながら好きな仕事をすることで、充実した生活を送ることが可能になるのではないでしょうか。という提案をしても、多くの若者はこの考えを支持してくれないでしょうね。もはや我が国は、地域や家族など集団中心の社会ではなく、個人中心の社会に移行してしまっていますから、今さら「みんなと一緒なんて」という意見が多いのでは。欧米などキリスト教の国々では、宗教が個々の人間を「監視」していると考えられます。我が国では宗教ではなく、「世間」が個々の人間を「監視」してきたように思います。しかし「世間」が消滅してしまった現在、日本人を「監視」するものは何もなくなったように感じます。そのために虐待や自殺、ひきこもりなどの問題につながっているのではないかと思います(もちろんあくまでも私個人の感想です)。個人中心の社会は束縛がなく快適ですが、自己決定自己責任を求められるということは、そのような責任を果たせなくなって、心が病んでしまう危険もあると思います。

 今回のパネルディスカッションのテーマは、「すべての子どもが活き活きとする地域と学校を目指して」でした。このようなテーマが設定された理由として、個人中心の社会が定着した今こそ、集団による相互援助が必要ではないかと私は思いました。パネルディスカッションで話題になった地域支援として、@ボランティアによる学校支援(学習支援ボランティアによる授業の支援など)、A親の会の活動(会員の心の支えになること)、B町内会活動(イベント等による世代間交流など)などが話題になりました。ボランティアというと人のために何かをすることに消極的な方がいますが、そうではなく、自分もいずれ他人の世話になるときが来るので、そのために今できることを(自分のために)やっておこう、という発想でもいいのではないかと、私は思います。

 今年一年、講演や研修会、教育相談などさまざまな場面を通して、発達障害・特別支援教育にかかわってきました。最後に、このような時代に置いても教育の役割は最も重要だと思います。よりよい教員の育成をめざすもののひとりとして、学校の先生方に大学院での研修を検討してもらえるよう、最後に訴えたいと思います。

第3回特別支援学校高等部の在り方検討委員会メモ
 11月7日に開催された標記委員会のメモ・感想です。個人的なメモなので、教育委員会等への問い合わせはご遠慮ください。

 2回の検討委員会で了承された方向性をふまえ、「最終まとめ」を作成することになった。知的障害養護学校高等部の課題として、志願者全員を受け入れる対応、本人及び保護者の多様なニーズへの対応、知的障害養護学校高等部の適切な配置について検討した。その結果、高等養護(高等部)希望者は全員受け入れること、普通高校の専門学科のある高等学校に分校・分教室を設置する案や、従来の障害種を超えた特別支援学校の在り方の検討、自閉症の特性に応じた教育条件の保障、地域で学ぶための学校設置など、より具体的な方向性がいくつか了承された。今後は施策実現に向けて教育委員会と関係自治体との交渉を経て、どこにどのような学校(学級)が設置されるかがきまるであろう。
 今回の検討委員会により、新潟県の高等学校教育もインクルージョンをめざすこと、高等学校においても特別支援教育を充実していくこと、自閉症にあった教育の実現に向けて踏み出すこと、今ある特別支援学校の在り方を見直すこと、高等部の空白区がなくなるのではないかということなど、期待できることがたくさんあったと感じた。今後はこれらの方針がどのように実現していくのかを、注目したい。
 なお、月ヶ岡養護学校ふなおか分校への高等部普通学級の開設は正式にきまったようです。

第2回新潟市特別支援教育サポートネットワーク連携協議会
 10月31日に開催されました標記会議のメモです。あくまでも私個人のメモであり、公式発表ではありません。市教委等への問い合わせはご遠慮ください。

1.新潟市の特別支援教育の取り組みについて
・特別支援学級数の増加傾向続いている
・サポートネットワーク事業についての説明
・小中学校通常学級に在籍する特別な支援を要する児童生徒の頻度はおよそ3から4%の間。教員の気づきが進んだからか。中学での頻度が低いのは別の問題(学力不振、生徒指導上の問題など)としてみているからか
・サポートセンターへの相談件数の比率は学校と保護者ではほぼ同程度。保護者の相談の半数は就学時検診時。
・特別支援学級、通級指導教室の今後の設置については、就学時検診の結果などから検討。情緒通級、LD、ADHD等の通級教室は「発達障がい通級指導教室」となる模様。
・中学生への通級指導の必要性。ただし、現在あるSCの制度や適応指導教室でのカウンセリングなどを活用することもできる。まずは各区の小学校に1学級は通級教室を設置することを目標とする(市)
・発達障がいに対応した学級担任へのハンドブック(仮題)を作成中。通常学級担任へ配布の見通し

2.義務教育終了後の対応、就労支援
 (1)高等学校(主に単位制高校)での現状
・県内に7校の単位制高校
・定時制高校の役割:(昔)働学 → (今)多様性、学び直し
・発達障害(もしくはその疑い)のある生徒や、精神的な問題、対人関係に問題を抱える生徒が少なからず在籍。過去に不登校の経験のある生徒も。
・居場所作りや学習支援など個々の実態に応じた支援は実施しているが、組織的な対応はまだ十分ではない(今後の課題)。
・卒業後の進路は進学3割、就職3割程度。
・県の方針:高校でも特別支援教育に取り組む。まずは教員の研修から。
・高等学校における発達障害生徒のための特別支援コース設置の要望(意見)
・学校教育から就労に至るまでの一貫した支援のためのネットワーク作りの要望(意見)
 (2)RISE、はまぐみからの情報提供
・RISE相談件数など、相談の状況報告。
・高等学校や大学への支援を学校側が快く受け入れてくれる。学校側も困っている現状があるのでは。
・中学校から高等学校、高等学校から大学への支援の継続性をいかに保障するか、今後の課題。
・岡山で実施している「ぷれジョブ」の紹介。中学校区単位ですすめる子どもの社会参加を考える会の取り組み。

第2回特別支援学校高等部の在り方検討委員会

 10月24日に開催された標記委員会のメモです。
 今後の高等部(高等養護学校)設置に関する方向性は次の通りです。
・ノーマライゼーションの理念、インクルーシブな教育の実現をめざす
・障害種別を超えた特別支援学校の在り方を検討する
・発達障害(特に広汎性発達障害)などの障害の特性に応じた特別支援学校の在り方、教育環境を検討する
・地域で学び、地域で生きることを実現する特別支援学校の配置の在り方を検討する

 この4つの視点に基づき、県内の学区について具体案を検討しました。来月の3回目の委員会で、よりはっきりした方向性が打ち出されると思います。

平成19年度第2回新潟県発達障がい者支援連携会議について

 10月22日、標記会議が開催されました。テーマは「学齢期の支援の現状と課題」です。会議の中で話題になったことを、私のメモから拾ってみました。あくまでも私(長澤)の主観による記録です。公式な見解ではありません。

