2006年3月29日東京都四谷区民ホール、4月1日新潟市だいしホールにて行われた、宇野哲之・チェロリサイタル『誰も寝てはならない』は、無事終了しました。ご来聴くださった皆様に感謝いたします。

 東京でのリサイタルは、日経新聞文化部編集委員で、音楽評論家として有名な池田卓夫さんが限定的に公開されている日誌で、次のような批評をしていただきました。


ネッスン・ドルマ
(中略)、夜は地下鉄丸の内線新宿御苑駅近くの四谷区民ホールに「宇野哲之チェロ・リサイタル」を聴きに出かけた。往年のフルート奏者で名教師だった故・宇野浩二さんの息子で、父と同じくイタリアへ留学。帰国後はオーケストラ・アンサンブル金沢のチェロ奏者などを経て、現在は新潟大学音楽科の助教授。素晴らしい歌のピアニスト、鳥井俊之も久しぶりだったが、秋田市の聖霊女子短大音楽科教授を専任で務めていては、滅多にお目にかかれないのも当然だろう。なぜ彼がチェロとのデュオに起用されたかと言えば、リサイタルのタイトルが荒川静香で急激に知名度を上げたプッチーニのオペラ「トゥーランドット」のアリアそのもの、「誰も寝てはならない(ネッスン・ドルマ)」とあり、「チェロが歌うテノール名曲集」の副題が付いていたからだ。前半が「ネッスン・ドルマ」の他、「カルメン」の「花の歌」、「ラ・ボエーム」の「冷たい手を」などオペラ・アリア8曲、後半が「カタリカタリ」「グラナダ」などイタリア・スペインの歌7曲と「荒城の月」「浜千鳥」など日本の歌、新潟の歌7曲。すべて歌をチェロ&ピアノに編曲したものばかり22曲の思い切った構成だった。宇野のチェロは絶対に弾き崩さず、格調の高い演奏姿勢を保ちつつも、イタリア仕込みの豊かな歌心を感じさせる優れた腕前。父上のフルートに実演で接する機会はなかったが、生前のライヴ録音は聴いたことがあり、清廉で引き締まった歌の美しさはしっかり、息子さんに受け継がれていると思った。鳥井のピアノも緻密で構造的、それ自体の歌心もたっぷりで、つくづく、東京の音楽界は惜しい才能を逃したと痛感した。アンコールはファリャの「火祭りの踊り」と、「ネッスン・ドルマ」をもう一度。最悪の精神状態で始まった一日だったけど、最後は宇野さん、鳥井さんの真にプロフェッショナルで音楽的な演奏の功績で少しだけ、ポジティブな発想の力を取り戻すことができた。これほど優れた演奏家たちが地方各地で音楽家、音楽教師の養成に当たっていることは将来、日本の財産となる気がする。





2006年4月26日岩手日報に東京のリサイタルの記事が掲載されました。



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2006年宇野哲之チェロ・リサイタルのお知らせ