・障害のある子どもでも、子どもの住む地域で学ぶ統合教育を実施することが望ましいのでは
・学校以外でのさまざまな支援(例えば放課後支援、移動支援など)がNPOや市町村独自に実施されている。障害認定されていない発達障害でも対象となることがある(市町村の判断)
・発達障害ではなくても、親の不適切な対応(虐待、親自身の問題、経済的な問題など)により、発達障害のような状態を示す子どもが増えている。保護者の対応が非常に難しい。そこで学校は問題行動への対応のルールを定め(ルール違反はグループで特別に指導する、それでも守れないときは専門機関と連携して個別指導する。障害の有無は関係なく)手対応することが重要(教育的対応の応答性、Response To Intervention)。実施している学校がある
・学校では、不登校対策委員会など、問題別の委員会がある。発達障害かどうかの議論より問題そのものに対応する方法もある。何より子どもの特別なニーズを見極めることが重要
・将来の進路指導には、子どもの自己理解(特性や得意不得意など)を早期に支援することが重要
・高等学校での特別支援教育も少しずつ取り組み始めている
・就学指導に地域差がある。情報を小学校に伝え、さらには小中、中高連携が重要。そのためにも就学指導のときに個別の教育支援計画を策定する必要がある
・発達障害か否かの診断を急ぐのではなく、本人を含めた家族理解から関係の構築が重要ではないか

 二つ目の議題として、「被災地支援におけるRISEの取り組みについてのアンケート調査」について話し合われました。震災での発達障害者の支援について意見交換しました。この中で感じたことは、次の通りです。
・有事のときに何かをするのではなく、ふだんから子どもの問題に対応できる体制作りが必要
・支援が必要な人、優先順位がわかる台帳(名簿)の必要性
・教育、医療、福祉の連携。特別支援学校の役割の重要性
・地域でのネットワークの構築と実際に機能させること(共同での研修会の実施など)

にいがた共育通信
 新潟市教育委員会で配布されている標記通信に、特別支援教育について、インタビューに応じました。ここにアップロードされています。

第1回特別支援学校高等部の在り方検討委員会について
 標記委員会が9月26日に開催されました。そのときの私のメモです。
 
・この委員会は県内の特別支援学校高等部の在り方と配置に関すること、知的障害養護学校高等部(高等養護学校を含む、以下同じ)の整備に関することを検討する。
・従って、高等学校への障害のある生徒の入学に関することを検討する場ではない(高等学校でも特別支援教育を実施する方針である)
・県の方針は、障害のない生徒と及び障害種の異なる生徒と日常的に交流できる環境を整備するとともに、障害に応じた教育の機会を提供することである。
・新潟県の特別支援学校が抱える課題は、以下の通りである(話題になった一部の内容)
 高等部の在籍人数(普通、重複とも)が増加していること、
 小中学校特別支援学級の在籍も増加し(在籍率は1%前後、将来増加の可能性高い)、将来的にも高等部を希望する生徒が増加する見込みであること、
 盲、聾、肢体不自由養護、病弱養護は減少もしくは横ばいであること
 分校分教室高等部に普通学級が設置されていない学校があること
 学区制により希望する学校が選択できないこと
 高等部に多くの知的な遅れのない(軽い)発達障害の生徒が在籍していること(高等学校でも同じ)、
自閉症など、障害特性や個々の特性にあった対応の必要性

平成19年度文部科学省委嘱事業特別支援教育体制推進事業第1回調査研究運営会議(連携協議会)

 5月29日に実施された標記会議の私の個人的なメモです。

1.平成18年度実施報告から
・巡回相談は各教育事務所が相談窓口として専門相談員を派遣し実施した。高等学校、幼稚園、保育所への巡回も行われた。市町村独自に実施しているところもある。
・特別支援学校を中心に、地域で研修会が多数開催された。
・研修会を通して、3ヶ年ですべての学校のコーディネーターを養成できた。
・特別支援教育の体制(校内委員会、コーディネーターの任命など)について、幼稚園と高等学校の実態を調査した。小中学校ほど体制は整備されてはいない。しかし、単位制高校など、積極的に進めている学校も多く見られた。
2.19年度の事業から
・ 基本的には18年度とかわらないが、以下の点が新規、もしくはより積極的に推進される内容である。
・厚生労働省の「発達障害者支援体制整備事業」と連携する。
・学生支援員を活用した支援(上越教育大学、新潟大学)。後日、学校幼の要項を作成したい。
・幼稚園については、事業の周知徹底化を図る。巡回相談などを通して支援の必要性を伝える。発達障害に限定しないことなども。
・高等学校についても同じ。今年度は高等学校課に特別支援教育の窓口ができた(指導主事)。連携していきたい。
・特別支援教育支援員運用のための交付金が支給される。今まで以上に、介助員、学習補助員が増えるのでは。
3.上越市教育委員会からの情報提供
・特別支援学級の弾力的運用などを目的とした「特別支援教室制度に関する研究」が紹介された。関係資料http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_c/c-53/c-53.pdf

平成19年度新潟市特別支援教育サポートネットワーク支援連携協議会メモ

 5月25日に開催された会議のメモです。あくまでも私(長澤)が印象に残った内容を個人的な見地でまとめたものです。特に(意見)(感想)は、私の意見であり感想です。

・新潟市の支援体制についてhttp://www.city.niigata.jp/info/gakusi/sesaku/tokubetu/tokubetu.htm#t1
 サポートセンターhttp://www.city.niigata.jp/info/gakusi/sesaku/siennse.htmlを中心に、関係機関と連携しながら推進する。また各区ごとの推進校や特別支援学校が地域のセンター的な役割を果たす。
・就学指導の充実を図るために、「支援ファイル」を作成する。保護者が入学に当たり、今まで受けてきた支援や指導と、保護者の願いや要望を書面にまとめて学校に提出する制度である。
・(意見)学校はこの支援ファイルに基づき、校内委員会が中心となって個別の教育支援計画、指導計画を作成する必要がある。その際は保護者と一緒に作成すること。なお、支援計画作成の対象は障害のある子どもだけではなく、「教育的支援を必要とする子ども」である。(感想)市教委もこの考えを支持していると感じました。
・新潟市内特殊学級(特別支援学級)における個別の指導計画の作成はほぼ100%(18年度)。ある小学校では、通級指導を受けている児童にはコーディネーター、通級担当、担任、保護者で支援計画を作成。通常学級に在籍する必要のある児童にもコーディネーターが中心に支援計画を作成しているとのこと。
・(意見)特別支援学校、サポートセンター、相談センターが校内委員会を支援し、支援計画作成を支援することも必要。
・研修の充実(コーディネーター研修、管理職研修、幼保職員の研修)
・啓発活動(リーフレットの配布:反響が大きかった)、一般市民によるボランティア制度の導入
・就学指導の充実(相談業務の早期開始、巡回相談の実施)
・「発達障害」という用語の問題(注:新潟市での標記は「発達障がい」)。(意見)○○障害という用語により特別支援の対象を表すのではなく、「特別な支援を必要とする児童生徒」の標記が、より特別支援教育の理念に近いと思う。
・新潟市の障害者計画はHPにアップロードhttp://www.city.niigata.niigata.jp/info/shofuku/kentouiinkai/keikaku.html
・新潟市学童保育事業では何らかの理由で小学校4年以上も継続的に支援を必要とする場合、「申立書」を提出すると継続できる場合がある。
・ハローワークでも発達障害への対応を開始。事業主に本人の特性を説明するなどの支援も。

新潟県発達障がい者支援連携会議
 新潟県発達障害者支援体制整備検討委員会の実行組織としての連携会議から、私が注目した内容をメモしました。

・発達障害者支援センターのサテライトとして、新潟県障害者地域生活支援センター事業が実施される。事業の内容として発達障害に関する相談事業がある。発達障害を対応することは公的にははじめてのことなので、地域の特別支援学校や拠点校、コーディネーターの方々との連携を構築することが求められるのではないかと感じた。

・発達障害者への雇用対策として、若年コミュニケーション能力要支援者就労プログラム(ハローワークで発達障害などによりコミュニケーション能力に困難を抱える求職者に、専門機関を紹介したり、相談を担当する)を実施し、、一般職業能力開発校における発達障害者を対象とした職業訓練モデルとして、新潟テクノスクールが実施予定であるとのこと。

・上越市と新発田市の乳幼児への取り組みが紹介されたが、発達障害の早期発見早期療育の必要性はいうまでもないことであるが、育児に困難を抱えている(発達障害の有無を問わず)親支援はもっと重要な課題だと思う。発達障害かどうかの判断に時間をかけるより、発達障害を主訴にせず、困難を抱えている親や、年齢相応の行動がとれない、獲得していない子どもを持つ親に対して、支援を急ぐことが必要であろう。

基本的生活習慣の大切さ
 先日、BSNキッズプロジェクトの講演会で、このような内容の講演をしました。記録はこちらです。

問題行動は解決がもっとも好ましいのか?

 教育相談やスクールカウンセラー、各種講演会などで、障害のある子ども(ない子ども)の問題行動を相談されることがしょっちゅうあります。問題行動のとらえ方につきましては、「こうすればできる:問題行動対応マニュアル」でくわしく述べていますので、ここではくわしくはふれません。ただ言えることは、障害のあるなしにかかわらず、子どもの問題行動はコミュニケーション行動であり、彼らの自己主張であるということです。ということは、問題行動をなくすことが重要なのではなく、問題行動ではない、社会的に妥当な行動でコミュニケーションしたり、自己主張できるように教えることが重要なのです。問題行動をなくす介入は、コミュニケーションや自己主張の手段や機会を奪うことになります。ですから、問題行動にかわる好ましい行動を教えることが、彼らとのコミュニケーションにつながるのではないでしょうか。問題行動の対応に苦慮している人には無責任に聞こえるかもしれませんが、あきらめずにつきあって欲しいと思います(私もそうしています)。

 問題には必ず答えがあると思ってはいけません。答えを出すことより答えを出す過程が大切なこともあるのです。

特別支援コーディネーター研修会に想う

 最近、いくつかの特別支援教育コーディネーター養成研修会に参加しました。始めてコーディネーターに指名された先生がほとんどで、熱心に私の話を聞いてくださいました。各学校の取り組みをお聞きしますと、学校によって対応に温度差があることはどこの県でも同じです。学校の実状が異なるので、こういうことも止む終えないのかもしれません。しかし「なぜ特別支援なのか?」という疑問の声に対して同情できる部分もあるのですが、やはり社会そのものの変化を感じ取って欲しいと思います。私は、特別支援教育は統合教育の理念に基づくものであり、それは世界標準の考え方でもあり、そしてその原点はノーマリゼーションにあると思うのです。ですから、特別支援教育の是非を問うより、「支援を必要とする子どもにいかに支援するか」を具体的に検討するべきです。その事由が発達障害であろうとなかろうと、学習、対人関係、学校生活などで支援を必要としているのであれば、迅速に対応すべきなのです。
 「そうはいっても学校は忙しいので、成り行きに任せるしかない」のような気持ちも分かります。校内委員会、個別の指導計画の作成、保護者への対応、関係機関との連携等々、本当に教師は忙しくなったと思います。それなのに教員の可配はほとんど認められないという厳しい現状もあります。私は、いい意味での手抜き(仕事の効率化)を真剣に検討し実行すべきだと考えます。事務的な仕事や会議など、工夫できることはたくさんあるはずです。そのぶん子どもに十分手をかけていただきたいものです。
 成り行きに任せ、問題を先送りし続けていくと、最終的にこの子たちは仕事に就けなくなります。軽度発達障害は、基本的には障害認定されていません。発達障害者支援法ができても、状況は変わりません。就労で福祉的支援がほとんど受けられないのです。「発達障害に気づき、より早く学校が対応していれば、職業自立ができたかもしれない」という親の声を聞いたことがあります。現在は社会的スキルや資格などがないと、就職が困難です。なおかつ障害者枠での就労ができない軽度発達障害の人たちは、本当に厳しい現状です。問題を先送りせず、早期に妥当な対応をすることで、いわゆるニートの問題も幾分解決できるのではないでしょうか。

自閉症親の会研修会

 平成18年2月18日に実施された標記研修会の新聞記事です。新潟日報2月28日に掲載されました。

参加した県の会議

1.平成18年度特別支援教育推進体制事業第2回運営会議報告
 標記運営会議に出席しましたが、別の会議のため途中で退席し、詳細は報告できませんでした。

 新潟県の特別支援教育推進体制アンケート調査結果(かっこ内は全国)
1)校内委員会の設置 100%(91.8%)
2)実態把握 100%(84.4%)
3)コーディネーターの指名 100%(84.0%)
4)個別の指導計画の作成 77.0%(52.8%)
5)個別の教育支援計画の作成 48.8%(35.7%)
6)巡回相談員の活用 63.0%(60.3%)
7)専門家チームの活用 43.4%(31.8%)

 特別な教育的支援を必要とする児童生徒のための支援体制の整備(資料) http://www.pref.niigata.jp/kyoiku/gimukyoiku/gimukyo/index.htm

 相談依頼状況(事務所への依頼)(省略):養護学校教員による教育相談や巡回による指導が多く見られた。

 地域研修実績状況(特殊教育諸学校での開催)(省略)

◎平成18年度事業予定
・特別支援教育コーディネーター養成研修の実施
・相談手帳モデルの作成(新規)
・専門家チームの設置
・巡回相談の実施
・地域人材(特別支援教育ボランティア・仮称)を活用した支援体制のいっそうの整備(新規)

・条例改正による特別支援教育の推進(平成19年度までに)。ただし、18年度には特別支援学級(特殊学級)、特別支援学校(特殊教育諸学校)の名称に変更予定。


2.医療的ケア実施体制整備事業第2回運営協議会
・看護師との連携のもとにおこなう教員による補助ケアについては、許可する方向で手続きを進める
・あくまでも必要と認められる学校で、学校長が必要だと判断した場合に限る
・できるだけ早い時期に認められるように進める
・訪問在籍児童生徒のスクーリングにおける看護師のケア、校外学習における看護師の引率については今後の検討課題
・今後の医療的ケアに関する推進・検討は、「医療的ケア連絡協議会」(校長会主催)で実施する
・専門研修は県教委主催で実施する

特別支援教育部会講評

○平成17年度関東地区教育研究所連盟「教育相談・特別支援教育研究協議会」特別支援教育部会報告
 平成17年11月22日(火)新潟県立教育センターにて開催された標記部会を報告します。
 (1)発表
  @通常の学級における特別支援教育の在り方:川崎市総合教育センター指導主事
 川崎市における特別支援教育の取り組み、特にコーディネーター及び校内委員会のあり方、巡回相談員及び専門家チームの活動のあり方を紹介した。
  A盲学校のセンター的機能の開発:栃木県総合教育センター指導主事
 盲学校のセンター的機能のひとつ、相談・学習支援の内容・形態として、地域の小学校に在籍する視覚障害児への支援、読み困難を示すLD児への支援を紹介した。詳細は栃木県総合教育センターHPへ。
  B一人一人の教育的ニーズに応じた支援のあり方に関する調査研究:埼玉県立総合教育センター指導主事
 特別な教育的支援を必要とする児童生徒支援のための支援ツール、本当の私を見つけてよ(アセスメントツール)、指導法例示ソフト(指導用ツール)、個別の指導計画作成ツールを紹介した。それぞれダウンロードできるとのこと。埼玉県総合教育センターHP。
 (2)長澤講評
 特別支援教育は、統合教育と考えるべき。統合教育は、REI( Regular Educastion Inisiative :通常学級(教育)主導主義)といわれるように、通常の学級が中心に展開されなければならない。支援を必要とする児童生徒が通常の学級で教育を受けるためには、カリキュラムの修正、個にあった支援(特にすべての子どもが学びやすい学習環境・条件の保障: Universal Design for Learning )、特別支援教室などの個別指導の場の確保などが求められる。
 特別支援教育推進のためのシステムはわかりやすさが求められる。保護者でも困ったときにどう動けばよいか一目でわかるシステムが必要である。コーディネーターは特別支援教育のコーディネート役。一人で何でもこなす必要はない。校内委員会は特別な支援を検討する組織であり、従来の枠組みで対応してもよい。教師が動きやすいことが大切。
 特別支援学校がセンターとして機能する場合、地域のニーズを調査することが必要。単なる教育相談を求めているわけではなく、教育相談よりコンサルテーションが中心になるのではないか。そのための研修が必要。特別支援学校の専門性やstrengthを生かし、オリジナリティーあるセンターとして機能してほしい。巡回による指導や保護者支援(支援プログラムの開発、公開講座の開催など)も必要とされている。
 埼玉県総合教育センターが発表した「埼玉県における特別な支援を必要とする児童生徒の割合 10.5%は、妥当な数値だと思う。障害があるなしにかかわらず、対人関係や学習、行動面で支援を必要としている子どもはたくさんいる。
 アセスメントは子どもの指導に役立つものでなければならない。かつての障害児教育(特殊教育)のように、診断するためのツールだけではいけない。カリキュラムに基づくアセスメント( Curriculum Based Assessment : CBA )の検討を。指導のための支援ソフトは今後もニーズが高いであろう。利用者個々のニーズに応じたツール・システムの開発(Webを使った支援、e-Learningによる学習支援)等も利用価値が高いのではないか。
 最後に、特別支援教育は教育の構造改革である。国を頼るのではなく学校でできる資質を向上させること、つまり学校の自立が求められているようである。

関連資料:「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申素案)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/016/05062702/004.htm

学習支援ボランティア

 先に発表した論文「特別支援教育を推進するための親のパートナーシップの在り方−小学校における親の学習支援ボランティアの実践と課題−」に関連する新潟日報の記事です。

医療的ケア

平成17年度文部科学省委嘱事業 盲・聾・養護学校における医療的ケア実施体制整備事業 第1回運営協議会
 会議における私の個人的なメモです。なお、新潟県の姿勢につきましては、平成16年度の記録(8月24日開催)をご覧ください。

・新潟県では、教員による医療行為は認めない。あくまでも看護師に対する医療行為以外の補助である。
・看護師の指導のもと、教員による医療的ケアを認めているのは、全国で21自治体(45%)
・文部科学省の基本的姿勢は、教員による補助的ケアは許容されたとしても心配ならやらない、看護師にしてもらう。
・しかし、文部科学省は昨年度教員の医療的ケアに関する報告をしている。それによると、看護師の指導のもと、3種類の医療行為の補助が許されている。
・よって、このことを目標とし、看護師が配属されている養護学校では、実現にむけて必要な条件をまとめること。
・同じく、訪問籍の児童生徒のスクーリング時への対応の実現、校外学習への付き添いの実現についても、必要な条件と課題を検討しまとめること。
・これらを第2回協議会に報告すること。
・教育委員会でも、実現に向けて検討すること。

・主治医による意見書は保護者が主治医に請求し、学校が直接請求することはしない。

NIP-SKIP新潟日報の記事です 長岡開催の記事です

 新潟大学方式親のスキル訓練の実施
 5月30日、障害のある子どもを持つ保護者を対象とした訓練プログラム、新潟大学方式親のスキル訓練:Niigata University Parenting Skills Training Program、通称( NIP- SKIP )を、附属養護学校公開講座とし、いなほの会との共催で第1回目を実施しました。
 プログラムの内容は全4回シリーズで、1.子どもの行動をかえる、2.ひとりでできるように教える、3.計画を立てる、記録する、4.報告会で校正されています。
 このプログラムの特徴は、応用行動分析による子どもへのかかわりを講義と演習、グループ討議で学習してもらうこと、自分の子どもの個別の指導計画を作成し、実践・評価する体験などです。40名を越える参加者がありました。今後もこのプログラムにつきましては、適宜報告します。

特別支援教育体制推進事業

平成17年度文部科学省委嘱特別支援教育体制推進事業 第1回調査運営会議について

私のメモを紹介します。質問にはお応えしかねます。
○今年度の事業の特徴(抜粋)
・第2次保健圏域ごとに連携協議会を設置する。
・幼稚園から高等学校までを含めた支援体制を整備する
・そのための特別推進地域を6地域指定する。村上、新発田、巻・三条、柏崎、上越、長岡。
・この地域の公立高等学校幼稚園はすべて対象となる。
・専門相談員の委嘱と相談の実施。今まで専門家チームが行ってきた相談業務を、専門的な知識や資質のある教員が担当する。およそ130名ぐらい?
・個別の教育支援計画の策定。推進地域の小中学校では支援計画の策定を行う。
・特別支援教育推進校の指定
○質疑の中から
・特殊学級の弾力的運用に関する推進事業を本県が行わないのは、特殊学級をどのように扱うかという文部科学省の方針がはっきりしないことや、免許法改正の関係があるから。ただし、弾力的運用はもうすでに本県でも実施しているし、実施してもよい。
・幼稚園高等学校での推進はまず啓発活動や研修会の参加、実態把握や巡回相談から行う。そのために担当指導主事がこの事業にかかわることを求める。
・専門家チーム委員は専門相談員のスーパーバイザーとしての役割。すべてのケースの判断に関与することは無理がある。専門家チームにより多くの医師の参加を求める。
・この事業と就学指導との関係については、十分整理できていない。つまり、就学指導制度を変えるには制度の改正が必要である。今後の課題。
・柏崎市では、市独自の連携協議会を発足した。特別な支援が必要な小中学生のアフターケア。スクールサポート相談会という。将来的には就学指導委員会と一緒にしたい。今は教育関係者だけだが、ハローワークの職員が入ることは可能である。

特別支援教育における大学の役割

2月20日、横浜国立大学教育人間科学部障害児教育専修の依頼により、「教育委員会と大学の連携について」という報告会に参加しました。私の他にも同じ立場の2人の教員が出席し、現状を報告しました。さらに、神奈川県、横浜市等教育委員会の指導主事からも報告がありました。意見交換をして終了しましたが、これからの特別支援教育推進に向けて、大学の果たす役割は次のことだろうと思いました。

・特別支援教育推進の理念や具体的施策について、教育委員会の開催する検討会議等に積極的に参加し、建設的な意見を述べること
・その中で必要とされる人材の資質を明らかにすること
・特別支援教育にあたる教員だけではなく、そのような教員を指導できる専門的な教員の育成に貢献すること
・大学で人材養成のためのプログラムを検討し、授業として開講すること(人材養成のためのカリキュラム)
・教育相談や巡回相談にスーパーバイザーとして可能な限りかかわること(大学教員が担当するというより、教育相談や巡回相談ができる専門教員の育成をめざすこと。大学教員が主になっても、限界がある)

 現在私の研究室の大学院生や長期研修生には、学部や大学院の講義だけではなく、教育相談センター業務の手伝い(記録係、検査)をさせ、チャレンジルームを担当させ、さらには養護学校や小中学校で定期的に実習させています。1年もしくは2年ですが、終了後はコーディネーター研修で講師を担当できるまでになっています。
 最後は自慢話になりましたが、今後も大学の果たす役割について勘会えていきたいと思っています。

これからの教育相談室を考える−教育支援センターとしての役割

 みなさんご存じのように国が示した特別支援教育は、可能な限りすべての子どもが通常の学級で教育を受けるという、統合教育をめざしています。他にも次のようなポイントがあります。「直す」発想から「支援する」発想への転換(パラダイムシフト)、全国一律の教育サービスから地方主体のサービスへ(小泉内閣の柱である構造改革の一環)、平等で一律に行われる教育から個にあった教育の保障(そのための個別の教育支援計画)などでしょうか。今までは文部省→都道府県教育委員会→市町村教育委員会というトップダウンの指揮系統で義務教育が推進されてきましたが、これからは市町村単位で独自の教育行政を推進するということです。
 このような観点から考えると、阿賀野市の「ことばと心の相談室」は新潟県内でもあまり例のない地域支援機関として、私は高く評価しています。施設設備はもとよりスタッフの数と質、支援プログラムなど、多くの点で充実していると感じています。
 今後地域の教育支援センターとして機能するためには、さらに次の課題が考えられます。ひとつは「教育相談」という発想から「教育支援」の発想に転換し、支援を求める方のニーズにあった支援を必要な期間実施すること。二つ目に、幼稚園から高等学校までの一貫した支援を関係機関(学校を含む)と連携して行うこと、三番目は、保護者(できれば本人も)を交えて個別の教育支援計画を作成すること、そしてインターネットやTV会議システムなど、ITを使ったインフラ整備を検討することなどです。
 これからますます子どもの悩み相談は増えることが予想されます。保護者や子どもたちを「消費者」としてとらえ、消費者中心の教育サービスが行われることを期待します。

教育課程等研究協議会(平成16年10月27日)

平成16年度特別支援教育課程等研究協議会

日時:平成16年10月26日(火)
プログラム
<A:システム構築> 
1.システム構築T 石川県教育委員会 専門家チーム・巡回相談・特別支援連携協議会
○平成15年度モデル事業
・事務局は混合チームで編成、庁内担当連絡会の立ち上げ、会議は学校からの提案や報告を重視
・巡回相談員は専門性の高いチーム
・特別支援教育コーディネーター連絡会の発足
・養護学校の拠点校に幼児教育相談室を開設
○石川県特別支援教育体制推進5カ年計画の策定
・平成20年より、県下全域で特別支援教育体制を実施
・教育事務所、養護学校の連携と地域の特性を生かす
2.システム構築U 大阪府教育委員会 特別支援教育コーディネーターの養成プログラムの開発と養成
○特別支援教育リーディングスタッフの養成
・コーディネーターのリーダー
・活用は市町村で自由
・プログラムは演習重視(指導計画の作成など)
○活用
・A市:市の研究員制度と連動、特別支援教育研究部会の開催(毎週)
・B市:毎月コーディネーター会議を開催、市の巡回相談チームに参加
・C市:氏の特別支援教育研修での報告及び講師
<B:校内支援の実際>
3.校内支援の実際T 神戸市教育委員会 中学校における支援体制の構築と教育的支援の実際
学びの支援センター
4.校内支援の実際U 北海道教育委員会 授業場面における効果的な指導の実際
○事例T LD
・ふれあいルーム、通級、TT、などを使った個別指導
・個別の指導計画による複数の指導者による指導と役割分担の徹底
・さまざまな支援教材
○事例U ADHD
・保護者との連携
・ストレスの原因を取り除く指導、成功体験
○事例V ADHD
・学習の定着化を図る指導:自己解決の指導

<その他の情報>
・特殊教育総合研究所で軽度発達障害支援マニュアル作成中
・埼玉県、市で個別の指導計画作成中(HPで公開)
・幼稚園との連携事業は14の府県で実施中
・特別支援教育モデル事業の平成17年度は幼稚園、高等学校との連携について
・発達障害児支援アドバイザーの配置の検討
・答申は2月頃か
・発達障害支援法案の成立の可能性あり

特別支援教育と家庭教育(平成16年9月30日)

 先日、特別支援教育推進員養成研修に顔を出しました。この日は親の会の代表の方が、親の会が主催する事例検討会の内容と成果を紹介しました。私もおよそ5年間この事例検討会にかかわっていますが、親の会が主催して教員を招くというスタイルは、全国でも珍しい実践だと思います。特に事例の子どもの両親がなるべく参加するという試みは、非常に珍しいのではないでしょうか。
 発表の中で会の代表は、父親が事例検討会に参加することにより、子どもへの適切なかかわりが増え、夫婦で共通の話題ができ、子どもの行動改善とともに、夫婦の関係改善にもつながったと話しておりました。
 考えてみれば、父親が子どもをしつけることは当たり前であり、夫婦が協力して子育てにあたることが、子どもの良好な生活や人格形成に必要不可欠ということは当たり前ですね。夫婦が子育てで、お互いの足を引っ張り合っていては、子どもの指導どころではないでしょう。
 軽度発達障害の子どもの教育が、今後の課題として大きな話題になっていますが、家族関係や夫婦関係の在り方も、この問題と無関係ではないはずです。
 先日、アメリカの障害児教育関係の雑誌を見ていたところ、特集が組まれていました。「障害のある子どもを養育する祖父母」に関する特集でした。子どもを持っても、ドラッグやHIV、DV、犯罪、貧困などさまざまな理由で子どもを育てることができず、やむなくその親(祖父母)が育てているケースが、アメリカでは1980から1994の間に70%増加したそうです。子どもが育つもっとも大切な環境が、もはや維持できなくなりつつあるということでしょうか。
 学校の先生方の中にも、「障害の問題より家庭内の問題で苦労しています」という方が確実に増えています。学校だけの対応では限界を感じているようです。やはり児童相談所等関係機関との連携が必要不可欠なのでしょう。

 なおこの席で、特別支援教育モデル事業が1年延長になることや、幼稚園から高等学校までの連携を探る計画があることをお聞きしました。

平成16年度文部科学省委嘱 養護学校における医療的ケアに関するモデル事業第1回運営協議会(平成16年8月24日開催)

 標記協議会の副委員長として参加しました。報告できることをいくつか書きます。

・指定校になっている養護学校5校あわせて約5%、医療的ケアの必要とする児童生徒が在籍している。
・医療的ケアとは、経管栄養、吸引、導尿である。
・これらの医療的ケアは、看護師のもと、教員が携わることができるが、教員単独ではできない。単独で実施することについては、今後の検討課題である。文部科学省は厚生労働省と協議し、学校における医療行為に関する法整備を進めているようである。
・当然のことであるが、これらの医療的ケアを学校で行う場合にはさまざまな手続きがあり、保護者や医師の同意など、書類上の手続きを徹底している。
・指定校になっている養護学校で看護師が導入され、さまざまな効果が報告された。訪問教育から通常級に措置替えになったとか、欠席日数が減少したなど。
・今後の課題もいくつかあげられている。今後対象児童生徒が増えることが予想されたり、看護師の負担を考えると、教師が単独でできるようになることも必要ではないか、訪問教育籍の子どもにもケアがなされるべきではないか、校外学習に看護師が付き添えないか、等が提案された。今後の検討課題である。

<感想>
 わたしは教員のスタートが重心の教育で、重心の教育を語らせると結構うるさいです。わたしが重心病棟や在宅訪問を担当している頃から、このような医療的ケアを教員がどこまで実施できるか、した方がいいのかが、議論されていました。
「先生、わたしだってできるんだから、先生にもできますよ」と、保護者に勧められて実行した人もいたとか、「いや、吸引はやめた方がいい。食道の動脈を傷つけたら即死だぞ」と警戒する人もいました。どこまでが正しくてどこまでが正しくないのか、科学的に議論されぬままに時間がたってしまったようです。今回、学校でも医療的なケアがなされることになりましたが、それによって子どもの健康面での改善が見られたり、保護者の負担が減少したりするようになり、とても喜ばしいと思います。確かに、一定の研修を積めば、これらの行為はそんなに難しい行為ではないのかもしれません(もちろん、きちんとしたガイドラインのもと、しっかりしたチェック機構を働かせ、モラルハザードを招かないようにすることは当然です)。しかし、何でもかんでも教員が行えばいいと短絡的に考えることも、少し危険なような気がします。看護師という教員以外の専門職と協働で子どもの指導に当たること、このことが大切だと考えます。ともかく、役割分担にしても教員の役割にしても、より現実的な議論が望まれるでしょうね。

教育フォーラム(平成16年1月11日開催)

 平成16年1月11日(日)、新潟大学教育人間科学部と附属3校主催による「自立と共生を考える教育フォーラム」が開催されました。教育人間科学部と附属校が今後どのような教育と人材養成を目指すかを市民に公表するという、画期的なイベントだったと思います。そこで、教育講演とシンポジウムの中で、私が注目した発言等をここに記述いたします。

1.講演(石塚文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特殊教育調査官)
・共生とはノーマリゼーションと類似している。人は障害があるなしに関わらず同じ生活をする権利がある。同じ生活を送るためには、一人ひとり違う対応が必要である。違う対応=差別化、区別化。
・最適な集団化には最適な個別化が必要である。
・共生のためには個に応じた支援を条件とする自立を目指す。
・特別支援教育の推進には教師の意識改革が必要である。
・特殊教育関連の予算のほとんどが人件費である。子どもひとりに対して2.2人の教員が配置されている。教員が適正に配置されているとは言い難い。
・特別支援を必要とする児童生徒は1割はいると考えるべき。
・共生:障害のある子どもの教育体制をリニューアルする必要がある。

2.シンポジウム
 1)田中附属新潟中学校教諭
・今後、養護学校に特別支援教室を配置し、市内の小(中)学校からの通級を認め、3校で支援する体制を構築する。
○石塚調査官
・附属校はそのミッションを明確にする必要がある。法人化により経営の自由度が増すわけであるから、新潟市民が何を求めているか等の調査を通して、そのミッションを明確にしたらどうか。
 2)佐藤新潟県教育委員会障害児教育係長
・今後、3つの教育事務所内に特別支援教育に関する支援体制をもうける。指導主事が窓口になり、実態調査等を実施し、具体的な支援を行う。
○石塚調査官
・特別支援教育推進事業の学校指定は新潟県では12.5%である。早期に100%になることを期待する。
・仙台市や福岡市では、行政が推進に関する通知を出して指導している。
・滋賀県甲西町では、教育と福祉が連携して発達支援センターを設けた。
・特別支援教育には専門性が求められる。個々の専門性を学校の専門性、地域の専門性と、高めていく(発展させる)ことが必要である。どんなに優秀な教師でも担任ひとりで特別支援を行うことは不可能である。
 3)白井新津第一小学校教諭
・特別支援を有する児童の割合が6.3%であった(文部科学省発表と一致)。実態調査チェックリストの活用*により、気づきが多くなった(精確な調査ができた)。

* 必要な方には差し上げます。メールで請求してください。

・就学相談がうまく機能している。成功の要因は、きめ細かな支援、保護者の力になること、判断を押しつけない、学校への情報提供である。
・校内委員会がうまく機能するために7年かかった。成功の要因は、(子どもに対しても担任に対しても)支援が必要だという意識、教師間の協力、支援することで子どもが変わることにより、多くの教師が支援の必要性を認識することになる、学習会の実施、実態調査チェックリストの活用、などである。
・保護者への対応で重要なことは信頼関係である。
○石塚調査官
・医学的な診断ができない(拒否するなど)場合、教育的診断による教育的対応が必要である。診断名をつけることが重要なのではなく、子どもにあった特別な支援が必要である。早期に対応しなければ悲惨な結果を招く。
・千葉市立幕張小学校では、学校支援体制を作り、学習障害の児童への学習支援を実施したところ、平均値がアップした。教師がすべての児童に手厚い指導をしたからではないか。
・校内委員会を設置することが重要なのではない。特別支援の機能が重要である。既存の組織を活用することも可能である。
4)成田新発田市立五十公野小学校長
・校長の役割として、スタッフの確保と研修の機会の提供が考えられる。行動力のある校長がこれからの特別支援を実施する学校には必要であることを感じた(長澤)。
○石塚調査官
・子どもへの早期の対応が重要。
・人材確保には学生の活用、ボランティアの活用も考えられる。
・継続的な支援が必要である。そのために個別の教育支援計画の活用が必要である。
・保護者のニーズと子どものニーズがずれることは当たり前だと考えた法がよい。こういう前提で対応を考える。

特別支援教育推進事業

今年度スタートした標記事業の対象となった地域の小中学校を巡回しました。私の担当校は小中あわせて4校でした。この活動を通して感じたことを少し述べます。
 ・管理職を始め、教職員の特別な支援が必要となる児童生徒への関心と理解が深まっていること
 ・教職員が全員でこれらの児童生徒の教育を考えるような体制になって来つつあること
 ・県が実施した「実態調査」でリストアップした児童生徒の教育的対応を検討するのだが、LDモデル事業に比べて人数が圧倒的に増えた
 ・そのため、どのような手続きでこれらの児童生徒の教育的対応を検討するか、課題である
 ・リストアップされたすべての児童生徒について専門家チームで検討することは現実的でない
 ・校内委員会で対応できるケースは専門家チームにあげず、校内で対応する
 ・巡回指導ではできるだけ児童生徒本人の実態を観察し、可能な限り学校からの要望に応える
 ・緊急性の高い児童生徒については、巡回相談員が中心となり専門家チームと連絡を取り合って対応を検討する
 ・校内委員会で対応が難しいケースは専門家チームにあげ、検討を依頼する

COMPAS

 新潟いなほの会主催による「LDフォーラム」
 7月12日に行われたLDフォーラムには、文部科学省から特別支援教育担当の柘植雅義調査官が来られ、特別支援教育についての最新の情報と、親の会に期待することなどを後援されました。シンポジウムに私も参加しましたが、ここではCOMPAS:「障害のある子どもと関わる教師や親への支援を目的とした協働モデル( Collaborarion Model with Teachers and Parents for Support to Children with Disabilities)を紹介しました。
 COMPASは特別支援教育を行ううえで、大学教員がどのようにして支援するか、その理念と方法を現した指導モデルです。COMPASの理念は次の通りです。
  (1) 地域の障害のある子どもの教育に貢献する
  (2) 地域の人たちが容易にアクセスできるように窓口を設ける
  (3) 教師や保護者など関係するメンバーを尊重する
  (4) 子どもを含む関係者のQOLの向上をめざす
  (5) 関係するメンバーでチームを作り、教育のビジョンを共有する
  (6) チームのメンバーがもっているさまざまな専門性や特性( strength )を尊重する
  (7) 指導やその指導によってもたらされた結果に関する責任を共有する
  (8) 専門機関だけではなく、子どもが生活する地域社会(学校、家庭など)において指導する
  (9) 個人及びチームの説明責任を全員で果たす
  (10) 適切な指導が行われるために研修などによって、チームのメンバーを訓練する(研修)
 さらに具体的な方法として、10の方針を考案しました。
 COMPASはまだ完成されたモデルではありません。近いうちに論文としてまとめ(長澤・松岡共著)、発表します。

新刊の紹介:「LD・ADHD〈ひとりでできる力〉を育てる―その指導・支援・個別教育計画作成の実際―」(川島書店)

 この4月に川島書店から刊行予定の図書を紹介します。
「ひとりでできる」力を育てる指導法
−LDのある子どもへの自己管理指導と個別教育計画の作成−
第1部 LDのとらえ方と支援
 第1章 LDの診断と心理検査(LDの診断、心理検査、心理検査の分析と活用の仕方)
 第2章 LDのとらえ方(様々なLDの定義、なぜ学習に困難を示すのか?、能力に偏りがあるグループ、診断指導モデルの限界、新しい障害者観と障害のある子どもの教育、特別な教育的ニーズに基づく教育)
 第3章 指導モデル:指導の考え方(知能検査の結果の分析と診断−診断治療モデル、苦手な能力を克服する、得意な能力を生かす(伸ばす)、問題解決を第一に考えるカウンセリングから学ぶ、目標準拠モデルとは?、目標準拠モデルを使って不登校の生徒の問題解決を考える)
 第4章 LDのある子どもへの支援の基本(やる気を高めるかかわりとは、人間関係を深めるかかわりとは?、教科学習)
第2部 セルフマネージメントの指導
 第5章 自己決定とは?(自己決定とは?、自己決定を構成する主要な4つの概念)
 第6章 自分で問題を解決することとは?(問題解決とは?、問題解決を援助する、自分で問題解決:セルフマネージメント)  
 第7章 自己選択、自己教示、セルフモニタリング、自己評価、自己強化(自己選択、自己教示、セルフモニタリング、自己評価・自己強化)
 第8章 人とのかかわりにおける問題を解決する (ソーシャルスキルトレーニング、ソーシャルスキルを育てるかかわり方の実践例:会話まなボードの活用)
 第9章 ADHDへの対応(不注意・多動を見極める、支援のポイント)
 第10章 問題行動への対応(問題行動の見極め、問題行動への取り組み)
第3部 子どもの行動をとらえる視点
 第11章 応用行動分析の技法
 第12章 目標設定と評価
第4部 個別教育計画と実践
 第13章 「いなほの会」の紹介
 第14章 個別教育計画の作成(IEP作成のための事例検討会、IEP評価のための事例検討会)
 第15章 いなほの会による実践例

新潟県学習障害(LD)児に対する指導体制の充実事業報告(平成15年2月12日)

 平成13年度から2年計画で取り組んできました標記事業の報告会が2月5日に開催されました。2月6日付読売新聞新潟版に記事が載っています。ここでは、新潟県における今後の支援体制について、資料から抜粋してお知らせします。
 (1)専門の相談機関の検討:各学校の相談に応じられる専門機関の設置と巡回指導体制の整備を検討する。平成15年度より、「特別支援教育推進体制モデル事業」を委嘱事業として取り組むことになっている。これまでの取り組みを全県的に拡大することを検討する。
 (2)専門家の養成とネットワークづくり:県教育センターの研修講座を通して、学習障害等の子どもに対応できる専門教員の養成を強化する。
 (3)情緒障害通級指導教室の計画的配置:全県的な視野に立ち、市町村教育委員会と連携しながら計画的な配置を検討する。
 この領域については、今まであまり対応がなされていなかったことを考えると、ある一定の評価ができると思います。大切なことは行政の対応だけではなく、一人一人の教師がこの様な子どもたちの理解を深め、個々のニーズに応じた支援が必要だという認識を深めることだと思います。

新潟行動教育研究会講演会のお知らせ

 「知的障害教育における総合的な学習について(仮)」
 日時:平成14年9月7日(土)・午後1時30分予定、場所:新潟大学教育人間科学部第204教室、講師:山形大学教育学部助教授・三浦光哉先生、事例発表もあります。事前に参加申し込みをしていただくと助かります。申込先は後日ホームページ更新の時お知らせします。

「元気になろうよ!映画祭」、小林茂監督(平成13年11月12日)

 11月10日(土)、長岡に行ってきました。「元気になろうよ!映画祭」に招かれ、障害のある子ども・人に関するちょっとした講演をしました。「元気になろうよ!映画祭」では、長岡出身の映画監督、小林茂氏の作品が上映されました。小林氏は、阿賀に生きる」「闇を掘る」などの映画で撮影をつとめた方で、「放課後」というドキュメント映画で監督としてデビューしました。このたび、「放課後」「自転車」「雪合戦」の三部作を一つにまとめた「こどものそら」という作品を上映しました。
 「こどものそら」は、札幌にある学童保育所、「つばさクラブ」を舞台に、障害のある子どもと障害のない子どもとのふれあいを通じて、障害のある子どもが地域の中で、障害のない子どもとともに生きることの意義、大切さなどを訴えています。「下校後の放課後を、障害のある子どもがどのようにすごしているのか、私は今まで考えたことがなかった」。監督のこういうナレーションがありました。監督に限ったことではありません。私自身も、放課後の過ごし方について、あるいは学童保育という制度について、深く考えたことはありませんでした。
 「こどものそら」は、障害のある子どもの問題だけではなく、子どもたちの世界の純粋さ、素朴さなど、飾らない雰囲気を映し出し、忘れてしまった人と人との心の交流を思い出させてくれます。この映画について詳しく知りたい方は次のホームページを。

 映画、こどものそら ホームページ。

「スクリプト研究会(仮称)」について(平成13年10月3日)

 ことばの発達に遅れのある子どもや自閉症の子供へのことばの指導でお悩みの方はたくさんいらっしゃると思います。学校や家庭で、楽しみながらことばを指導することを目的とした指導法、それが「スクリプトを使った指導法」です。「買い物ごっこ」「朝の会」「トースト作り」などの体験を通して、「ジュースをください」「おはようございます」「教えてください」など、日常生活に必要なことばを、自然で楽しい雰囲気の中で、無理なく指導する方法です。詳しい内容は、「スクリプトによるコミュニケーション指導」(川島書店)をお読みください。なお、スクリプトによるコミュニケーション指導を考える研究会が発足します。代表には、この研究の第一人者である長崎勤先生(筑波大学助教授)が就任される予定です。平成14年3月2日に第1回の総会を開催する予定です。正式に決まりましたなら、ホームページやメールマガジンでお知らせします。

「新潟県学習障害児(LD)に対する指導体制の充実事業(実践研究)」について

 9月14日、標記の会議が新潟県庁で開催されました。私は運営委員、専門家チームの委員、巡回相談員として、これから2年間この事業にかかわっていきます。今回の事業では、学習障害のある児童生徒に対して、(1)どういう体制で取り組むべきか、(2)その組織がいかなる手続きで診断をするか、(3)同じく支援(指導)内容を考えていくか、(4)今後の県レベルでの学習障害のある児童生徒の支援体制はいかにあるべきか等について、(5)モデル校での実践、を通して検討します。今後の経過をできる限り報告したいと思います。

「障害児のための学校等の在り方に関する検討委員会」に出席して(平成13年8月8日)

 昨日(8月7日)、標記の会議に委員として出席しました。この委員会の目的は、新潟県内における特殊教育諸学校等の在り方と適切な配置に関すること、特殊教育諸学校と特殊学級等の連携の在り方や役割に関することを検討することです。まだ1回だけの開催で審議途中なので詳しい内容を公表できませんが、感想を少し述べます。
 あるテレビ局のテレビ報道を聞いて感じたことは、捉え方の違いがあることです。この局では、「この委員会は通常の学級における教育、つまり統合教育を扱う場ではない」ことを強調していました。これにはちょっと誤解があると思います。この委員会は今まで障害のある児童生徒の教育を中心に行ってきた学校や、特殊教育のシステムをどうするかを検討する会議です。統合教育を認めるとか認めないとか、そういうことを話し合う場ではないということです。この方針は、文部科学省の「21世紀の特殊教育の在り方最終報告」に従って行っているからです。しかし、通級指導教室のあり方も主要な検討課題にしていることからわかるように(通級指導教室で教育を受けるということは、通常の学級に在籍することが前提になるから)、通常の学級で障害のある児童生徒が教育を受けることを認めるとか認めないという時代ではないことは、教育委員会側も感じていますし、まして、特殊教育諸学校や特殊学級だけが障害のある児童生徒の教育を受ける場である、などという認識は誰も持っていないはずです。
 統合教育をもっと積極的に推し進めるべき、という主張が世界の特殊教育の主流になっていることは事実ですが、子どもを単に通常の学級に入れることで問題の解決にはなりません。通常の学級に在籍しても、その子どものニーズにあった教育サービスを提供できなければ、それは統合教育ではありません。ですから、通常の学級に在籍し、さらにその子どものニーズにあった専門的な教育サービス(たとえば通級指導教室でことばの指導を受けるなど)をどう提供するかを検討する必要があるのです。障害のある子どもの教育は特殊教育諸学校で、という時代は終わりを告げるでしょう。今後は、障害のない子どもと一緒に教育を受けることと、その子どもにあった専門的なケアを提供することの二つを、いかに両立するかが課題となります。

長岡障害児教育を語る会について(平成13年6月30日)

 昨日(6月29日)、新潟県長岡市において、「長岡障害児教育を語る会」に出席しました。この会は、長岡市を中心に活躍している教師が運営しています。今年度から、年4回の予定で、私も参加することになりました。第1回目の昨日は、重度・重複障害のある子どもを対象とした個別の指導計画について話題提供がありました。訓練の様子をビデオで見たあと、子どものニーズのとらえ方や短期目標の作成等に関する質疑が行われました。詳しい内容をここで述べることはできませんが、この「長岡障害児教育を語る会」について、詳しく知りたい方はメールでお問い合わせください。


学習障害のある子どもへの支援活動:新潟LD児・者親の会「いなほ」が主催する、個別教育計画作成のための事例検討会(平成13年6月9日)

 新潟LD児・者親の会「いなほ」では、学習障害のある児童生徒を対象に、個別教育計画を作成する事例検討会を開催しています。この会は、親の会に加入している保護者、児童生徒の担任、言語指導等の専門家、医師、養護学校教員など、様々なメンバーで構成されています。私もアドバイザーとして参加しています。このたび、新潟日報(平成13年6月8日)が、会の活動を紹介していました新潟県の方、是非この記事をご覧ください。なお、「いなほ」へのお問い合わせの方は、私の研究室にアクセスしてください。


2.書評

書名:ドメスティック・バイオレンス 女性150人の証言
著者名:原田恵里子・柴田弘子
出版社:明石書店
価格:2000円
一般書

 ドメスティック・バイオレンス(DV)は、我が国でもずいぶん問題になっています。長年にわたり男性優位の社会が続き、加えて男性の相対的な地位が後退したためか(男性が勝手にそう思っているかもしれない)、女性の男性に対する地位が向上したためか(今まで低すぎたので平等に近づいたというべきか)、理由は特定できないが、とにかくDVは私が想像した以上にすさまじいと感じました。本書では、被害者である情勢150人の実体験に基づく証言により構成されています。
 「こういう人が学校の教員として勤務していることが不思議である。こういう性格の人間をどうして教員として認めたのか、教育委員会に聞いてみたい」「手加減のない、殺人的な暴力で頭がボコボコになり、けるので腰が立たなくなったりしていた。考えを集中できなくなった背後から耳を殴るので、耳も聞こえにくくなっていった」・・・。
読み進むと、男である私は同じ男として情けなさを感じるとともに、自分も男である以上、加害者になる可能性がないとはいえないことに恐怖心を覚えました。悲惨な現実の前にことばを失った次第です。
 男性は何ができるでしょうか。「女性に優しく」「男女同権」「女性の地位向上」「女性の社会進出を支援」「家事、育児の分担」、具体的で平凡なアイデアはたくさんあります。しかしそれ以上に我々男性が考えなければならないことがあると思います。
 この本は、男子学生に読んでいただきたい。そして、自分がDVの加害者にならないために何をすべきかを考えていただきたい。

書名:愛しすぎる家族が壊れるとき
著者名:信田さよ子
出版社:岩波書店
価格:1600円 一般書

書名:家族に何が起きているのか
著者名:ステファニ−・クーンツ
出版社:筑摩書店
価格:2800円 一般書

「家族って、何だろう」
 サラリーマンの父は定刻に帰宅し、出迎えた母にカバンを渡すと、浴衣に着替え、夕食の準備が整った茶の間に行き、腰をおろした。二人の子どもは正座して父を待っており、「今日、学校でどうだった」という父の問いかけに、長男は少し緊張して「テストで百点とった」と答えた。父は母が注いだビールを飲みながら、満足そうに「そうか」と短く頷いた。いただきますの挨拶をして、家族そろって夕食を食べながら、しばらくは今日一日の出来事を振り返りながら談笑した。
 今日本中の家族の中に、こんな光景は、どれだけ見られるだろうか。というより、こんな光景に象徴される家族が、本当に標準的な家族だったのだろうか?
 家族問題を扱った本はたくさんあります。ですが、今回紹介した2冊は、これからの家族のあり方を考える上で、非常に興味深い本です。私の年代は、父親が働いて母親が家庭を守る核家族が標準的で、上記のような光景が見られる限り、平和な家庭だと思いこんでいる人が多いと感じます。しかし、どんな時代においても、どんな家族形態でも、皆が満足して平和だったことはないし、「標準的な」家庭が存在していたかどうかは怪しいと思います。
 家族が果たしてきた機能が外注にゆだねられるようになり、残されたのは愛情とか癒しといった人間関係に関わる機能だといわれています。その人間関係に関わる機能が負担になったとき、家族はどうなるのでしょうか。

目次へ